トランプ関税に翻弄されつつも、平静を取り戻したかに見える2025年の金融市場。金利のある世界へと移行した先進各国は課題を抱えているのでしょうか。2025年の金融市場を振り返ってみましょう。
目次
2025年のメインシナリオは?
本年のメインシナリオとしてインフレの高止まりを挙げましたが、意表を付くような結果はなく、概ねその通りになった、と考えられます。そのため、各国の利下げのスピードに関しても、やや緩やかになりつつも、持続的なインフレを意識したものとなっています。
かたや日本は緩やかに利上げを行なったわけですが、日本円から見える世界はやや歪に映っている可能性が高いです。米ドル高が修正されつつ、新興国にも資金流入していますが、円安が継続したことで、日本円の購買力は落ちたままです。かつて物価が安いと言っていた国のいくつかにも既に追いつかれています。海外でリタイヤ後の生活を目指すことはハードルが高くなったと言えるでしょう。
2025年のブラックスワンは?
本年のブラックスワン予想としては、プラザ合意の再来でしたね。実際、マールアラーゴ合意なるものが来るのではないか、という観測は一時高まりました。が、それよりも実体経済に影響を与えた大転換は、トランプ関税でしょう。国際合意をすることなく、国内政策の枠組みの中でちゃぶ台を返すことには成功したと言えるのでしょうか。(ただし、この政策は合衆国憲法違反ではないか、ともされており、最高裁判決が待たれています。)
その他、イスラエルの停戦合意、ウクライナでの交渉など、地政学リスクもまた一定の収束を目指す方向と言えます。ただ、足元は台湾問題に関してやや緊張感があります。
2025年のハイライト
ざっくりと月別ハイライトを見返してみます。
- 1月 中国、ディープシークショック 韓国、大統領逮捕
- 2月 インド、5年ぶり利下げ
- 3月 カナダ、首相交代
- 4月 米、トランプ政権による相互関税の発表
- 5月 インド、パキスタンとの軍事衝突 タイ、カンボジアとの軍事衝突
- 6月 米、イラン核施設空爆 インド、ボーイング787型機墜落
- 7月 ブルガリア、ユーロ導入を最終承認
- 8月 インドネシア、新首都予定地ヌサンタラで独立式典せず
- 9月 イギリス、パレスチナ国家承認
- 10月 イスラエル、ガザ停戦合意 フランス、半日で新首相辞任、国債格下げ
- 11月 米、政府機関閉鎖を史上最長の43日間で終了
- 12月 米、ベネズエラ介入 ドイツ、新兵役法承認
地政学リスクの一定の収束、とは言いましたが、実際のところは様々な場所で軍事衝突が起こっていますし、どちらかと言えば先進国では軍備拡大の方向に向かっているのは確かです。脱グローバル化が進んでいる、という表現にはやや重みがあると言えるでしょう。
日本人の資産防衛の難化
さきほども少し触れた通り、世界の中でも日本は特殊な路線を2025年も進んでいます。周辺環境を見渡そうと思うと、円安が際立ち、その中での米株高や金価格の上昇が目につきます。
一方で、ヨーロッパや身近なアジアですら、どのような変化が起こっているのかを全く感じていない人も散見されます。通貨は国の強さだという人もいるように、やはり高い位置から見下ろすのと、低い位置から見上げるのでは違ってきます。そしてそれが努力とはまた違う領域で起こっているならなおのこと、です。
結果が悪かった、という人は現時点では多くないと想像されますが、少ない選択肢の中で行われた資産防衛はショックに対して脆弱になっている可能性が高い、とも考えられます。ここ数年で資産防衛が上手くいった、という人も、2026年に向かって聞かれやすくなっている楽観論、少し違う目線で見ておいた方がいいのかもしれません。
最後に
2025年、トランプ関税は実に大きな突風であり、その先の見えない不確実性だったと言えるでしょう。ただ、結果としては歴史的に見れば大きなショックを経済にもたらしてはいません。リスクを避けることだけに囚われていなかったか、あるいはリスクに対して盲目的でなかったか。その中でご自身が一体どのような立ち回りをしたのか、記憶に刻んでおきたいものです。
昨年に続き、一時的な予想の変化やニュースの類に惑わされず、辛抱強く取り組んだ投資家は2025年も報われたと思います。