日本を出て非居住者になってしまうと、その期間中はせっかく組んだ積立NISAやiDeCo、個人年金、保険など税控除型の資産運用方法は効果がなくなってしまいます。もちろん、いつか日本に帰ることを期待して維持するものも多いのですが、やや不満が残る人もいるでしょう。

一方で、海外手当等で手持ちのお金が余りがちになることもあるのが海外駐在期間です。もちろん、お金があることは、お金がないことよりも安心はありますが、もしご自身のライフステージの中で資産形成期にいるのであれば今すぐは必要ないそのお金を現預金のまま置いておくのは得策ではありません。

海外駐在・海外在住という期間を過ごす人は、一体どのようにして投資や資産運用を行っているのでしょうか。海外駐在員の3つの思考タイプを通じて考えてみましょう。

海外駐在員の3つの思考タイプ

過去に私も海外駐在していた時期がありますが、海外駐在員のお金に関する思考を類型化してみると以下の3つのタイプに大体収まるのではないでしょうか。

  • 使い切りタイプ・・・現地給与は現地給与、日本円に戻すくらいなら現地で使い切ろう
  • 現状維持タイプ・・・放っておくと現地給与でも日本円の本国給与でもお金は余る。貯蓄が増えるのだからいいことだろう
  • 積極運用タイプ・・・海外ならではの何かいい運用方法がないか、探してみよう

まずは上記の3つのタイプの特徴についてまとめてみます。

使い切りタイプ

日本円以外で資産を持った経験がない人もいるでしょう。海外にいると気づくことの一つは、外国為替は動くし、両替にはそれなりにコストがかかることです。いつ円にするか悩むこと、またコストを払って円に換えることに抵抗がある人もいるでしょう。

駐在期間は通常1年以上にわたりますから着任したときと帰任したときで為替は異なっていて当たり前です。

とはいえ給与は毎月もらわなければならないので、(円換算してしまうと)今月は給与が多い/少ないと感じる人もいるようです。このような場合、損得考えずに現地で思い切って使うというのも一つの手ですね。

ただし、海外手当などで膨らんだ給与をもとに生活してしまうと、帰国したときに同じ支出基準が残ってしまい非常にお財布事情が苦しくなる傾向があるのでそこは要注意です。

現状維持タイプ

稼ぐ力があるときにできるだけ貯蓄をすることは大切です。それが海外だから、日本だからといってスタンスを変える必要はありません。働いて稼いだお金をコツコツと貯めておく、これは非常に大切なことです。

このタイプの人は、仕事に対しても真面目に取り組んでいる人が多いのではないでしょうか。日本だと副業解禁だとも言われていますが、海外では就労ビザで働いているので、他の仕事で稼ぎを増やそうとするのはよく考えてから行動した方がいいかもしれません。

新興国で暮らす場合は、現地の銀行金利が高くて預けておけば増えると思う人もいますが、高い金利は物価上昇や外国為替の影響が大きいことも同時に意味しています。現地通貨建ての資産として保有すべきかはよくよく考えましょう。

積極運用タイプ

貯蓄と資産運用は同時並行で行われますが、海外にくると少し保守的に貯蓄しか考えない人がいる一方、海外に来て意気揚々と選択肢を探してみる人もいます。

ただ、多くの場合は海外での資産運用の選択肢の少なさに悩むのではないでしょうか。

最も手軽な銀行の窓販で満足する人もいますが、それ以外となると自分で探すしかありません。駐在員というのはビザを発行されて滞在する人ですから、その国で生まれ育った人々と同じような制度を利用できることは多くありません。

住宅ローンは組みづらいし、銀行へ行けば定期預金くらいしか勧められないかもしれません。運用利益が出ればその国で税務申告の心配もしなくてはいけません。

銀行口座も証券口座もその土地に住んでいる間はいいですが、その土地を離れた後に契約を維持できるもの、実務的に管理ができるものは多くありません。

国際金融都市である香港の場合、人の出入りを前提にしたサービスが多いので、世界中のどこにお住まいでも、資産運用サービスを提供できる可能性があり、お問い合わせをいただくことも多いです。

海外での資産運用特有の課題

大別すると、使う/貯める/増やすというのが上記の3つの思考タイプだったわけですが、働いて稼ぐ力のある大切な時期だからこそ、やるかやらないかは別として資産運用に関する選択肢にはアンテナを張っておくべきではあります。

資産が増える増えない以外にも、海外で資産運用をするにあたって以下のような課題に直面することが多いようです。

  • A. 日本に軸足があるものの、余っている外貨はそれはそれで何とかしたい
  • B. 運用はしたいが帰国した後のことが心配でない、面倒でない方がいい
  • C. 円に戻すタイミングを何とかコントロールしたい

A 手間をかけずに安心して運用できるかどうか

海外駐在中は、給与に物価調整が入ることが多いので実はお財布事情は少し楽になる傾向があります。

それは危険地手当などで実際の給与が増える場合もあれば、単純に住む場所に慣れていないのでムダ遣いが少なくなる、という事情もあったりします。周りに友達が多くいて、娯楽についても明るければ自然と支出が増えてしまっています。人によっては時差のせいで日本にいるときよりも激務に晒され、単純にお金を使う時間がない場合もありますね。

外貨が余ったので資産運用に回した方がいいのではと考えることは自然です。証券口座を開いて株式などを買う人も確かにいます。銀行口座からお金を動かさなければ、増えることはありません。

一方で、仕事に打ち込むこと、海外にいる間は海外生活を楽しむことも大事と考える人もいて、この場合は、資産運用を考えるのに時間を割かないような方法を選ぶのも一つの手でしょう。積立投資にしても一括投資にしても、安心して運用を任せられるような方法を探してみるといいと思います。

B 駐在期間後も継続できるかどうか

資産運用は長期で行うべきものですから、駐在期間という比較的短いタイムフレームではやはり”継続性”に不安が残ります。

そもそも日本を出るときに証券口座を閉じる羽目になった人もいるのではないでしょうか。駐在任期の終了はある程度読めるにせよ、厳密にはご自身でコントロールできるものではありません。

駐在期間が終わると同時に解約しなければならないようでは資産運用としての成功は望めません。

その国に住まなくなっても維持できることを大切にしましょう。

例えば、もし帰国後の支払いに懸念があるのであれば、20年払いという長期の契約を行うのではなく、余剰資金でのみ2〜5年払いのプランを選ぶ、などは一つできることですね。

C マルチカレンシーの保有は意味があるか

もちろん海外畑を進むキャリアもありますが、いずれは日本円に戻すのだろうと想像する人は少なくありません。今いる国での駐在後はどのような仕事をしているか分かりますか。

恐らくご自身の行き先もよく分からず、あるいは突然帰国が決まって、急ピッチで準備するというケースもあるでしょう。そんなとき同時にお金の心配もしなくてはならないのは大変だと思います。

とはいえ、外国為替のレートが悪いタイミングで様々なものを解約するのはもったいないですし、せっかくできた海外資産を整理してしまうことが果たして最良の選択肢かどうか、一度考えてみることは重要です。

外貨を持つことで、将来海外旅行に行きやすくなるかもしれません。マルチカレンシーで資産を保有できれば、将来に対するリスクヘッジになり得ることも知っておくべきでしょう。

日本語でサービスを受けられるか

現地に来たからには現地のサービスを受けることも一つの楽しみではあるでしょう。英語で様々な契約をすることも醍醐味ではあります。

一方で、現地で生まれ育ってずっと暮らす人と同じように扱われると、将来同じように利益を得られるとは限りません。例えば現地で年金を払っても、老後その国で過ごしているとは限りませんから、受け取れる保証はありません。日本を離れて日本の税制メリットを失ったのと同じく、現地を離れれば現地の税制メリットを失うことだってあります。

日本語でサービスを受けておくことは、長期的にお付き合いできる、という観点からは重要になってきます。

もちろん、日本語であることは決して最優先すべきものではありません。より良いサービスを享受することが大切です。

ご自身の置かれた状況を最もよく理解してくれる人をアドバイザーとして選ぶことです。もし周りにそういった方がいないのであれば、私までご連絡いただけたら誠心誠意対応させていただきます。

↓ この記事が気に入ったらシェア ↓