<サマリ>

領展房地産投資信託基金(Link REIT、リンク・リート)は、2004年に、香港住宅管理局(The Hong Kong Housing Authority)から、商業施設と駐車場をスピンアウトした、つまり民営化したことに由来する、不動産投資信託会社である。2005年11月25日に香港で初めて、香港証券取引所に不動産投資信託会社が上場したもので、時価総額ではアジア最大の不動産投資信託となっている。現在は公共部門とは関係なく、独立して運営がされている。

香港のリート市場創設構想は2002年10月3日に遡り、その後3年の月日を経て第一号上場リートとなったのが、リンク・リートである。

政府保有不動産の売却は政府の歳入源の一つであったが、当時は不動産価格が低迷を続けており、不動産市況へのテコ入れ策として、リートの活用が考え出されたのである。

当初、リンク ・リートは2004年12月16日に上場される予定であったが、上場の差し止めを求める裁判が市民によって起こされたため、上場計画は一旦中止された。しかし、2005年7月20日の終審法院(最高裁)判決で法的問題がクリアになり、上場が実現した。

なお、香港市場においては現在では10銘柄程度が取引されているが、近年の上場銘柄は中国本土のみへの投資を行うリートも少なくなく、規模で言えば、リンク・リートが群を抜いている。その意味でも、アジアのリート市場の拡大に一役買ったのはリンク・リートであると言えよう。

ちなみに、香港リートには、住宅セクターが存在をしないが、その理由は香港の住宅には個人の所有が多く、1棟を保有するのは難しいからであるとされる。

従来、香港リートは改装や改修工事以外の不動産開発行為を行うことは禁止されていたが、2014年には制度改正が行われ、規制緩和が実現したことで、取得対象を開発物件や中国本土物件にも広げ、成長の機会を探っている。

<特徴>

筆頭株主:Blackrock 約9%

その他の株主では、CitigroupやJPMorgan、State Street、The Capital Group Companies等がそれぞれ5%程度を保有しており、株主構成としては非常に分散されている。

配当利回り:3 – 5%程度

外部格付け:S&P  A /ムーディーズ A2 /フィッチ A(2021年3月時点)

<株価推移>

TradingView提供チャート 823 LINK REIT

<トピック>

安定成長のため、中国本土の物件だけでなく、海外物件も物色を始めたリンク・リートは2019年に豪シドニーー中心部のオフィスビルを海外物件として初めて取得し、2020年にはロンドンの物件を取得している。今後はシンガポールや日本の物件取得にも意欲を示しており、香港からの分散を目指す。

ただし、依然として投資ポートフォリオの大部分は香港であり、2019年のデモ、そして2020年の新型コロナウィルス流行により、香港不動産市況全体が下降基調にあり、リンク・リートの株価は低迷を続けている。

中心街のみならず、幅広く物件が分散されていることにより、収益への影響自体は緩和されるものの、市況の悪化の波自体を回避できているわけではない。

<最近のニュース>

Link REIT buys retail mall in Shanghai for 2.7b yuan

The Standard

Link Reit revenues rise 5.6% despite protests and pandemic in Hong Kong

Mingtiandi – Asia Real Estate Intelligence

Link Reit takes cue from government’s coronavirus relief package, expands tenant support scheme to US$39 million

South China Morning Post

Link Reit makes its first foray outside Greater China with a US$469.5 million office property acquisition in Sydney

South China Morning Post

Hong Kong’s Link Reit announces entry to Europe with US$487.5 million acquisition of Morgan Stanley’s London home

South China Morning Post

Link REITとAllinfraが資産デジタル化におけるブロックチェーン技術の使用で協力合意

共同通信PRWire

*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。