“852”にさよならを告げる予定はありますか。荷物をまとめて香港を去る前に読み返すべきチェックリストをまとめてみます。

2019年から香港では本当に様々な出来事がありましたね。国際的な人の往来が減少する中で目立ったのは「香港脱出」というワードだったかもしれません。

生まれてからずっと香港で過ごしたにせよ、数ヶ月で香港を出ていくにせよ、リロケーション(居住地の変更)は簡単なことではありません。様々な事務手続きが右にも左にもありますから、香港を脱出する前にやっておくべきことを知っておきましょう。余裕を持ってやり切ることで友人との別れの時間を楽しんだり、お土産を買う時間を十分に持ったりすることができるでしょう。

香港を去る前にすべきこと

納税を適切に行う

一時的な居住者であったのであれば、まずは税金面をクリアにすることを目指しましょう。香港では翌年の分も予定納税をしています。最後の納税分についてはInland Revenue Department (IRD)に香港を離れることを通知した上で処理をする必要があります。電話やメールで、名前とHKID、そしてTax File NumberをIRDに伝えるところからスタートできます。

雇用が終わるのであれば、雇用主は同じく最終的な税金についてIRDに連絡をする必要があり、これはオンラインで完結できます。1ヶ月前通知によりトリガーされ、14日以内に提出することとされています。香港の場合、納税は最終的には個人の義務なので、自らIRDへ行って完了させます。予定納税分より実際の納税額が少ない場合は返金がなされます。個人事業を行なっている場合も香港を離れる旨をIRDに伝えるようにするとよいでしょう。

MPFの計画を立てる

香港を永久に離れる旨の宣誓をすることでMPFは早期に解約をすることが可能です。これはPublic Enquiry Service Centreにて簡単にアレンジができます。ただし、早期の解約は一生に一度しか許されていません。もし香港に戻る予定があるのであれば、MPFの解約をすべきなのかどうか十分に考える必要があります。手続きは非常にシンプルで、HKIDを持っていき、香港を永久に離れるという証明書類と宣誓書を提出するだけです。申請が完了すれば、指定の銀行口座に1ヶ月以内に送金がされることとなっています。もし複数のMPF口座があるのであれば、MPFの統合をしていればこの手続きはよりスムーズになります。

各種Billを確認する

公共料金の場合、自分名義で契約をしており、他の場所へ移転する予定がないのであれば、契約を終わらせる通知を予め行う必要があります。デポジットを払っている場合もあるので、その場合は返金に14日程度はかかることを知っておくべきでしょう。

電話契約の場合、実は契約を誰かに渡す(売却する)ことができるケースがあります。新しく香港に来る人がいれば、契約の移譲を検討してみましょう。上手くいけば残りの契約期間の分を払わなくて済みますし、次の人物はいち早く契約をスタートすることができます。

インターネット契約の場合、固定の契約期間が多く、解約するにも30日前の通知が必要だったりします。契約によっては違約金が発生しますし、あるいは30日前通知をしたとしても、契約期間の残りの分を払う必要がある可能性はあります。早めに契約内容とプロバイダーへの連絡のタイミングを確認しましょう。

その他、メンバーシップや医療保険などの継続支払契約のあるものを確認しましょう。香港を離れたのちも維持できるものもあれば、香港外からだと解約の連絡すら取りづらいケースもあります。

銀行口座を整理する

香港に戻ってくる必要がある場合、銀行口座は維持したいと考える人が多いかもしれません。銀行口座を完全に閉鎖する、あるいは一つにまとめる、あるいは住所変更をして維持し続けるなど、様々なオプションが考えられます。携帯電話の解約などで認証に必要なSMSなどが届かなくなることは考えられますから、ご利用の金融機関がどのような認証方法をとっているのかは確認すべきところです。

郵便物を転送する

香港での退去後の郵便物の転送はPost Officeの場合は書類を提出すれば3ヶ月間有料でやってくれます。何かで返金がある場合は、銀行小切手で登録住所まで発送される場合も多く、気になる人は転送手続きをしておいてもいいでしょう。

家財を処分する

香港での購入した電化製品など、他の国では使用できないものもあるでしょう。香港にいる友人に譲るのも一つの手ですが、FacebookのグループやCarousell、Asia Expatなどのサイトでは中古品のやりとりが気軽に行われています。香港のマンションでのゴミ出しは複雑ではありませんが、中古品のやりとりでは欲しいという人が自分で取りに来てくれたりしますし、衣服やキッチン用品、電化製品などの一般的なものはまとめて寄付してしまう、という選択肢もあります。

領事館へ連絡する

香港に来た時も領事館へ行き、在留届を出したと思いますが、帰国する場合も領事館へ連絡することは望ましいと言えるでしょう。現地で直接在留届を出した場合は、そのまま帰国してしまった場合は、郵送やFAXでの対応となります。オンライン在留届の場合は、後からでも構いません。なお、住民票を抜いて在外選挙人の届出をした場合は、日本に戻って住民票を入れ直すので、住民票の作成から選挙人名簿に登録されるまでの3ヶ月間は日本に帰国後であっても、在外選挙人証を用いて投票します。

ペットを連れて行く

香港でペットと過ごしていた人は、連れて行くことを考えると思いますが、この手続きは単に飛行機に一緒に乗ればよい、というものではありません。香港から動物を連れ出す場合、飼い主は香港の手続きに基づいて許可を得る必要があり、同時に、連れて行く先の国からも許可を得る必要がある、と考えておくべきでしょう。動物独自に何か伝染病などが懸念される場合は、ペットの渡航自体ができなくなる可能性はあるので、必ずしも飼い主とともに海を渡れるとは限りません。人間の帰国よりも前にペットの帰国について検討をすることはお勧めできます。

記録はとにかく残す

身支度をする中で、書類などを破棄したいと考えることは多いですが、香港でどのような手続きをこれまでしたのか、そして帰国手続きの中でいつ何をしたのか、バタバタしていると忘れがちになります。記録を残しておくことは何かあったときに誰かに説明するのにも役に立ちます。新しい住所で落ち着いた頃、何も問題がなければ書類などを破棄していくと良いかと思います。

香港を脱出する様々な理由

一時的に離れる

香港の場合、パーマネントビザを保有していれば、連続して36ヶ月香港を離れない限りは永久居民のステータスを維持することができるとされます。そのため、様々な名目で“しばらく”香港を離れるという決断をする人がいますね。

出張等であればすぐに戻ってくるでしょうが、そうでない場合は「戻ってこない可能性」を考慮に入れることはお勧めします。とりわけこの数年は旅行で気軽に香港に来る、というのがなくなってしまったので、逆にどうしても戻らなければならない理由について考え、そして実はそれがないために離れたままになっている人を見かけます。

多少高齢の方であれば、健康面での変化が訪れることも十分あり得る話ですから、いざとなったら頼りにできる人を事前に考えておくのは大事です。でも、その頼りになる人も同様に香港を離れるかもしれませんし、そんな状況で他人をサポートできるかは分からない、ということは念頭に置いておくべきかと思います。

海外から働く

香港に法人を持ち、あるいは労働形態を維持しつつも、海外から働くという選択を選ぶ人もいます。その形は私の知る限りでも様々なので、是非についてここで論じるつもりはありませんが、実際にはある話です。

これまでもあった最もシンプルな例だと、中国本土と香港を行き来するタイプの仕事をしていた人ですね。香港でのワーキングビザを維持しながら、本土側で過ごす、ということは行われてきたようです。

かつては、知り合いの会社に頼んで香港のワーキングビザを発行してもらいつつも、雇用としての実態はほとんどない、ということもやや横行していたと聞き及びます。近年はそういった実態に対する政府側の監視の目も厳しくなっていると聞きますし、そもそもオススメできる類のものではありません。

香港に法人を持つ場合、経済活動の実態が香港にあるのであれば、スタッフもいるでしょうから、それほどの不都合は感じることはないでしょう。逆に意識を向けるべきは本人の居住性の実態の部分であり、それによっては追加的な税務面での考慮などが必要になるケースは想定できます。

日本へ永久帰国

香港には駐在で一時的に来ていただけだ、という人は日本への本帰国とともに、香港という土地を訪れることもなくなるでしょう。この場合は、あらゆるものを片付け、稼いだお金も日本に送金して、ということになります。

証券口座は香港居住で亡くなった場合は維持できないものもありますので、予め維持可能な口座への証券移管などを考えることもできます。生命保険の契約の多くは、居住国が変わっても維持可能ですので、住所変更に必要な書類などを担当者に聞いておきましょう。帰国後の作業もスムーズになります。また、居住国が変われば税制上の対応も変わり得ますので、行政上の手続きとは別に、お金周りの影響について予め専門家に意見を聞いておくとよいと思います。

まとめ

香港から命からがら脱出、ということはないでしょうから、十分な時間軸で、よくよく計画を練ることは常に推奨されます。もし初めての海外だったという人には改めて海外生活を振り返る良い機会にもなりますし、逆にずっと住んでなかった国に行くという人にはより安心感を持ってリロケーションに臨むことに繋がります。このチェックリスト、是非参考にしてみていただけたらと思います。

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