単なるフードデリバリーとしてでなく、テック企業としての躍進が背後にある美団点評 (メイチュアン・ディアンピン)。次なる経営戦略を探る。
目次
サマリ
美団点評(メイチュアン・ディアンピン)は、2010年に、王興(Wang Xing)氏が率いて北京を本社として創業した美団網に端を発し、もともとはアメリカのグルーポンのような共同購入サイト(Meituan.com)であったが、2015年に中国版食べログサービスを提供していた大衆点評網と合併し、美団点評(メイチュアン・ディアンピン)が誕生した。
「テクノロジーを活用して、人々の食と生活をより良くしたい」というミッションを掲げており、レストラン予約、ネットでの出前注文などの食の分野から、最近では、旅行サイトや自転車シェアリングサービスなど、生活全般までをカバーしている。
ビジネスモデルとしてはプラットフォーム上での注文に対して加盟店から手数料をとるスタイルだが、加盟店と消費者を結びつけるだけのプラットフォームサービスではなく、統合されたマルチチャネル決済システムを使用しており、独自のMeituan Payのみならず、WeChat PayやUnion Payなども利用可能。
ある意味では、模倣からスタートしたビジネスではあったが、今では単に、レストランなら食べログ、旅行ならExpediaのような使い分けではなく、Meituanのプラットフォームで様々な生活情報サービスが利用できるのが特徴となっている。訪日中国人観光客の約半数もMeituan.comを利用していると言われている。
中国最大のOMO(Online Merges with Offline)プラットフォーム企業であり、新中国三大テック企業の一つとしての飛躍が期待されている。2018年9月20日には香港上場に上場しており、2020年12月7日から、ハンセン指数入りが決まっており、約5%を構成する大型銘柄となる予定である。
なお、2020年9月30日に、正式名称を美団点評から、「美団(Meituan、メイチュアン)」に変更している。
特徴
筆頭株主:テンセント・ホールディングス 約17%
テンセント・ホールディングス傘下のテック企業のうちの一つであり、一時は社会的にはやや無名ながらも投資家の間では将来有望なユニコーンとして名高かったが、今では中国国内では多くの人が利用している。
配当利回り:0%
外部格付け:S&P BBB- / Moody’s Baa3 / フィッチ BBB- (2022年11月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 3690 MEITUAN
最近のトピック
美団(メイチュアン )は大手食品配送プラットフォームとしてデジタル人民元のプロジェクトにも参加している。
中国デリバリーサービスにおいて、独占的な地位を確立した美団は、新型コロナウィルス流行は店内飲食や旅行の制限により一時はやや逆風となったが、その後は追い風として事業が拡大しており、直近は香港だけでなく、上海や深圳でのセカンダリ上場を目指す動きが報道されている。
2021年4月、トップアッププレースメント方式で増資を行い、70億米ドル、ゼロクーポン転換社債(CB)を発行し、30億米ドル、計100億米ドルを調達し、オンライン食品販売など新たな分野でアリババなどとの競争に備える。
2022年10月、メイチュアンは香港市場への進出に向けた採用活動を始めたと報じられており、香港のデリバリー市場をどう変革するのか注目が集まる。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。