荒井さん(30歳)は海外赴任を希望して、若手のホープとして香港にやってきました。海外駐在の決定をきっかけに、パートナーとも結婚し、いずれは家族が増えることも想定しています。

今回は、そんな荒井さんと行った、資産運用に関する会話を通じて、「日本円以外での運用の意味」について考えていただけたらと思います。

為替レートが生活に与えるインパクトについて考える

宮脇:荒井さんは、これまで何か資産運用をご自身でなさっていましたか。

荒井:はい、日本にいたときは証券口座を開いて、趣味程度ですが、ちょこちょこ株式を買ったりしていました。投資信託を買ったこともありますが、結果があまりぱっとしなかったので、どちらも今はやっていません。

宮脇:そうすると、今は日本円の貯蓄と、香港ドルの収入がメインになってくるのでしょうか。

荒井:そうですね。日本にある円は一時帰国したときくらいにしか触ることはないと思います。海外駐在期間中は少しだけ給与が上がった感じになるので、多分香港ドルでも貯蓄ができてきて、同年代にしては恵まれた状況なのかなと。

宮脇:海外にいる間、日本円と香港ドルの為替レートは気になりますか。

荒井:日本円の貯蓄は恐らくそのままですし、香港ドルはこちらで使おうかなと思っているのであまり気にはなりませんが、香港ドルが強いと収入が増えた感じになって、なんか得した気にはなりますね。それに帰国時には香港ドルが強いままでいて欲しいなと思ってしまいます。

宮脇:為替レートのことが実感できるのは海外に来た人の特権かもしれませんね。できれば、もう少し踏み込んで理解しておくとよいと思います。香港ドルが強くなって、実質的な収入が増えたように見えるのはよいことですが、逆にいうと日本円が弱くなって価値が下がったことも意味していますよね。逆もまた然りですね。

荒井:確かに。でも分かったような分からないような。何かいい方法があるんですか。

宮脇:為替レートの動きは個人でどうにかコントロールできるものではないですが、少なくとも2つの通貨で資産が形成されていれば、損をしたり得をしたりという感覚はなくなるでしょう。いざとなれば、強い方の通貨を弱い方の通貨に換えることで補えるからです。円高だから海外旅行に行こうくらいだったらいいかもしれませんが、円安になったので海外留学に子供を行かせられない、といった人生の大切なイベントを逃すことにも繋がりかねません。

荒井:円安/円高は日本にいると仕方ないと思っていましたが、対策はできるものなんですね。自分が海外に来てしまった以上、将来の我が子も海外に、と思うことはあるので、そのときに自由な選択をさせてあげたいですね。

日本円以外の通貨で資産形成をする

荒井:そうすると、せっかく海外に来て日本円以外の収入を得ることができているので、少し恵まれた状況にいるのでしょうか。でも香港ドルで資産形成をする、というのもなかなか現実味がないような気がしています。

宮脇:そうですね。日本に住んでいて、日本円から外貨に換えて資産形成をする人も中にはいますが、やはり一つステップが増えるので、難易度は高いとは思います。ただ、それでも先ほど荒井さんに話したことを理解された人は、日本円以外の通貨を持つことを非常に大事だとお考えになっていますね。

荒井:そうなんですね。

宮脇:一方で、荒井さんの悩みである、香港ドルについてどう思ったらいいか、ということですが、まずは香港で生活する上では「生活通貨」として一定量が必要なのは事実です。これは日本にいた時の日本円と同じですね。もちろん、香港ドルは米ドルに対して実質的なペッグになっていますから、香港ドルで資産形成をするだけでも日本円以外の通貨を持つ、という意味では条件をクリアしています。ただ、どうせペッグされているのだから、米ドルで資産形成をした方が将来的なメリットは大きいだろう、という話はさせていただいています。

荒井:アメリカに行く予定がなくても、ということでしょうか。

宮脇:将来的にアメリカに行って米ドルを使う予定があるのであれば、それはもちろん都合がいいかもしれませんが、米ドルをベースにして資産形成をするのは様々なメリットをもたらします。例えば、米ドルベースであれば資産運用の選択肢が多いので、資産を築く過程においてもしっかりと運用して増やすことができます。あとは、世界の基軸通貨なので、送金できなくて困ったり、あるいは両替できなくて困ったり、ということが少ないと言えるでしょう。

荒井:確かに日本で外貨預金を持つにしても、米ドルがあって他の通貨がないことはあっても、米ドルがないことはありませんね。香港でも米ドルでの資産運用の選択肢は多いのでしょうか。

宮脇:香港の場合、当然ながら香港ドルやあるいは人民元ベースでの金融商品はありますが、幸い米ドルペッグ制もあってか、米ドルベースで行う資産運用の手段は非常に多くなっています。保険にしても、証券口座での運用にしても、ですね。場合によってはマルチカレンシーで運用ができたりするのは国際都市ならではと思います。

荒井:香港を出てしまうと香港ドルは使えないのに対して、米ドルだったら資産のままでも都合が良い、ということなんですね。香港ドルは使い切ってしまおうかとも思っていましたが、資産形成という使い道もあっていいですね。通貨分散、考えてみたいと思います。

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