不動産価格が上がると、成功した投資家が溢れ、成功談を語り始めます。それを聞いて興味を持つのは悪いことではありませんが、不動産投資には失敗もつきものです。今後始めたいという人が知っておくべきことをまとめてみます。

地域性と立地を押さえる

不動産は現物投資の対象の一つです。つまり、実物があります。この点は金融投資と比較されやすいでしょう。そして”不”動産という名の通り、その場所から動かすこともできません。だから、その不動産にとって最も重要な要素は、地域性、すなわち、立地、だということです。

物件の立地は、需要、供給、価格、そして将来価値などに大きな影響を与えます。不動産は実物だとは述べましたが、実際の価値は、周辺アクセス、教育環境、人口構成等が関連し、その物件そのものではなく地域性という複合的なものにも左右されているということになります。

地域性の把握のためには、現在の利用のされ方だけでなく、過去の話も有用なことがあります。地盤の固さやハザードマップなどの地形の観点もありますし、大規模な開発が行われたことで人の流れが変わった等の事実も見えてきます。

国を選ぶ、地域を選ぶ、街を選ぶ。今後不動産に投資をするなら当然未来のことが気になるはずですが、その地域が今どのようなステージなのか、という俯瞰的な視点がここでは必要です。特に不動産投資にあたっては、住んだことのある場所以外の方が多いでしょうから。

投資目的を整理する

不動産と一口に言っても様々です。あるいは投資という観点だけなら不動産にあえて固執する必要もありません。それも踏まえて投資の目的を整理しましょう。

不労収入を得るため

投資を通じて収入を得るのが目的の場合、キャッシュフローを重視する必要があります。つまり、月々どのくらいのお金が入ってきて、どのくらいのお金が出ていくのか、という観点です。不動産であれば、第三者に賃貸し、オーナーとして家賃収入を受け取りつつ、管理費やローンの支払いなどを行い、どのくらい手残りがあるのかどうかです。ここに関しては単に楽して利益を、というよりは、不動産をしっかりと経営する、という視点があればより良い成果を得られる傾向があります。金融投資と違って、自身の努力が反映される余地が大きいとは言えます。

キャッシュフローを重視する場合、将来的な値上がり益はあまり期待できない、と原則的には理解しておきましょう。(もちろん全てがそうというわけではありません。)逆に、現時点のキャッシュフローを重視するあまり、将来のキャッシュフローが悪化するリスクや、値下がりするリスクを見逃しがちなことには注意しましょう。

インフレ対策のため

大きく利益を上げることよりも、単に現預金では達成できない、物価上昇への対応を、不動産では期待することができます。物価上昇はすなわち貨幣価値の下落である、という点を理解し回避すること、あるいは世の中全般の物価上昇に対応し切ることは難しくても、住宅費用は生活の根幹にあるため、物価上昇とともに不動産価格ないし賃料の上昇が見込まれることが挙げられます。

ただし、世の中のインフレは、不動産市況に影響を与える重要な要素の一つですが、同時にそれだけで不動産価値が決まるわけでもない、ということには注意しましょう。

資産価値を高めるため

不動産は将来価値の上昇を見込むことができます。開発や人口流入はトレンドになると比較的長く続く一方、不動産価格への反映は緩やかに進行するからです。金融投資の場合、すぐに取引ができるため瞬時に価格に反映されますが、不動産は個別性も強く、取引もゆっくり行われます。

ただし、不動産や周辺環境も新しいものから古いものへと時間とともに変わっていきます。より新しいものへ人々は移っていく傾向があります。したがって、将来的な価値の上昇を取り込むには長期的な視点が必要であり、物件の改修やリノベーション以外にも、地域の付加価値の向上など、自身の努力の及ばないものが多い要素があることにも注意しましょう。その分流れに乗ることができれば、自然と価値が上がることにも気づくでしょう。

相続対策のため

日本の場合、相続財産の評価額を抑えることができる、という点が不動産のメリットとして挙げられやすいです。不動産そのもので利益が出る、というよりは相続という手続きにおける扱いを利用し、税支払を少なくすることを投資に求めるものです。

この視点は、不動産そのものよりも税法上の取り扱われ方に重点があるので、本質的に資産価値があるかどうか、などが見逃されがちです。相続もすぐに、予想したとおりに起こるとは限りません。それに、相続のルールが変更されることもありますから、事前に十分な調査や検討を行うことが肝心です。

物件探しに挑む

地域性や立地が大事であることが分かったとして、実際には、その中で個別の物件をあたっていく必要があります。当然ながら売りに出ていないものを買うことはできませんから、なぜ今までのオーナーは手放すことを選択し、売りに出ているのか、も重要なヒントになります。良い物件ほど売りに出ていないし、売りに出てもすぐに買い手が見つかることにも気づくでしょう。

物件の種類

不動産に含まれるものにも、更地から倉庫、事業用のビル、店舗、そして居住用のアパート、マンション、戸建てなど様々です。用途は一度決めると建て替えをしない限り変更しづらいので、どのセクターに投資をするのか、特徴を踏まえて選ぶ必要があります。一般には、居住用などそのまま利用できて利用者の層が広いものはリスクが低く、事業用や更地など改良が必要で利用者の層が狭いものはリスクが高い傾向があります。

物件の状態

土地や建物の状態は、購入してからどのような費用が発生するのかを決めます。古い建物は修繕しなければ使えなかったり、耐震性により入居者から敬遠されたりします。外から見えなくても老朽化している部分は必ずありますし、逆に時間が経過したことで、初めからしっかり設計されていたのかも分かるようになります。管理に常に費用がかかっているのであればそれも知っておくべきでしょう。費用を避けることだけ考えるのではなく、ちょっとした費用をかければ価値が大きく上昇することにも気づけるかもしれません。

価格制約

単に利回りや将来性だけで物件を選べるならば、小さな物件をたくさん買っても、大きな物件を一つ買っても同じ結果なのかもしれません。ただ、価格というのは高い安いだけでなく、取引できる人の数、あるいは利用者の層を決めている面があります。極小のワンルームであれば、当然家族では住みません。たくさん部屋があるなら、逆に一人では住まず、ペットも飼うかもしれません。区分ではなく一棟まるごとであれば、個人投資家よりは不動産会社が売り手ないし買い手かもしれません。そのときに融資したい銀行がたくさんあるのかも変わってきます。

現地視察

自分で住むのではなく投資用であるというとき、現地視察の必要性については意見が分かれますが、オーナーとなる以上、現地について理解しておくことは重要だとは言えます。どのような人が利用するエリアなのか、災害時にどのようなことが起こりそうか、他の物件と比べてどのように見えているのか、など、実際に行ってみることで気づくことは多いものです。

融資や税金

物件がないことに投資はできないので物件ばかりを見てしまいますが、いい物件を決めるにあたって融資や税金の影響は無視できません。銀行から融資が引けるくらいちゃんとした物件なのか、返済計画は問題ないか、どのような税金がいつ発生するか理解できているか、ですね。これらは直接物件の魅力とは関係ありませんが、不動産投資の視点では必ず押さえておくべきものです。

まとめ

さて、色々書きましたが、基本的には不動産投資を始めるか考えるなら、物件を見て回らないことにはスタートしませんし、そこからで問題ないと思います。ただ、不動産は実物であるという性質上、見て回るだけでも大変ですし、保有してからも考えることがたくさんあります。その労力(に対する見返りの小ささ)を感じてギブアップする人、あるいは検討半ばで中途半端に先に進めてしまう人もいる、ということは知っておくべきでしょう。手軽な金融投資とはそこが大きく違います。

不動産投資は経営である、という点、軽くみないことは大事ですし、逆に言えば、やり方次第で楽にも取り組むことができるわけです。楽しさややりがいを感じることは大事かもしれないし、でも同時に投資家としては失敗することにも繋がりかねません。不動産投資は小さく始めるということが難しいので、後悔しないよう、リスクをしっかり理解して慎重に検討してみることが大切です。

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