一年の終わりとともに、資産運用会社や投資会社が来年の予測を発表するおなじみの季節になりましたね。こうした予測は、不確実な金融市場を切り抜けるための洞察力に富んだ指針のように見えるかもしれませんが、健全な懐疑心を持って受け止める必要があります。
今後 12 か月間の市場の動きを高精度で予測することは、ほぼ不可能です。今年から投資を始めた人はすぐに理解できないかもしれませんが、様々な情報を集め取り組んだ人ほど実感していることでしょう。さらに、これらの予測は毎年同じテーマを繰り返していることがよくあります。
では何のための予測なのか、と思ってしまいますよね。時間がない人や忍耐しきれない人のために、これらの予測でよく見られる内容と、その実際の意味をここで詳しく説明します。
目次
よく見られる10つの市場予測
ボラティリティの上昇が予想される
市場がより安定することを示唆する予測はほとんどありません。投資家が変動に備えるためにボラティリティが強調されることが多く、方針を維持することの重要性が強調されます。
言い換えれば、ボラティリティは避けられませんが、パニックに陥る必要はないということです。投資を続け、見通しを維持するのが良いでしょう。
投資家は機敏である必要がある
市場で過去に観測され、繰り返し起こるテーマがあり、それゆえに戦略的な調整を必要としていることを示唆します。ポートフォリオ内の柔軟性にばかり焦点を当てるのは微妙だと言うのです。
つまるところ、慎重にポジショニングを行うことは重要ですが、短期的な変化に過剰に反応しないようにしてください。
選択とふるい分けを行う
選択とふるい分けにより、慎重な意思決定の重要性がハイライトされることになるでしょう。単に流行を追いかけるのではなく、質の高い投資に焦点を当てることが大切だと気づかされます。つまり、選択は重要であり、長期的な目標に沿った機会をふるい分けなければなりません。
従来のやり方は上手く行かない可能性がある
今回は違う、という警告は投資家を標準的な戦略から遠ざけるために用いられることが多く、進化する市場状況に適応する必要性を示唆しています。つまり、戦略を多様化し、確実に今日の環境に適したものにすることを検討しなければなりません。
経済成長は問題ないが、ただし
予測は通常、潜在的な下振れリスクに言及しながらも堅調な成長を予測するだろう、などと楽観と慎重のバランスがとれたものになります。言い換えれば、経済成長が期待されていますが、不確実性は依然として残っており、常に情報は入手すべきです。ただし、過剰反応してはいけません。
現在の傾向は続くが、反転には注意
最近の傾向が今後も続くと想定することが多く、投資家に一定の安心感を与えます。ただし、すべてのシナリオをカバーすべく、反転の可能性についての警告が含まれるでしょう。
つまり、市場は現在の道を辿るかもしれませんが、サプライズには備えておいてください。
オルタナティブ資産は有望である
オルタナティブ投資は、分散を提供する魅力的なオプションとして取り上げられることがよくあります。ただし、投資家は慎重に評価すべき複雑さがあることを理解する必要があります。
言い換えれば、オルタナティブ投資は分散において役割を果たすことができますが、そのコストとリスクを十分に検討してください。
構造的および循環的テーマが市場を形成する
AIなどの主要な構造的テーマと、政権交代などの循環的テーマを強調し、見通しに文脈を与えようと試みます。つまり、市場に影響を与える主要なテーマに注意を払いますが、大袈裟な報道に過剰に反応することは避けてください。
テールリスクに注意する
「テールリスク」というのは常に言及されますが、これは可能性は低いものの潜在的に大きな影響をもたらす出来事です。「ブラックスワン」と同じく、潜在的な市場ショックへの認識を強調することが目的です。要するに、想定外のことが起こるリスクは常に存在しますが、多くの場合、それを定量化したり、それに対処したりするのは困難だという話です。
株式市場は好調に推移する
ほとんどの予測は過去の傾向を反映するもので、長期投資への信頼を促すため、株式に対する楽観的な見方で結論付けられています。つまり、株式は長期的な成長にとって信頼できる要素です。投資を続けましょう。
これらの予測が本当に意味するもの
年間の市場見通しは単なる予測というよりは、文脈と安心感を提供するように設計されています。見ていて興味深いものであるのは確かですが、ポートフォリオを決めるにあたっての基礎となるとは限りません。
現実には、金融市場は本質的に予測不可能であり、最大の影響は予期せぬ出来事から生じることがよくあります。つまり、予測を根拠に行動すると、良い結果に繋がらない不必要な調整が発生する可能性があります。それよりも、これらの予測は市場動向とは何かを思い出させるものとして捉え、長期的な戦略に焦点を当てることです。短期的なノイズに反応したいという衝動を抑えることが、多くの場合最善の行動に繋がります。
毎年変わる不確実なテーマよりも、堅固な方針を築けているかどうか。投資家として重要なことは、ボラティリティとトレンドは市場サイクルの自然な部分だと理解し、機会を探りつつ、リスクとコストを慎重に考慮し分散に努めること、短期的な予測に振り回されず、長期の目標から気をそらさないことです。結局のところ、予測は予測にあらず、準備としなやかさの考え方を身に付けるのに役立つという意味で価値があるのです。さて、私も今年の振り返りと来年の見通しを書き連ねる予定なので乞うご期待ください。