日本を出て非居住者になってしまうと、その期間中はせっかく組んだNISAやiDeCo、個人年金、保険など税控除型の資産運用方法は効果がなくなってしまいます。一方で、海外手当等で多少手持ちのお金が余りがちになることもある海外駐在員ですが、一体どのように海外駐在という期間を過ごしているのでしょうか。海外駐在員のお金における思考3パターンを提供してみることにしたいと思います。

海外駐在員のお金に関する3つの思考パターン

過去に私も海外駐在していた時期がありますが、海外駐在員のお金に関する思考を類型化してみると以下の3パターンに大体収まるのではないでしょうか。

  • ① 使い切り型・・・現地給与は現地給与、日本円に戻すくらいなら現地で使い切ろう
  • ② 現状維持型・・・放っておいたら現地給与にしても日本円での給与にしてもお金は貯まる。貯蓄が増えるのだからいいことだろう
  • ③ 積極運用型・・・海外ならではの何かいい運用方法がないか、探してみよう

まずは上記の3パターンの特徴についてまとめてみます。

【①使い切り型】に該当する人

外国為替は動くし、両替にはそれなりにコストがかかることは確かです。いつ円にするか悩むこと、またコストを払って円に換えることに抵抗がある人もいるでしょう。駐在期間は通常1年以上にわたりますから着任したときと帰任したときで為替は異なっていて当たり前です。とはいえ給与は毎月もらわなければならないので、(円換算してしまうと)今月は給与が多い/少ないと感じる人もいるようです。損得考えずにあるものは思い切って使うというのも一つの手ですね。ただし、帰国したときに同じ支出基準が残ってしまい非常にお財布事情が苦しくなる傾向があるのでそこは要注意です。

【②現状維持型】に該当する人

稼ぐ力があるときにできるだけ貯蓄をすることは大切です。それが海外だから、日本だからといってスタンスを帰る必要はありません。仕事に対しても真面目に取り組んでいる人が多いのではないでしょうか。日本だと副業解禁だとも言われていますが、海外では就労ビザで働いているので、このあたりはよく考えてから行動した方がいいかもしれません。

【③積極運用型】に該当する人

貯蓄と資産運用は同時並行で行われますが、海外にくると少し保守的に貯蓄しか考えない人がいる一方、海外に来て意気揚々と選択肢を探してみる人もいます。ただ、多くの場合は選択肢の少なさに悩むのではないでしょうか。最も手軽な銀行の窓販で満足する人もいます。駐在員というのはビザを発行されて滞在する人ですから、その国で生まれ育った人々と同じような制度を利用できることは多くありません。住宅ローンは組みづらいし、銀行へ行けば定期預金くらいしか勧められないかもしれません。運用利益が出ればその国で確定申告の心配もしなくてはいけません。銀行口座も証券口座もその土地に住んでいる間はいいですが、その土地を離れた後に契約を維持できるもの、実務的に管理ができるものは多くありません。

海外駐在員のお金に対する3つのニーズとその解決策

使う、貯める、運用するというのが上記の3つの思考パターンだったわけですが、稼ぐ力のある大切な時期だからこそ、やるかやらないかは別として資産運用に関する選択肢にはアンテナを張っておくべきであろうと思います。お金に対するニーズと捉えて整理し直してみます。

  • A. 日本に軸足があるものの、余っている外貨はそれはそれで何とかしたい
  • B. 運用はしたいが帰国した後のことが心配でない、面倒でない方がいい
  • C. 円に戻すタイミングを何とかコントロールしたい

A「余る外貨を何とかする」には資産運用の委託を検討する

海外駐在中は、給与に物価調整が入ることが多いので実はお財布事情は少し楽になる傾向があります。それは危険地手当などで実際の給与が増える場合もあれば、単純に住む場所に慣れていないのでムダ遣いが少なくなる、という事情もあったりします。周りに友達が多くいて、娯楽についても明るければ自然と支出が増えてしまっています。人によっては時差のせいで日本にいるときよりも激務に晒され、単純にお金を使う時間がない場合もありますね。仕事に打ち込むこと、海外にいる間は海外生活を楽しむことも大事ですから、資産運用を考えるのに時間を割きすぎず、どこかに委託してしまうのも一つの手でしょう。

B「帰国後の心配をしたくない」には駐在期間を意識した資産運用方法を選ぶ

資産運用は比較的長期で行うものですから、駐在期間という短いタイムフレームではやはり「継続性」に不安が残ります。そもそも日本を出るときに証券口座を閉じる羽目になった人もいるのではないでしょうか。「駐在任期の終了」はある程度読めるにせよ、厳密にはご自身でコントロールできるものではありません。その国に住まなくなっても維持できること、あるいは離れた後も手伝ってくれる人がいることを大切にしましょう。例えば、20年払いという長期の保険に入るのではなく、余剰資金でのみ2〜5年払いの保険を選ぶ、などは一つできることですね。

C「円に戻すタイミングは今じゃない」には維持可能なマルチカレンシー口座を選ぶ

今いる国での駐在後はどのような仕事をしているか分かりますか。恐らくご自身の行き先もよく分からず、あるいは突然帰国が決まって、急ピッチで準備するというケースもあります。そんなとき同時にお金の心配もしなくてはならないのは大変だと思います。とはいえ、外国為替のレートが悪いタイミングで様々なものを解約するのはもったいないでしょう。そもそも資産運用とは長期で行うものですから、可能であれば長期的に維持可能な方法で設計するのが大切です。気になるのが為替レートなのであればマルチカレンシー口座を選びましょう。

日本語でサービスを受ける意味

現地に来たからには現地のサービスを受けることも一つの楽しみではあるでしょう。英語で様々な契約をすることも醍醐味ではあります。一方で、現地で生まれ育ってずっと暮らす人と同じように扱われると、将来同じように利益を得られるとは限りません。例えば現地で年金を払っても、老後その国で過ごしているとは限りませんから、受け取れる保証はありません。日本を離れて日本の税制メリットを失ったのと同じく、現地を離れれば現地の税制メリットを失うことだってあります。長期的にお付き合いできる、という観点からすれば日本語でサービスを受けておくことは、こうした変化も想定したものになり得ると言えます。もちろん、日本語であることは決して最優先すべきものではありません。より良いサービスを享受することが大切です。