意図せず大きな資産が手に入った場合、それが良い意味でも悪い意味でも人生の転機になる人は多い。人は普段から周りに順応しながら生きているものであり、環境が突如変わると慌てる。それが資産に関わる変化であれば、どのような症状が現れるのかを知っておきたい。

急激な資産の増加例

起業の成功

例えば、事業に非常に熱心に取り組む起業家の方であれば、突然資産が爆発的に伸び、良い意味で結果を残す時がある。この場合は、資産は努力の副産物なのである。もともと資産を増やすことが目的ではなかったことになるため、プランニングをするのに時間もかけておらず、興味もない、という状態になる。

相続による取得

突然資産が増える例で一般的なのは相続による取得である。生前誰にも語らなかった資産が残ってしまったようなときは特に。いつかは必ず来るものだと知りながら、具体的な資産状況や対応については家族ではあえて話を避けている場合だってある。得られる権利があるのならと躍起になって争族が発生することだってある。

投資の成功

起業しなくても、持ち株を買わされていたり、家族経営企業の株式を持たされていたり、あるいは近年だと仮想通貨を少しだけ持っていたり、などという、そもそも資産増大に大きな期待を寄せていないときだってある。いや、期待していなくはないが、どことなく諦めが含まれている意思決定というのはある。結果として突如それが花開くと、嬉しいと感じつつ、その後はどうしていいか分からない。

資産が重いと感じる理由

大規模な資産を得たことを家族に知らせる、というのも実は大変な作業で、そこから各々に湧き上がる感情をマネジメントする術を持つ必要がある。

お金があったらしたいことを誰しも持っているが、実際にお金があったらするかというと実はそうでもない。とはいえ、資産があるという事実を隠して過ごすのは心理的にも難しい。今までの自分と違う自分を演じ始めたり、あるいは人からそれを求められていると感じ始めたりする。

子どもはテレビに出演する父親を見ればそれが常識になるし、家にそれなりのものが置いてあれば当たり前になる。お金がなければしないことを、お金があることによって強いられているような気分にもある。こういう重さを節々に感じるものである。

お金で幸せは買えない

貧乏だろうと裕福だろうと、お金で幸せは買えない、という言葉について考えみた人は多いだろう。実際、資産の大きさで幸せを図ることはできない。資産がある人を羨ましく思うかもしれないが、資産があったらあったで悩みが多い。贅沢な話?そうとも言い切れない。

資産ができてパタっと仕事を辞めたとしよう。そこまでは良いが、いつも仕事で忙しく家にいなかった親が一日中家にいたら子どもは単純に嬉しいと感じているだろうか。時間、お金、自分だけでなく家族も、新しいライフスタイルにおけるバランスを取れるようになるのに数年はかかる。

資産について学ぶ

資産があることによって良いことも悪いことも全方向に増幅されると思っておこう。資産ができたのであれば、それを守り、そして使い、あるいは分別のある投資意思決定をすることを学ばねばならない。きっとこれまでの人生ではやってこなかったことばかりであろう。具体的な知識や経験が追いつくのには時間がかかるけれども、目的や目標に合わせて考えることを忘れないようにすることが大事である。できれば、手元現金、ライフスタイル費用、相続資産、ずっと持ち続ける資産、に色分けをしてみると良い。

目標に対する基準

目標といっても金額を基準に考える人はあまり多くない。確かに目標が設定しづらい時、金額が一つの基準にできるが、一時しのぎ的ではある。結局はどこかでその使い方を決める必要があるのであり、したがってその使い方の基準が大事になってくる。それは自分に対してなのか、家族に対してなのか、社会に対してなのか。これまでなかったお金なのであるから急に使い道を決めろと言われても困る、という人は多い。

使うことを恐れない

資産ができると確かに何かができるようになった感覚が得られる。ただ、がむしゃらに上を向いてこれまで頑張ってきたことに比べ、その将来の可能性を失うことに対する怖さが頭の中から離れない人は多い。あの頃にまた戻りたくない、というのである。資産を得て自分が変わらない自信があっても、周りに寄ってくる人の視線が気になったり、あるいは家族の態度が変わったりすることにも気づくだろう。大事なのは、家族で使い道についてしっかりと話し合い、全体的にレベルを上げていくことである。目的のないお金は余っているお金に見えてしまうことだってある。逆に目的をしっかり持ってさえいれば、大きな支出だって厭う必要はない。

時間を買う必要があるか

お金があれば時間を買うことはできる。自分がやっていた作業を誰かを雇ってやらせればいい。でも人がやっているのをみて自分が本当はやりたかったことに気付く人はいる。他人がやったら気に食わない部分だって必ず出てくる。まずは正しい期待値を持ち、その結果得られるものについて考える。そして、時間軸を設定してその達成について振り返る。立ち止まって考えればいい。そのプロセスは誰もが経験するものと、そして個人的に経験するものがある。できればどの段階にいるのかを客観的に知る必要があるため、一人で抱え込まずにアドバイザーをつけたほうが良い。そして修正しながら必要なものだけを取り込んでいけばいい。本当にやりたいと思うことは自分の手元に戻せばいいのである。

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