長生きすることをリスクと思うなら終身保険の検討は欠かせません。保険に加入できないリスクや、解約する前に考えるべきことをおさらいしましょう。

そもそも終身保険とは

終身保険とは、保障期間が一生涯という性質の保険のことです。

イメージとしては死亡保険金がいくらという死亡保険タイプにはなりますが、あくまで保障期間の話なので、保険の種類と実は関係ありません。「その身が終わるまで」保障する保険は終身保険です。

一方、その身がいつ終わるかに関わらず、「定められた保障期間」があるものを定期保険と言います。

終身保険の場合、保障は一生涯ですが、保険料の払込も一生涯かというとそういうわけではありません。香港の場合は一括払い、10年払い、65歳まで払い、など様々な設計ができます。

保険に加入できないリスク

しばしば、保険の加入は健康なうちに、と言われます。確かに重い病気を患ったりすると、新しい保険に加入できないことがあります。定期保険の場合、一旦は保険金が下りて安心するかもしれませんが、その後は保険に入れない人として生きていくしかない可能性もあります。何らか保険に入れば安心、なのではなく保険契約をよく確認しておくことはオススメできます。

終身保険の場合、一旦加入してしまえば、解約しなければ一生涯の保障は約束されます。老後まで何の病気も患わずに過ごせることは素晴らしいですが、実際にはそういう人の割合は少ない、ということも知っておくべきでしょう。

終身保険の解約

保険契約を解約するのは加入者の権利です。解約できない保険というのはありません。終身保険の場合、時間をかけて解約返戻金が積み上がってくるものが多いですから、“資産”のように映り、何かお金に困ったときに解約をしようと考える人はいます。確かに終身保険も資産ですし、亡くなれば遺産ということにはなります。間違ってはいません。

一方で、一度終身保険を解約してまたお金に余裕ができたら入り直せばいい、というのは少し待って考えてみたいところです。解約返戻金のある保険契約の場合、契約者貸付という、保険契約を解約せずにお金を借りる、しかも一般には銀行で借りるよりも安い金利で借りることのできるケースがあります。本当に一時的な出費なのであれば、保険の担当者ともよく話して最適な手段について検討しましょう。

長生きするリスク

保険ってリスクを移転する代わりに保険料を払っているのだから加入者が得することはないよね、という考え方の人もいます。世の中には保険料が掛け捨ての保険もありますから、健康に過ごした結果なんだか損をした感覚になってしまいそうです。「万が一のために」という言葉に抗えなくてやむなく自分を納得させる人もいますね。

保険会社は保険加入者を募ることによって常に利益をあげることができるのか。もしそうだとすれば保険に入るのは損だと思う人がいてもおかしくはありません。死亡保険は非常に歴史が古く、そして人は誰しもいつかは死にます。これは世の常です。

一方で、地震保険やコロナ保険を見てみると、せっせと加入者を募るときもあれば、募集をやめたり、保険料を引き上げたりする保険会社があることに気付きます。

つまり、保険商品の提供をするにあたって、保険会社が引き受けられるリスクと、そのリスクの算定に用いる統計的根拠が存在するわけです。リスクが大きくなったり、前提となる環境が変化したりすれば当然ながら保険会社として見直しをせざると得ません。

死亡保険も歴史が古いとはいえ、その前提が変わっていないわけではありません。とりわけ平均寿命の伸びが確認されています。この想定よりも長生きするリスクのことを保険会社は長寿リスク(Longevity Risk)として議論をしています。

もちろん、あなた個人が何歳まで生き続けるかははっきり言って今の科学では予測しようがありません。私も知りません。早死にするかもしれませんし、100歳を超えて長寿でテレビに出ることもあるかもしれません。

人口全体の中での一人として扱われ、保険会社として個々に見れば、利益が出た保険契約と、損失が出た保険契約、があるのは想像に難くはないですよね。前提となる環境の変化により、利益よりも損失が大きくなると思えば、保険契約そのもののあり方を見直す、というわけです。

死亡保険に関して、保険会社が引き受けられないリスクの人とは、簡単に言えばすぐに死ぬかもしれない人です。余命宣告を受けた人はもちろん、70歳以上といった高齢の人を受け入れないのはこのあたりに事情があります。保険はできるだけ若いうちに入っておいた方がいいと言われるゆえんですね。でも、若くして保険に加入したとして健康なまま70歳になった人と、同じく健康な70歳で保険に入っていない人と本質的に違うものは何か、と考えます。

すごく単純化したことを言えば、若い人を保険に加入させることは保険会社にとって分があり、高齢な人を保険に加入させることは加入者に分がありやすいと考えていいと思います。だから若くして保険に加入した人は保険会社に貸し/貯金がある状態なので、長生きしても面倒を見てくれるわけです。

死亡保険の解約というのは、この貯金の部分を引き揚げる行為になってきますから、要注意です。まして終身保険の貯金はそれなりに積み上げねばなりませんから、途中でリセットするメリットが本当にあるのかどうか。

香港の保険の場合、100歳まで、120歳まで、138歳までのように、実質的に終身と思えるものでも満期が存在するものがあります。100歳まで生きる人は多くはありませんから、契約上の障害は実質ありませんが、ただ、この場合は契約上、終身(Whole of Life)でないことは事実です。

人生100年時代は今の認識、あなたが生きる数十年後の姿は人生120年時代かもしれません。終身保険に入るべきなのかどうか、そして入っているなら解約すべきなのかを考えることは、意外と重要な論点かもしれませんね。

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