私は仕事柄、クライアントの方のライフプランを作成しますが、たぶん実際にやってみる前は家計簿との違いがよく分かっていらっしゃらない方は少なからずいると思います。家計簿に対して否定的なわけではありませんが、期待した効果を得られていないと感じている人は多い気がします。その理由を解明してみましょう。

家計簿でお金は貯まらない?!

私はファイナンシャルプランナーですから、収入や支出について教えてくださいね、と言うと身構える人が一定数います。理由は様々なのでしょうが、数字を把握していない自分のことを知られたくない、あるいは辻褄の合わない支出が存在することを知られたくない、などある種のプライバシーへの守りと、無駄な支出を減らしましょう、と言われることへの警戒感があるとは思います。ここで、パッと数字が出てくる人はもともと家計簿をつけている人ですね。

でも、一つの傾向としては家計簿を一生懸命つけている人がお金が貯まっているわけではない、ということが挙げられます。不思議ですよね。もちろん家計簿をつけたら貧乏になるという意味ではありません。

家計簿はどちらかといえば過去を振り返る習慣、であると思います。振り返って得たことを未来に活かせるならとても素晴らしいですね。でも、自然と前に進むとそうなる、という結果はどうなのでしょう。つまり、家計簿を踏まえて何か方針を立てることはある種この“自然な状態”に補正をかける必要があるわけです。自然体でいることの方が人間は楽そうですよね。

ライフプランにおいてより知っておきたいことは家計簿そのものよりも、その人の自然体の財務状態の方なのです。

欲求をコントロールできているのか

もし自分が何にお金を使っているのか全く分からない、というのであれば、一旦全てを洗い出し、見える化をしてみるのは有効です。どんなことにお金を使いたいと思っているのか、が分かりますし、もっと良い支出の仕方があったことに気づくからです。支出しない、という意思決定をしたものは普通はここでは出てきませんが、もし洗い出せるならそれも有効です。

出費について必要か不要かを都度考えていたでしょうか。もっと安くて同じ効用を得られるものについて考えたでしょうか。値段以上の価値を見出したのでしょうか。どのくらいの時間をかけて意思決定したのでしょうか。考える、という習慣は、欲求をコントロールできるかに繋がっています。

収支を俯瞰、把握できているのか

特に変わったイベントがないのにこまめに記録をつけるべきか悩む人もいると思います。逆に、結婚したり子供ができたりでそれまでと違うことに時間とお金を使うようになると途端に認識がなくなった、という人もいますよね。

経済環境や生活習慣が変わったときにそれに気づき、少し意識を高めるということはできているでしょうか。なんとなくの感覚と危険信号の察知は重要です。

タイムマネジメントができているのか

限られた収入をどのような支出に使うかに悩んでいる人は多いとは思いますが、そのことを考えるために時間を無限に消費していないでしょうか。日記を書くのが好きなのと同じように家計簿自体が好きなら構いませんが、そうでないのに時間を使っていると幸福度は下がります。むしろその時間を稼ぐ方に向けた方がいい人だっています。あるいはリフレッシュすることにお金と時間を割き、稼ぐことを楽しめれば自然と収入が増えていくことにも繋がります。時間もまた無駄遣いすべきものではありません。私のようなアドバイザーを求める人がいる理由はタイムマネジメントの結果でもあるわけです。

ライフプランの意味

家計簿の目的は数字を把握することにあります。一方、ライフプランの目的はその人の目指すべき姿を把握することにあります。

過去を振り返るより未来を想像した方がいいじゃないかって?そんな単純な話ではありません。

実際、過去の数字にその人の個性が現れているときもあります。逆に本来であればお金を使いたいが実際はそうしていないものもあります。もちろんお金とは関係ない価値を大事にしていることだってありますよね。

ただ、多くのことではお金と人生は表裏一体ですから、どうしたら望ましいところにより多くのお金を割くことができるのか、それを考えることが大事だし、そして仮に今すぐはダメでも時間をかければ将来実現できるようになることだってあるわけです。ライフプランで知りたいのは現在のありのままの姿であり、それを見てクライアント自身が何を思うのか、からしかスタートしないのです。

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