「億万長者になる」と高らかに言うと少しネガティブな印象を受ける人もいるかもしれませんが、人生100年時代の老後を楽しむのに、実は必要な水準の資産として“1億円”はそれほど高い水準ではありません。欲を言えばもう少しあった方が余裕はあります。ゆっくりでもいいので、稼ぐないし増やすことによって少なくとも資産が1億円に向かっていくイメージができているでしょうか。

さて、今回はお客様に対するアドバイスではなく、もし手元に1億円があったとしたら、私自身が私自身の資産に対してどのようなポートフォリオにするか、ということを考えてみたいと思います。

先に回答だけをまとめておきますとこんな感じです。ちなみに私は31歳、職業:独立系ファイナンシャルプランナーです。

【結論】1億円の内訳は、

  • 20% 手元流動資産(短期非投資or投資)
  • 20% 非流動資産(長期投資)
  • 10% 貯蓄型保険(超長期投資)
  • 50% 事業資金

です。どう考えてこのような配分になったか、いくつかポイントを挙げてみます。

発想① “必要な資金”は分けておきたい

1億円をどうするか、と考えるとき、まず最初に私の場合は“必要な資金”はどれくらいかを改めて考えます。これは割合ではなくて、絶対値としてですね。

“必要”といいながらも、あったら安心できるという意味での“必要”であり、緊急に迫られている支出額という意味ではありません。一般的には、半年〜2年間の支出相当額が手元にあるとよいとされます。

例えば、30歳前後だと、周りで結婚する人が多いのでご祝儀が必要になったり、あるいは身内の不幸などでもひょっとしたら負担がかかるかもしれません。日常的な支出以外の支出がもしあったとして、喜んで支出する、そして健康を害したとしてもしばらくはしのぐことのできる水準として、2,000万円くらいと考えてみます。これが最初の手元流動資産です。もちろん、より精緻に計算するに越したことはありません。

2,000万円の中でも多少は位置付けに違いは出るでしょうが、投資をするとしても半年以内には回収ができるものに限ります。基本は手をつけないことが大事ですが、興味本位で単発で投資信託やETFを買うにしてもおそらくこの範囲でしょう。

発想② 投資なのだから増えるところには投資したい

幸い私はまだ30代なので老後までは時間があります。一獲千金みたいな投資よりはじんわり時間をかけて増えていってくれる投資の方を好みます。

失われた30年を生きてきた私からすれば、魅力的な投資機会というのは世の中的に少なくなったのでは、と思うことはあります。私たちの世代は老後に不安を感じる人、それゆえに現実的な目線を持つ人は多いかもしれません。多分、何もしなかったとしたら苦しいのは事実なのでしょう。だからより一層“どうせなら増えるところ”に投資をしたいと思います。

ちなみに余談になりますが、人生の一つの区切りとして50歳を意識しながら生きています。織田信長の言う「人間五十年、下天の内をくらぶれば夢幻の如くなり」です。いや、50歳にそんな大した意味があるわけではなくて、ただ漫然と社会一般の“退職=65歳”みたいな意識が薄いというだけです。自分にとって50歳が何かをやり遂げたと言える年齢でありたいだけで、今のファイナンシャルプランナーの仕事はずっと続けていくつもりなので、ご安心を。

話を戻すと、“増えるところ”というのは原理的に勝てる投資、ということです。リスクがないわけではなく、リスクを引き受けさえすればリターンが得られるものです。

投資には再現性が必要であり、一過性の博打になってしまわないことです。一時的にパフォーマンスが悪かったとしても長期的にはそれを上回ってくれることが期待できるポートフォリオ、あるいはできればプライベートエクイティや不動産などの非流動性資産に20%くらいを割り当てられると理想です。

ただ、割り当てたからすぐに投資をするというのではなく、良いと思える投資機会に出会うまでは投資はしません。

あとは、まだ若く、事業を成長させることに最も強いモチベーションがありますので、少々雑かもしれませんが、50%くらいは事業資金として扱ってしまいたいと思います。

人を雇ったりマーケティングをしたり、自営業らしく、本業、そして自分への投資が最もリターンが大きい(いや、大きくしたい)というのがあるかもしれません。金額的に、ちょっと多いような気もするので、余ったら余ったで何か違う投資に回せばいいと思います。

発想③ 勝手に資産が増えていってくれるのが理想

ファイナンシャルプランナーなので、投資のことを考えたり調べたりするのは確かに好きな方に入るでしょう。

ただ、投資をすることの最も大きな価値は“放っておけること”であり、“勝手に”資産が増えることが大事です。それが一生懸命働いたり、自分でビジネスをしたりすることとの大きな違いですね。

もし放っておけない状態になってしまっているとしたら、多分あなたは投資というビジネスをしてしまっているのでしょう。それはきっと楽しいかもしれませんが、投資が本来持つ価値からは離れていってしまっています。トレーダーさんなんかは投資という名のお仕事をなさっていますね。私も本業はお客様から資金を預かりますので、どちらかというとそうですね。

“勝手に”資産が増えるようにするという発想に立つと、いわゆる私のいるところのような運用管理会社(あるいは保険会社)に資産を預けてしまうのが手っ取り早いです。香港の場合、非保証ではあるものの利回り7%くらいにはなるものがあるので、貯蓄型の保険を1,000万円ほど購入しておきます。65歳になる頃には6,500万円くらいになる計算ですから、手間とのトレードオフを考えると悪くない、気はします。

もうちょっとETFとかで分散投資を、と思ったりはしますが、これも考え始めたら職業病を発症しそうなので、貯蓄型保険でいいです。

発想④ 投資のマチュリティラダーを作る

既に気づいていただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、投資のポートフォリオを考える上で、何に何割くらい投資をするかもそうですが、投資のマチュリティラダーを作る(満期管理をする)ことに私は意識を向けています。短期でこれくらい、長期でこれくらい、超長期でこれくらい、といった具合です。

なぜそうするか、というと投資環境は刻一刻と変わるので、今最良の投資機会が目の前にあると考える必要はない、というのが一点。そして、非稼働な資産を極力作らないため、というのが一点です。

いざとなれば解約できる、あるいは半年くらい待てばまとまったお金が入る、そういう安心感も投資においては大事です。ボーナスがもうちょっとしたら支払われると思うだけで何だかほっとしませんか?それと似ています。

また、マチュリティラダーを作ることによって、ある程度の投資制約ができることに気付くので何でもかんでも良さそうな投資機会に飛びつく、ということが減らせます。どんなにお買い得であっても、要らないものを買ってはいけないのと同じです。ここでは分別のある投資家を目指します。

果たして参考にできる部分はあるか?

さて、以上のようにまとめて見ると、株式やファンドなどのいわゆる伝統的な投資が少ないのが気になる人もいるかもしれません。え?あなたが薦めているものにあなたはいつも投資しているわけではないのですか?という疑問です。当然ですね。

一つには、私の今の人生フェーズが投資ポートフォリオに大きく傾くタイミングではない=投資を通じた収入を期待しているわけではなく、余剰資産と位置付ける割合も少ない、と思うことが挙げられます。もちろん、これは31歳の私の“輪切り”の投資割合でしかないので、5年後や10年後は全く違っているでしょう。そう、投資ポートフォリオというのは誰もが違っていて、しかもそれは時間とともに変わっていっていいものなのです。

もう一つには、職業的に株式などの市場資産を自分で保有していたいとは思わないことが挙げられます。絶対保有してはいけない、というものではありませんが、顧客の取引管理を優先する、あるいは同等に扱うことは職業倫理観として必要ですし、何より自分の保有する資産には普通は色眼鏡がつきまといますから客観的に見ることができなくなります。

特に、一般的なファンドマネージャー(不特定多数の顧客資金をまとめて運用する人物)としてでなく、一人ひとりのお客様に合った資産運用プランをご用意できる立場としては、「これを買えば絶対勝てる」といった先入観を私自身が持ってしまうことは避けたいですし、「ファイナンシャルプランナーと同じ投資をすることがベストである」という先入観をお客様が持つことも避けねばなりません。

顧客の中でも、資産全体に占める投資の割合が多い方もいればそうでない方もいらっしゃいます。正解が常にあるわけではないので、ご自身が最も心地良いと思う方法を選ぶのがベストと思います。誰かの真似をしたい、勝ち馬に乗りたい、と考えるのは人の性です。参考までに私の話を今回はしましたが、どこまでいっても

「あなたの人生はあなたの人生」

なのですから、しっかりとグリップを握っていただきたいと思います。私はその陰で微力ながらサポートをさせていただくに過ぎないのです。また、様々なポートフォリオのあり方についてはこのブログサイトでお伝えさせていだけたらと思っています。