円安の時代、海外赴任で外貨を稼ぐことに興味を持つ人も増えてきているようですが、果たしてお金周りは改善するのでしょうか。実際の声を踏まえてまとめてみます。

海外駐在の理想と現実

海外赴任を通じて、お金周りが大きく変化するのは事実です。入ってくる部分、出ていく部分それぞれこれまでと全く違う状況に置かれるので、マネジメント能力が問われるわけです。

実際のところ、どのくらい給料が増えるのか、どのくらい貯金が貯まるのか、海外駐在は人生のボーナスステージだと言って差し支えないのでしょうか。

一昔前は香港でも、駐在期間を終える頃には現地でマンションを一つ持つことができた、という話もあります。もしそれを持ち続けていれば、会社の退職金などあてにしなくても、今すぐにでもFIREでしょう。異なる経済環境に置かれることはこういうチャンスもあるわけです。

一方で現実にも触れると、円安が進行したことで海外に人を派遣する費用は企業から見れば大きくなっており、様々なところで海外駐在にまつわる福利厚生を削りたい、という面はあるようです。そうでなくても、現地で物価上昇が急速に進めば、それに合わせて給料が調整されるとはいえ、その程度は実際のインフレには追いつかないものです。

海外での給与体系

一般的には、日本企業から派遣されて現地で働く場合、

  • 日本円での国内給与
  • 現地通貨での海外給与
  • その他手当

が給与となります。これらの割合は所属企業によって決まっていたり、あるいは国内給与と海外給与の割合を自分で選べたり、ということもあるようです。

ただ、合計額で見れば、日本で働いていたときに比べ、手取りがアップした、と答える人がほとんどです。その一番の理由は、税金や社会保障費、家賃がほぼ会社持ちになることにあります。

貯金を作るコツ

日本での生活と同じ水準で暮らしていれば(手取りが増えるのだから)自然と貯金はできるとは言えると思います。一方で、憧れの海外で生活を始めたからには、やりたいことリストも増える人が必ずいます。

もちろん、思い出作りは大事だし、その時しかできないことはあります。あるいは、海外生活のストレスを解消するために、余分に割くべき費用もあるでしょう。

給与が増えればできることが増えるのは当然、そしてそれはきっと嬉しいことですから、問題はそのお金をどのように使っていくことがベストなのかに目を向けることです。

実際に海外赴任を通じて貯金ができている人の共通点は、日本で暮らしていたときとそれほどやりたいことが変わっていない人である、とも言えます。もちろん、お子さんの教育により多くのお金を払っているかもしれませんが、それはきっと日本でいたとしても同じことをしたのではないかと想像されます。

もう一つ、日本でいても同じだったかもしれませんが、やはりダブルインカム(夫婦共働き)の方が貯金は増えます。海外赴任の場合、帯同した配偶者が働けるかどうかは派遣企業の方針や国によるかもしれませんが、就労可能な方法を探すこと自体は意味があります。

海外赴任によってキャリアを断絶することに悩む配偶者だっていると思いますが、何らかの職を探すことができれば、海外赴任期間をより満喫するのに役立ちます。

何に支出をするか

海外赴任中は、日本のいるとき以上に、手取りのマネジメントに尽きると言えます。入ってくるものが増えたとはいえ、概ね固定されている以上、出ていくお金に意識を向けてあげることで貯蓄形成のスピードは変わってきます。

意識しなくても増えるという人は、出来上がった貯蓄をどのようにして資産運用して増やすかに積極的に目を向けるべきですし、逆に意識しないと増えない、という人は、何にお金をかけているのかに意識を向ける必要があります。

結局のところ、稼いだお金は今の自分のために使うのか、将来の自分のために使うのか、という話であり、このバランスが損なわれていると幸せを感じづらい面があります。そのバランスは一人ひとり違うので、適切な位置を見つけてあげる必要があるのです。

帰国後のイメージ

海外赴任を通じてお財布事情が改善したとして、日本に本帰国したらどうなるかというと、今度はお財布が苦しくなります。単に元に戻るだけなのかもしれませんが、すんなり受け入れられる人は多くないものです。したがって、海外にいる間だからできることと、日本でも続けられること、は必ずしも同じではありません。

だからこそ、海外赴任期間を文字通り人生のボーナスステージにできるかどうかはその人にかかっているわけです。海外生活を十分に楽しんだ上で、海外でのお金周りに関して冷静な取り組みができるよう、考えてみてはいかがでしょうか。

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