投資を検討する際、ハードアセットがいいのかペーパーアセットがいいのか、悩む人はいます。それぞれどのような特徴があるのかを知り、効果的に組み合わせることが最終的には効率的な資産運用へと繋がります。
目次
ハードアセットとは
ハードアセットという言葉を初めて聞く人もいるかもしれませんが、いわゆる実物資産、非金融資産のことを指します。例えば、金地金、不動産、時計、アート、ワインなどです。実体を持つ資産なので、使用したり賃貸したり、場合によっては消費したりするものになります。
貨幣価値の下がるインフレ局面においては、こうしたモノの価格は上昇し、インフレ対策になることが想定されます。所有権を伴って保有することは、維持管理のために費用がかかることもあれば、逆に使用貸借することで利益を得ることもあります。
ペーパーアセットとは
今でこそデジタルの世界になりましたが、ペーパーアセットはまさに紙の形態であった資産を指します。
例えば、株式や債券、預金などです。紙そのものに価値があるというよりは、紙が権利証の役割を果たすことで、法律に基づいて価値を与えられる資産、ということです。こうした権利を分割したり、組み合わせたりすることで新たなペーパーアセットを作り出しているのが投資信託であったりデリバティブ(金融派生商品)と考えることができます。
資産形成をするならペーパーアセットから
どのようなアセットに投資するかは個人の自由だとしても、初めに取り組むならペーパーアセットの方が取り組みやすい、とは言えます。なぜなら分割されているので少額からできるし、どのような大きさの投資にも当てはまるものが必ずあるからです。
ペーパーアセットのための取引市場はとても整備されていて、売り買いがしやすいため、何かあったときに現金化しやすいともメリットです。そういう意味で資産を形成しやすいのはペーパーアセットだと言えるでしょう。
このことは必ずしもあとからハードアセットがよいということではありませんが、ハードアセットの場合、どうしても小口にはなりづらいですし、実物が存在するがゆえに管理の手間が大きくなりがちです。
逆にある程度資産ができてからであれば、インフレに勝つためだけに手堅く価値保存できたり、あるいは資産を担保に借入を行ったりできるため、売却しなくて済む局面もあります。
ハードアセットに投資するペーパーアセットもある
ペーパーアセットは組み合わせ次第で様々な投資対象を含めることができ、ハードアセットに間接的に投資をすることも可能です。この場合、先ほど触れたようなハードアセット特有の手間は除くことができる一方で、ハードアセットの特徴を学ぶこともできます。
もし、資産規模が十分でないと感じていながらハードアセットに関心があるのであればこのような方法で投資することは可能だと知っておきたいものです。金融商品の開発技術の発展により、実に様々なものが誰にでもアクセスできるようになっていますから、ペーパーアセットとは株式で、それも個別の企業に投資する必要がある、というような偏った見方をする必要はありません。
現金も大切な分散投資対象
投資を通じて資産価値が増えたり、資産価値を維持したりできることが理解できたなら、逆に言えば現金を最小限にしよう、という人もいると思います。
ただ、現金には現金の役割があり、あまりに少ないと予期せぬ出費に合わせて資産を売却しなければならなかったり、あるいは資産が一時的に目減りしたときに生活へのプレッシャーを感じたりすることに繋がります。価値は増えるばかりではなく減ることもあるわけですから、金銭的にも心理的にもバッファーを持っておくことは大事になってきます。
資産が大きく下がるタイミングを狙いたいがために、現金を大量に保有していたところで、そういうタイミングがすぐに訪れるとも限りませんし、それが最良の投資機会とも限りません。千載一遇のチャンスを待ち続けるくらいなら、それなりにバランスのとれた投資をひたすら続ける方が最終的には資産が増える可能性が高くなるかもしれませんよね。
資産の守り方を誤解しない
投資リスクを過度に恐れて現金偏重に陥る人は、現金の持つ投資資産としての特徴を踏まえて、それが適切か、を考えてみてもいいでしょう。何もしない結果が現金なのではなく、現金に積極的に投資している、と思ってそれでも現金を選ぶならそれは自分自身と向き合った結果でもありますから、何も悪いことではありません。
また、ハードアセットにしてもペーパーアセットにしても、気に入ったものにひたすら投資をするだけだと偏ってしまいますから、少しずつでもいいので投資の対象を広げる意識を持つことは大切です。投資の格言に「卵は一つのカゴに盛るな」もあります。結果として、自分に合った最適の資産配分に辿り着くためのヒントにもなります。