財産の継承を適切に行うことは、大切な人を守る上で極めて重要です。遺言と信託は、2つの主要な財産計画のツールとして、それぞれ機能と適正性があります。両者の適正性、プロセス、法的手続きや関連費用を比較し、より良い選択を行いましょう。

法律に基づく財産計画

個人には意思がありますが、それを法的に有効にするには、遺言や信託といった形態を取る必要があり、それにより財産は指定された親族や受益者に相続されることになります。両者の決定的な違いは、遺言が遺言者が亡くなった後に効力を生じるのに対し、信託は生前に既に機能し、財産の管理を始められる点です。

そのため、結婚していて子どもがいたり、あるいは不動産や特定の資産を所有している場合には、少なくとも基本的な遺言書を作成しておくと良いでしょう。もし、生前に明確な配分を希望し、時間のかかる相続手続きを回避したい、あるいは資産が多岐にわたり複雑である、といった場合には、信託の利用を検討し、財産の管理と保護を強化することになります。

受益者情報の活用

遺言や信託以外にも、財産の受取人を指定する方法はあります。それは受益者情報です。保険、年金、投資口座などで受益者が設定できる場合、通常は遺言や信託に記載された取り決めよりも法律上は優先されます。受益者の設定は基本的に無料で、金融機関に対する各口座に関する直接指示であり、相続の手続きが不要となります。

ただ、漏れが生じないようにしたり、遺言と矛盾が発生しないようにしたりするために、定期的に受益者情報を確認し、更新することが大切です。とりわけ、結婚、離婚、出産などで家族構成が変更した後は、改めてご自身の希望について考え、更新するようにしてください。

遺言が必要かどうかの判断

多くの人は資産が少ないときは遺言の必要性を意識しない、あるいは遺言を作成する必要はないと考えています。ただ、実際に必要かどうかは複数の要因に左右されます。亡くなった際に有効な遺言がなければ、分配は本人の本来の意図と異なったものになる可能性があり、場合によっては家庭内の争いを招くことになります。

遺言作成を検討すべき状況の代表例は以下です。

  • 未成年(18歳未満)の子どもがいる

遺言において法定後見人を指定でき、裁判所によって養育者が選定されることを防ぎ、子どもの権益と生活の手配が保障できます。

  • 一定の価値を超える資産を保有している

明確な資産のハードルがあるわけではありませんが、不動産や株式、大量の現金資産を持っている場合、遺言により財産の配分及び処理プロセスが迅速化され、遅延や紛争が回避できるのは確かです。

  • 個人の物品や財産を明確に配分したいと希望する

財産が多くなかったとしても、個人の物品や財産(宝石、コレクション、ペットなど)を渡したい相手が明確に決まっているならば遺言は役にたちます。

  • 信託の補完として用いる

信託があれば遺言が不要ということではありません。遺言は依然として信託に入っていない財産を信託に移転したり、漏れを防止するのに役立ちます。

信託が必要かどうかの判断

信託は裕福な人だけのもの、と考えがちですがそうではありません。財産を柔軟に分配したり、特別な家族メンバーに配慮したり、相続手続きに伴う煩雑さを回避したいと考えている場合、信託は検討に値します。

信託設立を検討すべき状況の代表例は以下です。

  • 資産規模が大きく、税金の配慮が必要

信託が節税に繋がるとは限りませんが、国際資産を所有している場合、将来的に移住する国によっては予め信託を設立することで潜在的な税負担を軽減できる可能性があります。

  • 財産処理能力の低下の懸念

病気やその他の理由で将来行動能力や判断能力ができなくなったとき、信託が設立されていれば、指定された受託者が代わりに財産を管理できます。

  • 債権者からの請求を防ぐ目的

信託の設立により財産は法的に個人名義から離脱するため、潜在的な債務追求リスクを回避できる可能性があります。例えばビジネスオーナーは自己の財産を倒産隔離することが可能です。

  • 遺言が覆されたり、家族内紛争が起きることを心配

信託された財産には直ちに法的拘束力が生じるため、遺言に比べて覆される可能性は低くなります。

  • 受益者の遺産管理に心配がある

子どもが未成年であれば、成人した後に段階的に分配するようにするようにする、あるいは受益者が学費や医療費など、特定の使途にのみ財産を引き出せるようにする、などを規定すれば、浪費されたり早期に枯渇したるすることを防げます。

  • プライバシーを重視する

国によっては遺言は公開される可能性がありますが、信託の受益に関わる内容は衆目にさらされることはありません。したがって、受益者同士にとって不公平な分配であっても紛争になりづらく、また世の中から非難されるような事態も排除できます。

遺言または信託を選択する際の考慮事項

信託に関しては生前から有効なので、裁判所による相続手続きがなく、途切れなく柔軟な財産管理が実現できますが、遺言の場合は、相続手続き自体を回避するものではないので、実際に財産管理が移るまでには時間がかかることがあります。

費用面で言えば、信託よりも遺言が安く済み、また信託は財産構成が複雑になるほど高額になります。費用がかかることから常に費用対効果の観点は必要だとは言えるわけです。対象となる財産によって、どのような方法が費用対効果が良いかは変わってきますので、どちらかを選ぶ必要があるわけではありません。それに漏れが出ないとも限りません。結局のところ、ご自身の死後、財産がどのようであって欲しいか、その意思が明確であるほどに遺言も信託も必要性を増す、と考えられます。

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