海外駐在がきっかけで資産形成が止まる人も多い。意識的に取り組むことで将来へのアドバンテージになることを知っておきたい。

海外での資産形成は大変か

日本でせっせと資産形成について勉強をしても、海外にくるとリセットされてしまうことがあります。というのも、証券口座を閉鎖しなければならなかったり、せっかく税控除プランを組んでいたのに、そもそも税金を払わなくて済むようになったりするからです。

しかしながら、資産形成のベースとなる考え方は日本と海外で何ら変わりありません。お金を稼いで使い、余剰資金が貯蓄ないし投資に回る、ということです。

ただ、投資へ回すにあたって、給与から天引きされたりはしないので、自ら資産形成の方法を今一度設計しなければなりません。このワンステップが必要なことが腰が重い状態になっている人はしばしば見かけます。自動化されているならばやりたいが、わざわざ考えるのは億劫である、という人はいるのです。

ただ、海外駐在中の資産形成は比較的容易なことが多いです。というのも海外での生活水準維持のための支出増を除けば、日本にいるときよりも会社からの手当が厚く、生活にゆとりは出やすいからです。

海外に社員を送り出す側の会社も、その費用を節約しすぎると、貴重な海外人材を失ってしまうことにもなりかねないので、余分なバッファーがある、と考えていいでしょう。贅沢や散財をしないのであれば、海外駐在は資産形成において大きなアドバンテージであると考えられます。

意識しないと資産形成から遠のいていく

日本にいるときですら、友人や同僚と資産運用に関する話をする人は少ないものです。お金の話は敬遠されがちですし、お金がある/ないは人にあまり知られたくないものでもあります。

それでもニュースや雑誌などで資産運用に関する話を聞くことはあります。

一方、海外で生活をしていると、放っておいて入ってくる情報というのが限られます。実は目にしていても日本語でないので気づいていない場合もありますし、友人や同僚といったネットワークも限られているので、資産運用という将来のことを話すよりは、日々の生活やグルメの話など、目の前のことに意識が向きがちです。

海外では意識していないと、資産形成から遠のいているのだと考えてください。

しばらく置いておくつもり、でも運用はしない?

今すぐ使う予定はないので、銀行にお金が貯まっていっています、という人は少なくありません。

今すぐ使う予定がないということと、今すぐ使うための使い道が思いつかない、というのは海外駐在時にはよくある話です。無理に使う必要はないので、とても正直ではあるのですが、もうワンステップ進んで、もっと有効活用する方法があるのではないか、という発想に立って見ることは大事です。

資金も少なくせかせかしていると人は投機的な商品を選びがちですが、時間をかけてゆっくりと増えていけばいいのであれば、安定的な資産運用商品を選ぶだけの心の余裕が生まれます。

しばらく置いておく、として、「しばらく」がどのくらいの期間なのかをプランニングする必要はありますが、その一部は資産運用に回した方がよいお金というのはあるものです。

すぐにでも解約できる状態で運用した方がいいお金と、しばらく解約できなくてもじっくり運用した方がいいお金、といった色分けは考えることができます。

海外駐在時に貯蓄が急増するケース

日本でいたときは家を買ったり投資をしたり、と色々と使い道を考えてきた人も、海外駐在開始時にそういった身の回りのことを整理して身軽にすることを考える人はいます。

確かに管理の問題、税金の問題などを考えてリセットした方がいいものはあります。結果として貯蓄が急増し、新しい生活に突入します。海外生活に少し慣れ、気持ちに余裕ができたときに新しい取り組みについて考えましょう。

ところが、何もかもを放ったらかしにして海外に出てきてしまうと、余っているお金というよりは、使おうと思っても使えないお金になってしまうこともあるので、いざとなれば海外に送ったり、カードなどで使える状態には最低はしておきたいところです。海外で稼いだお金を海外で使うんだ、というのは一見すると真っ当な発想に思いますが、その割には日本に置いてあるお金はただ放置されている、というケースは多いものです。

たとえ海外にいても、日常生活で緊急的に必要になるお金、というのはそこまで多くはありません。一つの目安としては、月収に対して3ヶ月分くらいを手元においておけば、人間は一定程度の安心感を感じられ、実際突発的な支出にも対応できます。それ以外は基本的には余剰資金であり、数年単位で使う予定のないお金は色分けできるはずなのです。

資産形成は計画的に

いつから資産運用を始めたらいいのか、というのは誰でも考えることではありますが、何に投資をすべきかで悩んで、知識がない、経験がない、で決めきれずにそのままという人はいます。

でも実は、どのくらいの金額を投資に回せるのか、そしてそれが自分や家族の将来にどのような結果を及ぼすのか、を知っている人は多くありません。

当面はお金に困っていないという人も、将来のことを考えると「足りている」のかよく分からない、という人もいますよね。今の生活をただ続けていくだけで、将来がどのようになるのか、数字で見てみるのはそんなに難しいことではありません。

資産運用から得た収益で生計を立てる、ということに憧れを感じる人もいれば、なんだか非現実的だと感じる人もいます。でも、人間が歳を取っていくと、働いて稼ぐ力よりも支出が勝る瞬間にも直面するわけですから、将来の自分や家族に何らかの備えを用意しておく必要はあるのです。

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