今回は、適切なファイナンシャルアドバイザー選び、という観点から少しだけ話してみたい。ただし、整理してみて思ったことだが、このことはあなた自身がファイナンシャルアドバイザーから得られる価値、その費用対効果、サービスレベルといった、表向きの話とは異なっていて、ファイナンシャルアドバイザーとのリレーションのうちどのような部分が満足に繋がっているか、という現実的な面を指すことを心に留めておきたい。単におすすめのIFAを伝えたいわけではない。一体何のことか、と思った人にも以下を読んでこの微妙な違いを伝えることができていたら幸いである。

顧客にとってのファイナンシャルアドバイザーとのリレーションの価値はどこにあるか

① サービス範囲 △

一見すると、ファイナンシャルアドバイザーが提供するサービス範囲は大切だ。自分の欲するサービスを提供してくれていなければ、そのファイナンシャルアドバイザーと話す意味などない。

いや、正確に言うなれば、ファイナンシャルアドバイザー選びにおいてサービス範囲は重要であるが、後々に“リレーション”を築く上で、サービス範囲は価値にならない、というべきだろうか。私の経験上、「〇〇という保険がこちらで買えますか?」と問い合わせて来た顧客は、目的の保険を買うことができれば基本的には満足している様子である。どのファイナンシャルアドバイザーから買ったか、を気にしない人もいる。もちろん、リレーションを大事にしてくれる人はいる、が相対的には少ないといえそうだ。

② 同じような境遇の顧客を持つ ◎

意外とよく聞かれるのは「自分と同じような境遇の顧客がいるかどうか」である。もちろん、細かに顧客情報を開示できるわけではないし、顧客同士で別にマッチングをするわけでもないのに、このことを気にする人が多いのは不思議でもある。

しかし、「この前ちょうど似たような話をいただいて・・・」だったり、「お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合は・・・」だったりは妙に納得される方が多いように思う。逆に「〇〇さんのような方は初めてで」というと不安に思ってしまう人もいる。

ファイナンシャルアドバイザーもまた、結局はどこかで経験を積まねばならないので、“初めて”にあなたがぶち当たることもないわけではない。投資ポートフォリオに関しても、ファイナンシャルアドバイザーに似たような感覚を求める人は多いかもしれない。あなたはあなた自身の人生を生きているのに、この点に関してはリレーションの価値に大きく影響するだろう。

③ 費用 ×

ファイナンシャルアドバイザーも職業である以上は顧客から費用をとる。当然ながら費用が高いか低いかは気にすべき要素の一つではある。ただ、多くの人はファイナンシャルアドバイスがもたらす金銭的価値の基準値を持ってはいない。したがって、費用がいくらだったからダメだ、というのは実に判別がしづらいし、現実のやりとりとして、費用に関しては「あ、そうなのね」という感覚の人の方が多い。

もちろんこちらからは積極的に費用について開示を行う。そうでなければリレーションにかまけることになり、職業倫理としては褒められた行為ではない。ただ、リレーションの価値=人の価値、という観点からは費用が理由にされることは少ないと言えよう。

④ 投資リターン ○

ファイナンシャルアドバイザーが投資のアドバイスを生業にしている以上は、投資のリターンが成績表だ、と考える人は少なからずいる。そのことは間違っていないし、さらに踏み込むと、成績に対してフィーを払う、いわゆる成果報酬を好む顧客もいる。ただ、このときに言えるのは、投資のアドバイスがいくらかということを気にしていて、そのファイナンシャルアドバイザーとのリレーションの価値がどのくらいか、ということではない。

投資の世界に絶対はないし、リスクを常に取り続けることになる、そのことをいずれ知るため、良いリレーションを築いている顧客ほど投資のリターンのことを気にせず、リレーションが弱い顧客ほど投資のリターンを気にすることになる。投資のリターンが悪いこととリレーションが弱いことが絶妙にシンクロするのだ。

だからといって、資産が減り続けてもいいとはとても言えないし、たまたま資産が増えてさえいればリレーションの価値が高かったというのも正しくない。よい投資の習慣を持つファイナンシャルアドバイザーについていけば自然と資産は伸びよう。

⑤ 同年代であること ×

ファイナンシャルアドバイザーが同じ年代であることは一見すると、同じ立場に立って話ができそうなので価値を感じそうなものではあるが、実際はそうではない。かといってアドバイザーが様々な経験を積んだ人生の先輩である必要もないし、逆に若手のルーキーである必要もない。

年齢の観点としてよく言われることがあるとすれば、「自分より若い人がいい」「自分が老けたり亡くなったりしたときに面倒みてくれる人がいい」などである。人間誰しも同じように年をとるので、このことは比較的年配の方であれば、既に様々な人とやりとりをした結果、最終的に意識する人が多い、とは言えよう。

最後に

ファイナンシャルアドバイザーとは人である。ファイナンシャルアドバイザーとのリレーションの価値がどこにあるか、というと、その人たる部分に帰着するのかもしれない。お金を払って運用サービスを受けるだけならば最近はロボットだっている。多分人でなくてもいいのだろう。

実際、ファイナンシャルアドバイザーとリレーションを築いた結果、最も意味を見出すのは「自分の経済状態のことをよく分かってくれ、面倒をみてくれる人がいるという安心感」だとすら言われている。自分のことをあまり語りたがらない人も中にはいるが、結果的にファイナンシャルアドバイザーがもたらす最大の恩恵を逃すことにも繋がっているかもしれない、ということは知っておいてもいいかもしれない。