薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス)は中国で最大のバイオ医薬品の受託開発・製造サービス会社。中国国内だけでなく、世界中での拠点拡充を目指す。
目次
サマリ
薬明生物技術(WuXi Biologics, ウーシー・バイオロジクス)は、中国江蘇省無錫市に本社を置き、李革(Ge Li)が率いる中国で最大のバイオ医薬品の受託開発・製造サービスの提供メーカーである。もともとはウーシー・アップテックの事業ユニットの一つであったが、2015年にスピンアウトして成立した。イギリス領ケイマン諸島に登記される持株会社の株式を2017年6月に香港で上場させており、2020年8月にはハンセン指数の構成銘柄となった。
WuXi Body TM二重特異性抗体技術プラットフォームと交代薬物複合体(ADC)技術プラットフォームを有する。
ワクチン製造施設を有し、中国(8箇所)のみならず、アメリカ(2箇所)やヨーロッパ(アイルランドとドイツにそれぞれ2箇所)、シンガポール(1箇所)の海外市場での事業を展開している。
薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス)のビジネスモデルは、医薬品の受託開発・製造にあり、医薬品開発業務受託機関(CRO)としては世界最大手である。医薬品業界ではもともと新薬開発にかかる多額の開発コストがかかっていたことから、研究開発・製造サービスの外部委託化(アウトソーシング)が進行したことが追い風となっている。受注先の新薬開発が失敗しても、開発依頼分のフィーが手に入る他、成功すればインセンティブフィーが獲得できるため、取りこぼしの少ない効率的なビジネスであると考えられる。
なお、無錫薬明康徳新薬開発(WuXi App Tec、ウーシー・アップテック)は2000年にWuXi Pharma Tecとして創業され、2007年にはニューヨーク証券取引所に上場を果たしている。2008年に改名、上海に本社を置き、低分子医薬品の開発・生産、臨床試験サービスを提供する企業で、2018年に上海(603259:SH)、香港(2359:HK)にも上場している。
特徴
筆頭株主:WuXi Biologics Holding Limited 約21%
同銘柄は親会社が筆頭株主であるが2017年には73.5%あった持分が2021年1月には20.6%まで引き下げられている。
配当利回り:0%
外部格付け:なし(2021年11月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 2269 WUXI BIO
最近のトピック
2020年11月16日には、より多くの投資家の呼び込みを図るため、1つの株式を3つに分ける株式分割を実施した。2021年2月と4月にはそれぞれ、筆頭株主による株式の売り出しが行われており、買収や技術プラットフォームの拡大に充てられる予定である。
薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス)はヨーロッパでは最初の進出先としてアイルランドを選んだが、その後ドイツでは製薬大手のバイエルが、2020年12月21日、独西部の製薬施設をウーシー ・バイオロジクスに譲渡することで合意している。
ニュースピックアップ
The Irish Times
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Forbes Japan
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South China Morning Post
The Standard HK
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PRNewswire
South China Morning Post
*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。