徐々にではあるものの、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)という業種が広がってきました。このIFAを選ぶ上で、失敗しないためのチェックリストをまとめてみます。長いお付き合いになることも想定されるため、安易な選択にしないことは非常に重要です。

見た目の報酬の安さで選んでしまう

IFAの場合、事務所単位で、あるいは担当者単位で報酬の設定ができることが多いです。細かな設定ができなければ、報酬の高い/低い商品を中心に販売する、といったことで調整がかかります。

したがって、IFAの報酬の低さはお客様の取り分の大きさに直結する面があり、それゆえに見た目の報酬の安さには惹かれる人もいるでしょう。しかしながら、費用には見えるものと見えないものが存在し得ます。

見える部分が安くなっていたとしても見えない部分で高くなっていては意味がないので、報酬の安さを過度に宣伝してライバルとの競争に勝とうとしている場合には要注意です。安売りの末路は品質低下であることが多いからです。

報酬体系について聞かずに依頼してしまう

独立系ファイナンシャルアドバイザーは独立系ゆえに一人ひとりの報酬体系が存在します。この点は士業への依頼とよく似ていて、どこにどのような費用が発生するかは人によります。

話すのはタダ、請求されるまでとことん情報を取ろうなどと思わずに専門業として接してみると情報の質は変わってくるでしょう。

また、報酬体系は必然的にその人から出てくる提案の方向性と深く結びついています。仕事である以上、お金にならないことをやり続けるのには限界がありますから、何か気持ちの良いサービスを受けたのであれば「何かお支払いした方がいいですか」という逆提案をしてみてもいいかもしれません。

報酬の値下げを要求してしまう

場合によっては提示された報酬の額が高いのではないか、と思うことがあるかもしれません。

もちろんその感覚自体は大事ですが、すぐに値下げを要求する前に、逆になぜそのような報酬になっているのかは考えてみるといいかもしれません。

依頼した内容が多かったのに、報酬は下げて欲しいというのは無理なリクエストですし、逆に予め強引に値下げに合意させておいて後からたくさん要求をすればいいというものでもありません。

結局は、相手が人間である以上、適性な報酬を受け取っていることはサービスの質とモチベーションの維持にとって重要になってきます。もちろん、法外な報酬をふっかけられる場合もあるかもしれませんから牽制は重要ですけどね。

事務所の場所の便利さだけで選んでしまう

IFAは人間ですから、会って話せる人が大事だ、というのも当然あるでしょう。なんなら事務所は自宅に近いか、あるいは都心に近い便利な場所に事務所があったら、と思う人はあるかもしれません。

しかしながら、より重要なことはIFAとしてのサービスが十分なものであるかであって、往々にして便利な場所にあることとは関係がありません。

リモートでも多くのことが完結する時代ですから、選択肢を狭めずにより良いIFA探しをするのが良いと思います。

ネットの情報だけで信頼して選んでしまう

一方でネットで調べて出てくればいいか、というのもあります。

物理的に人にあったり事務所を訪れたりすることに価値を感じる人もいますが、より重要なのはしっかり時間をとってIFAの人と話すことです。

仕事の話、プライベートの話、人間関係の話など、クライアントの側からも「信頼」を築く努力をすることは大事です。

もちろんIFAを信頼できるかは重要な判断基準ですが、ネットに書いてある情報は古いかもしれませんし、ネットに上がっている以上はマーケティングの要素がゼロなわけではありませんから、問い合わせをして色々と話してから決める、というスタンスでもいいかもしれませんね。全く違う印象を持つことだって当然あります。

在籍人数の多い会社を選んでしまう

会社の規模が重要になることは確かにありますが、どのような組織風土なのかは会社によって違いますし、ビジネスモデルも異なります。在籍人数の多さが、働きやすい会社に繋がっているとは限りません。

ただ単に人材の流動性が高いだけなのかもしれませんし、結果として広告をたくさんうっているだけなのかもしれません。中で働く人がどのような人たちなのか、を意識することは常に大事です。

著名だからという理由で依頼してしまう

著名であるというのは一つの安心感を提供してくれるのは確かです。

多くの人が利用していることも想定されるので、一定のサービスレベルを期待することはできるでしょう。

ただし、著名であるというだけでマウントを取られてしまっていて、一人ひとりのクライアントの顔は見られずに仕事されている可能性はあります。

人気のある、忙しい担当者ほど優秀だ、とも考えられますが、サービス水準が自分に引き付けて適切なものかどうかは考えた方がいいかもしれません。

義理人情で担当を選んでしまう

IFAと付き合うようになると、ヒューマンタッチな部分も非常になってきます。

クライアントとアドバイザーの相性があるからですね。大した用でもなくても連絡する仲になったりする人もいます。気軽に、気さくに話せる相手というのはいた方がいいものです。

ただし、人として付き合うという部分と、IFAという仕事として付き合う部分は分けて考えることも大事です。仲良くなったので、何でも提案を受け入れるようになったり、報酬について交渉をしなくなったり、というのは避けねばなりません。

大切な資産を預けているとしたらなおのこと、しっかり出口まで見届けてくれることは確認しなければなりません。世の中優しい方もたくさんいらっしゃいますが、いつの間にか相手から裏切られていることに気づいていない人も見受けられます。

知人からの紹介という理由だけで選んでしまう

IFAは事務所が実にたくさんあります。どこを選んだらいいのか悩む人も多いでしょう。

知人から紹介されて初めてIFAについて知る人もいるかもしれません。中小の事務所もあるので口コミというのはよくある入り口にはなりますが、場合によっては報酬目当てで紹介業をやっている人も見受けられます。

お客さんを紹介してくださるのは嬉しいですが、紹介料はいくらでないと困る、といった交渉が入った場合は一切をお断りするようにしています。

多くの場合は、提供しているサービスの質のことを考えてはくれていませんし、まして紹介されるお客様のことを考えてもいないことは明らかだからです。

IFAを紹介されたことは一つのきっかけとして受け止め、自分に合ったIFA探しへと駒を進めればいいだけのことです。知人は本当にいい人を紹介してくれたのかどうか、それでもって公平に評価すればいいだけのことですから。

業務内容を確認せずに依頼してしまう

目の前のIFAの方は普段どのようなことに時間を割いているでしょうか。

例えば事務所長のような方であればひょっとしたら外周りばかりで、仕事を依頼したら全て部下の方が対応する、といったこともあります。

あるいはクライアントの対応はしているものの、責任の伴う署名などは全て部下任せということもありますし、資産アロケーションは会社の投資マネージャー任せということありえます。

あるいは普段はIFAとしての仕事以外のことにばかり精を出す、副業タイプのIFAかもしれません。あるいはIFAと名乗りつつも、実は背後にIFAの人がいるだけのケースすらあり得ます。担当するIFAの方が期待する業務をしていることは確認すべきでしょう。

ライセンスの有無を確認せずに依頼してしまう

IFAという業態が指す仕事は実に様々です。保険代理店という場合もあれば証券会社から独立しただけでやっていることは同じというケースもあります。

金融業者として正式に活動しているのであれば然るべきライセンスがあることは確認したいものです。あるいはライセンスの仕組みや保有有無について聞くことはクライアントの権利ですから、その上で話をしましょう。

専門分野を確認せずに依頼してしまう

前段のライセンスの有無はあくまでベースです。医師免許を持っていても、外科の先生と内科の先生がいるように、各IFAにも専門分野あるいは得意分野というのが存在します。自動車の運転免許を持っていても運転が上手いとは限りません。ライセンスは見栄えのために用意することもありますから。

実際の会話を通じて特徴を掴み、自分自身に合ったアドバイザーを選ぶことは重要です。

以上、参考になれば幸いです。

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