中国の四大保険会社の一つである、中国平安保険(ピンアン保険)。香港におけるバーチャル銀行や、世界を代表するフィンテックサービスの提供に向けて大きく前進中。
目次
サマリ
中国平安保険集団(ピンアン・保険グループ)は、1988年に損害保険会社(共同出資会社としては中国初)として設立され、その後、生命保険、銀行、不動産管理等に事業拡大をしてきた企業グループ。中華人民共和国広東省深圳市に本社を置く、中国の四大保険会社の一つ。中国国内で最も多くの金融ライセンスを持つとされ、今の企業グループが形成されたのは、2003年のことである。
1994年、外資による株式保有へと舵を切った最初の中国金融企業となった。2004年に香港証券取引所上場(SEHK:2318)、2007年に上海証券取引所上場(SSE:601318)を果たしており、なお、2007年にハンセン指数の構成銘柄入りをしている。
HSBCは2002年頃には中国平安保険の筆頭株主となり、約16.8%の株式を保有していたが、その後タイのコングロマリットであるCharoen Pokphand Group(現在の筆頭株主)に持分売却。なお、現在は、中国平安保険がHSBCの筆頭株主であり、2022年5月にはHSBCのアジア部門の分離・独立を求めた。
2016年に完成した本社ビル、平安国際金融中心は、深圳で最も高いビルである。
「金融業を統合」したことが同社の革新性であり、今後は、AIやブロックチェーン、クラウドコンピューティングなどの発展に貢献し、世界的なフィンテック企業としての地位も狙う。
特徴
筆頭株主:Charoen Pokphand Group 約9%(香港銘柄単独では約21%)
第二位株主:Shenzhen Government 約5%(上海銘柄単独では約9%)
民間企業ではあるが、やや政府色が強いとも言われている。筆頭株主のCPグループはChearavanont familyが保有する、タイ最大のコングロマリットで、農業・食料品分野を中核事業とする。
配当利回り:3%程度
外部格付け:AAA from China Chengxin International Credit Rating Company(2020年10月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 2318 Ping An
最近のトピック
ヘルステックで知られる、平安好医生(ピンアン・グッドドクター、Ping An Good Doctor)は中国でも最大のユニコーンとされていたが、2018年に香港に上場(SEHK:1833)を果たしている。自宅にいながら24時間体制の医療相談サービスを受けられ、スマホで薬や医療器具を購入することもできる。
2020年9月、中国平安の提供するバーチャル銀行サービスOneConnect Bankが香港で7番目のバーチャル銀行として香港金融管理局(HKMA)から承認され、また、香港をベースに、大湾区への事業構想を展開していくこととしている。
また中国平安が主要株主となっている、中国系フィンテック企業、陸金所(Lufax)はアント・グループの競合企業の一つとみなされており、2020年10月、アリババ・グループ以来の米国での大規模上場案件となった。
中国平安は金融業のデジタル化、新興企業の新規参入を脅威といち早く認識し、テクノロジーの研究開発に積極的に取り組み、金融事業のバックグラウンドと、外部からのIT人材の取り込みにより、テクノロジー分野での存在感を増し、フィンテックやAIの分野で世界を代表することが期待されている。
2021年7月には、中国銀行深圳支店と共同で、デジタル人民元建て保険証券の発行するなど、デジタル人民元普及に向けた取り組みを継続している。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。