中国海洋石油(シノック、CNOOC)は国有石油大手のうちの1社であり、海外での企業買収も進める。中国政府が掲げるCO2削減目標の中で、天然ガスへの比重移行も課題。

サマリ

中国海洋石油(シノック、CNOOC)は1982年に北京で設立された、国有石油大手企業である。子会社であるCNOOC Limitedが1999年に香港で設立され、2001年2月には香港株式市場、ニューヨーク株式市場にそれぞれ上場している。2001年7月にはハンセン指数の構成銘柄となった。

中国の石油大手は4社あり、いずれも国有である。中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国石油加工(SINOPEC)、中国海洋石油(CNOOC)、中国中化集団(シノケムグループ)である。このうち、中国海洋石油(CNOOC)は最も古く、1982年に北京で設立された。当時は油田開発の技術力と資金力に乏しかったため、外国企業との共同で進められ、CNOOCが独占的地位にあったが、現在は、ペトロチャイナ、SINOPECに次ぐ第3位。国有大手があるとはいえ、中国のWTO加盟をきっかけに国内の石油小売・卸売市場は2006年までに海外企業にも開放されており、競争環境下にはある。

中国海洋石油(CNOOC)は、2002年にスペインの石油会社レプソルからインドネシア沖の鉱区を買収したり、2003年には、広東省への液化天然ガス(LNG)輸入計画に関連した豪州北西の権益買収を進め、2013年にはカナダのネクセンを買収するなど、海外M&Aにも積極的に乗り出している。

特徴

筆頭株主:China National Offshore Oil Corporation 約64%

同銘柄は引き続き、国有会社である北京のCNOOCにより保有されている。

配当利回り:5 − 10%程度

外部格付け:S&P A+ / ムーディーズ  A1 / フィッチ  A+(2021年11月時点)

株価推移

TradingView提供チャート 883 CNOOC

最近のトピック

CNOOCもまた、中国政府が2060年までにCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げたことを意識しており、同社の石油・天然ガスの総生産量に占める天然ガスの割合を2035年までに50%に引き上げることとしている。

米中対立の中で、米商務省より事実上の禁輸リストである「エンティティ・リスト」に追加されたことを受けて、MSCIやS&Pダウ・ジョーンズなどの指数から次々と除外されている。

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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。

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