どうやったらお金が増えるのかを語る人は多いが、人々はどのようにして金融市場でお金を失っているのか、案外そこに答えはあるのではないか。せっせと金融市場でお金を失うための賢い方法について考えてみよう。お金を失うことに成功するには実にたくさんの方法があることが分かるだろう。
目次
お金を失う方策
市場に先回りできるふりをする
投資は簡単であり、大衆の考えることを先回りする知性が自分にはある、だから市場に常に勝てるのだと思い込む。実際その自信を実現するにはどれほどの難しさが伴うのか。
最高のタイミングを当てる
0かオールインか。市場がベストタイミングだと思えば全振りし、市場がワーストタイミングと感じたら完全撤収する。天井で売って、底で買えば絶対に損失が出ないのだから。飛び込んで退出すれば
輝きを追い求める
優秀な成績を収めるファンドマネージャーに賭けたり、気に入った金融メディアの言う通りに行動する。最も人気のある株式に投資する。人気があるということは皆が選んでいるということであり、皆が投資で成功を収めたいに決まっているから、勝ち馬に乗るに限る。
最後の戦争を戦う
大きな市場危機が起こった後で、大きな変動リスクをヘッジしようとしたり、インフレが最高潮に達する頃にインフレヘッジ資産に投資する。大雨が降ってから売り切れ寸前の傘を買いに走ればいいのである。本当は雨が降る前に傘を買うのがいいと知っておきながら。
億万長者からの投資アドバイスに従う
テレビやメディアで著名な投資家がコメントをしているのを見て、自分に語りかけているのだと感じる。彼らは自分の経済状況やリスク耐性、投資期間も熟知していて貴重なアドバイスをくれているのだ。著名人が自分と同じ投資をしていて、話している間にも心変わりすることは考えたこともない。億万長者と同じものを買うことができる場面はあっても、全体として同じでないことには思いを馳せない。
お金を増やすことより正しいことをしようとする
政府の債務レベルが多いことに不満を言ったり、FRBが市場と上手く対話しないことを批判したりするのは道徳的によくないと思うことで、投資のパフォーマンスに優先させて考える。社会的な正義を掲げることと投資における成功は別軸である。
最もパフォーマンスの良い資産クラスで構成する
何か特定の資産クラス、戦略、セクターが他を圧倒しているときに一体なぜ分散投資が必要なのか。世界で最も優秀な一社と一生を共にすればよいのだ。一番良いものを当て続けられれば億万長者が見えてくる。
短期決戦を挑み、生きるか死ぬか
ニュースをいち早く仕入れ、経済統計が発表されたら動き、情報のリークを追いかける自分はマシンよりも素早い。時間をかけてちりも積もった頃どうせ吹き飛ばされるのだ。だったら一気に稼いでダメなら諦める。
夜通し投資に勤しむ
24時間金融市場は開いており、その分だけ機会がある。人間24時間は平等に与えられているのだから、皆が寝ている間に動いたもの勝ちである。寝る間を惜しんで資産を増やすことに一生懸命になり、本来の目的を忘れる。
弱気相場で全ての資産を売り払う
下げ相場というのは耐え忍ぶのは苦しい。急落は下げ相場の合図、霧が晴れたらまた再開すればいい。下げ相場では良い企業も悪い企業もとにかく売り込まれるのだから、手仕舞いをして遊びに行こう。
市場変動に過剰反応する
変動率が高まるのは怖い。何かアクションをしなければならないし、未曾有の事態だから今までの資産配分を見直さないといけない。分散投資などと言ってられない。考える暇などなく、まずは行動すべきである。
全てのことに悲観的になる
楽観的であると騙される。所詮何をしてもだめだ。最悪のシナリオは常にある。世界は崩壊していく運命である。だから投資をするタイミングなど来ない。
まとめ
金融市場でお金を失う瞬間、ここに掲げたような行動をとっていないだろうか。ついついやってしまいそうなことをやめてみるだけで大きくリターンが改善することは言うまでもない。