海外だからこそ提供される魅力的な保険の代名詞たる香港保険。優位性の裏側に落とし穴は本当にないのかしっかり検討しておきたい。
目次
語られる優位性
銀行にお金を置いているだけでは全く増えない時代になったわけですが、そこで考えるのは資産運用です。
香港の保険の特徴の一つとして、保険会社による運用成果の分配があります。
解約返戻金にしても死亡保険金にしても運用を通じてぐんぐん増えていくイメージです。
もし見たことがない人がいれば、保険の設計書を一度もらってみることはおすすめできますし、私でもお出しすることはできます。
日本の保険に加入するときはせいぜい減らない安全な運用をということにこだわった結果選んでいる人が多いですが、その期待に沿ってか、実際増えることはありません。
だからといって、増える香港の保険が日本の保険よりリスクが高い、というわけではなく、多くの商品は支払った金額が最低保証額としていずれ戻ってきます。
保険を掛けているときに気になるのが、何年後以降に支払った保険料分戻ってくるのかどうか、です。
加入してすぐいつでも戻ってくるわけはありません。それでは保険会社が損をしているだけになってしまうからです。
香港の保険の場合、いわゆる損益分岐は10年以内に訪れるものが多いですし、その後も増え続けるので、長く続けられるほどお得には見えます。10年毎に価値が倍々になっていくイメージのものもあります。
保険料が捨て金になっているのだとしたら、現在の契約を見直すことも視野に入れるべきですね。
長期契約というデメリット
長く続けることがメリットが大きいことは理解できたものの、現実にそれほど長く保険に加入しつづけるという辛抱強さを持つことはできるのでしょうか。
リアリティとしては、担当者が変わってしまった、代理店が閉鎖してしまった、帰国後に保持し続けるのが面倒になった、などの理由で解約する人をたまに見ます。
保険契約の条件が変わったとか、保険会社そのものが何か悪いことをしたわけではありません。
唯一踏み留まらせるとしたら、損益分岐に達していないときです。
人間は損をすることはとにかく嫌いですが、逆に損をしていないと自分に言い聞かせられれば行動は大胆になりがちです。
こうしたケースに共通することは、加入時の検討が少し甘いということです。
友人に勧められたからいいと思った、乗り気ではなかったが少額なら付き合い程度でいいと思った、などです。
本人のお金の取り扱いなので、他人がどうこう言うべきものではないかもしれませんが、やはりスマートなお金との付き合い方をしたいものです。
外国為替リスクの想定
香港の保険の多くは米ドル建てまたは香港ドル建てです。
香港で働いている場合は支払いに困ることはありませんが、仮に日本へ帰った場合は、日本円から換算して支払いを続けることになります。
想定よりも円安が進行すれば、実質的に保険料負担が増えることになりますから、長期の支払い契約を結ぶ際は、外国為替リスクを踏まえた上で、適正な保険料水準を検討することが必要です。
また、解約返戻金や死亡保険金の受け取りの際も、香港外で受け取る場合は、外国為替レートに基づいて換算して受け取ることになります。特に死亡のタイミングは読めませんから、そのときに円高が進行していれば、実質的に死亡保険金が少なくなったと感じることに繋がります。
老後への備えという矛盾
香港で保険に入る理由として老後への備えをあげる人はいます。そもそも長期でメリットがあるので、自然と老後の資金になると考えます。
しかし、そもそも老後は十中八九香港にいないではないか、判断能力が衰えてなお海外からしっかりとお金を受け取ることができるのか、という論点があります。
もちろん、いざとなれば家族に話せばいい、と思っている人もいますが、話すのを忘れればその存在すら家族は知り得ませんし、気づいたとして死亡保険金の請求に四苦八苦するのは想像に難くありません。
保険は誰から買っても同じ、だからこそ長く付き合える担当アドバイザーを見つけることも非常に重要になってくるわけです。担当アドバイザーを家族に紹介しておくことも、後々は役に立つでしょう。知らない人に気軽に聞ける人とというのは多くありません。
正しくない情報源
香港保険の情報はネット上にかなり散らばっていますが、なぜなのか、よく考えてみることをおすすめしたいと思います。
正規の業者でないからこそ客観的な意見がもらえるのだ、という人もいるかもしれませんが、そもそも正しい情報源に辿り着けば、正しいアドバイスがもらえて然るべきです。商品さえ手に入ればあとは何でもいい、という妥協こそが時間が経ったときに落とし穴をもたらします。
また、香港の保険業者と話したつもりなのに、実は提案されていたのは香港の保険ではない、ということもあり得る話です。その場合、何かあった場合のトラブルの対処、責任の所在がどこにあるのかが問題になり得ます。
どのような人がどのようなモチベーションで情報発信をしているのか注意しておくべきでしょう。そうすればネットの情報も随分と役に立つものになってきます。
例え商品を購入した人であっても保険会社の人間でない以上、商品のことを他人に説明できるレベルに詳しいということはありません。