少しだけ挑戦的(に感じる)タイトルにしてみましたが、このことについて触れてみようと思ったきっかけになったのは、かの有名なイーロン・マスクがビットコインへの資産配分をするにあたって、このように述べたことです。記事はこちら

「ビットコインは現金とほぼ同じほど無価値、でも少しまし」

イーロン・マスク

ここではビットコインの話はしませんし、これからインフレだから現金の価値が下がるというありきたりな話でもありません。投資家として現金に多く資産配分してしまう人がいることを踏まえ、資産配分(アセット・アロケーション)という観点から話をしてみます。

一般には現金比率について語ることが多いと思いますが、私にとっては当たり前に実践する本節の内容が本当に理解できたなら投資家としてはきっとコペルニクス的転回になり得るものだと期待しています。

資産運用をする場合の典型的な考え方

あなたは現金を今持っています。しかもそれなりに余剰資金ができたのでその一部を投資に回して投資リターンを稼ごうと考えました。リスクの高そうな商品にはいくら、そうでない商品にはいくら、という具合に。これが資産運用をする場合の典型的な考え方です。まるで消費のように捉えているので、現金が減ってきたならば、投資のしすぎかどうかを気にし始めます。

現金という資産にはどのような価値があるか

現金資産の最も良いところは恐らく消費に回せることです。それに銀行の普通預金というのはいつでも引き出すことができる権利を有する資産ですから、その意味でも実用的な側面が強いと言えるでしょう。預金にも金利は付きますが、経済環境によって付く金利はいつも異なっています。あとは、その他の資産を購入する際の対価として利用できることですね。これらは現金という資産の価値でしょう。

現金にどのくらいの資産配分をすべきか

今、現金がスタート地点としての資産であることを忘れ、1億円相当の資産があったとします。果たして現金という資産の価値を踏まえ、あなたは現金にどのくらいの資産配分をするでしょうか。

この発想に立つことができたとき、多分それは冒頭のイーロン・マスクと同じ境地であり、多くの現金を持つことに意味を見出しません。このことはファイナンシャル・プランニングを通じて導き出される、“余剰資金”と全く同じ概念です。

要は、一定の資産規模になると、本来、現金であることの価値を十分に享受し得ない資産ができていることを意味します。だから、現金であるべき部分を資産配分した後は、それ以外の資産であるべきなのです。別にそれは株式だろうと債券だろうと、ビットコインだろうと、それぞれの資産が持つ価値に着目して全体の資産配分(アセット・アロケーション)をしてあげるだけです。

運用会社の管理資産が現金になることには違和感を持つ人が多い

ところで、どこどこという会社に運用を委託したとしましょう。私のようなアドバイザーも同じカテゴリーです。1億円の運用をお願いしたにも関わらず、ほとんど何にも投資をしなかったとしたらあなたはどう思うでしょうか。恐らく、多くの人は納得感を持ちません。なぜなら、運用を委託した人は委託された人が運用(=現金でないリスク資産に投資)をすることが義務だと考えるからです。

ただ、現実にはそうではありません。あなたという投資家が現金に多く資産配分をしていた事実があるのと同じように、運用を委託された運用会社も投資家としてあなたになり代わり現金に多く資産配分をしていても何ら不思議なことではありません

ここであなたは思います。「お金を払っているのに。。」しかし、運用会社としてお金を払ってでも現金に資産配分を続けることが肯定できる瞬間はあるかもしれませんね。かのバークシャーハサウェイでも投資する先がなければ投資はしませんから。(ただ、現実に管理費用を払うのが最終投資家である点において利害を必ずしも同一にすることはできていませんが。)

資産配分を決めるところからがスタート

以上を見た結果、自分自身がいかに現金という資産に重きを置いているかに気づいた人も多いのではないでしょうか。いや、現金という資産の価値を真に理解し、投資家としての資産配分として現金を選択しているのであれば、立派な現金投資家であり、それは素敵なことです。(決して皮肉ではありません!)

ただ、何となく現金が多くなってしまっているのであれば、資産配分が偏ってしまっているわけですから、何らかの方針を立てて、資産を配分し直すことが必要です。その結果、一部をどこどこの会社に、一部は自ら投資管理し、どのくらいリスクをとってということを考えれば言いわけですね。どこかの会社に任せたのであれば、それがどのくらいリターンを上げたかではなく、ご自身の資産配分の中で思っていた通りの資産として機能したかどうかを評価することになります。

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