ジャック・マー(馬雲)が設立した阿里巴巴集団(アリババグループ)は世界を代表する企業へ成長。プラットフォーマー規制の逆風の中でも次世代への牽引役を担う。
目次
サマリ
阿里巴巴集団(アリババグループ・ホールディング)はジャック・マー(馬雲)が1999年に設立し、中国本土浙江省杭州市に本拠地を置く、持株会社である。
2016年には米ウォルマート、米コストコ、仏カルフールを抜き、世界最大の小売企業・流通企業となった。現在はオンラインモバイルコマースカンパニーとして世界的に有名。主なサービスは以下の通り。
- タオバオマーケットプレイス(Taobao.com)は2003年に開設された、CtoCのeコマースプラットフォームとして中国最大。
- アリエクスプレス(AliExpress)は世界中の消費者が中国のメーカーや流通業者から直接商品を購入できるグローバルな小売市場
- 1688.comは中国で人気の商品、アパレル、化学製品などを幅広く取扱う卸売市場
- アリペイ(Alipay)は2004年に開始され、現在では中国消費者に最も使われている決済アプリ
2005年にYahoo!中国の買収を成功させたことで、世界的な知名度が高まった一方、このとき米国Yahoo!が株主として名を連ねるようになったが、2019年にはアリババ株を段階的に売却し、企業としても米国Yahoo!は米ベライゾンに事業を売却し、解散している。
2014年にニューヨーク証券取引所に上場し、当時は世界最大のIPOとして話題を呼んだほか、2019年11月26日には香港証券取引所に上場し、2020年にはハンセン指数の構成銘柄入りを果たしている。
アリババはプラットフォーマーでありながら、プラットフォーム掲載料ではなく、マーケティングと技術へのサポートサービスを提供することで収益を立てている点が米アマゾンとは異なります。売り手と買い手を直接繋ぐことにも意味を見出しています。また、それを支える消費者の日常生活のあらゆる側面をカバーするビックデータを利用しています。
特徴
筆頭株主:ソフトバンク・ホールディングス 約25%
筆頭株主は創業者のジャック・マーと交流の深い孫正義の率いるソフトバンク・ホールディングス。なお、創業者のジャック・マー氏の持分比率は5%未満となっている。
配当利回り:0%
外部格付け:S&P A+ / ムーディーズ A1 / フィッチ A+(2021年11月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 9988 BABA
最近のトピック
順風満帆に見えたアリババであったが、子会社のアントのIPO延期を皮切りに中国当局による規制強化に対応を余儀なくされている。インターネット企業を中心に独禁法の考え方が見直されており、2020年12月14日には、過去のM&Aに対して罰金が課せられた他、企業分割もいずれは視野に入る可能性がある。
巨大なITプラットフォーマーに対する適切な監督体制の構築に関しては、中国独自の課題ではなく、米国や欧州などからも、これまでにない逆風が吹くことが予想されている。株価の下落に呼応する形で、2020年12月28日には自社株買いの規模を100億ドルに拡大している。
一方で、アリババは自動車分野や医療分野など、他業種への職種も伸ばしており、次世代の社会への牽引役としては引き続き活躍することが期待されている。2020年12月3日には、アリババ出資のAutoXが中国の深圳他5都市において、人間のドライバーが一切運転を行わない、完全自動運転のロボットタクシーサービスのテストを開始している。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。