海外に住む、あるいは海外で資産運用するとなった場合、どの国を拠点にして資産の管理をすべきか、という課題に直面します。

海外への資産移転やそれに伴う資産の置き場分散の発想を身につけておきたいものです。

江藤さん(35歳、仮名)は一度日本の事業で成功した人物で、海外進出を計画して今は香港と台湾、ベトナムで事業を行っています。そんな江藤さんと行った、資産運用に関する会話をご紹介しますので、「資産の置き場分散」について考えていただけたらと思います。

海外への資産移転について考える

宮脇:江藤さんは、現在香港をベースにして活動されているようですが、日本の資産を海外に移転することについて考えたことはありますか。

江藤:もちろんです。今は海外が主軸になっているので、正直日本に資産を置いているのは、日本で稼いだお金だから、というくらいしか理由はありません。

とはいえ死ぬまで日本に帰らないというわけでもないので、わざわざ海外に資産移転をするほどでもないか、と思って放置しているのが現状です。

宮脇:そうすると、今は海外で稼いだお金は海外に、日本で稼いだお金は日本に、というイメージでしょうか。

江藤:基本はそうなりますね。本業で稼ぐのが面白いので、稼いだお金をどうこうっていうのはあんまりなかったんですが、ちなみに香港って資産運用する場所としてはどうなんですか。

海外での資産運用の違いについて考える

宮脇:はい、日本とは資産運用の方法は異なっています。様々な制度が異なるから、、という細かな話は置いておいても、違いがあるので色々と調べたり、実際にやってみたりすると分かるかもしれませんね。

江藤:日本でもアメリカの株式とか、海外に投資することはできるようになっているように思いますが、それでも違いがあるものなんですね。

宮脇:一つには香港自体が国際都市なので、それに合わせた国際的な投資手段が一通り揃っていますね。米ドル建て、ユーロ建て、ポンド建て、最近だと中国関連も多いので、人民元建てなんかも取引が盛んです。

日本だと日本円から米ドルに換えるという一手間があるのですが、それがないのでアクセスが楽なんです。日本に住んでいれば日本の税制も踏まえながらの選択肢だったはずで、香港は香港で改めて選択する、というのも大事なポイントです。

江藤:そもそも海外で資産運用というのを考えてなかったので、異なるポジションにいるのであれば考えてみる価値はありそうですね。ところで、香港に資産をもってくるべきか、というのって皆さんはどうされているんですか。

資産の置き場分散をする

宮脇:日本にいても、資産ができれば銀行のペイオフを意識して、預金を複数の銀行に分ける人がいるのと同じように、香港に住む方は複数の国に分けて資産を置く人が少なくないと思います。

江藤:国を分ける、というのは、私の場合だとベトナムとか台湾、ということでしょうか。

宮脇:いえ、必ずしもそうではなくて、シンガポールや香港、スイス、イギリス、マルタなど、いわゆるオフショアと呼ばれる地域を含みます。オフショアだと税金が安いから、というのもありますが、資産の置き場として安全である、という考え方によるものです。

江藤:資産の置き場として安全、ですか。確かに戦争などがあると資産が接収されたりとかはあり得そうですが、なかなか現実味はありませんね。銀行が潰れる可能性と同じように考えると、分散しておくに越したことはない、という考え方なんですかね。

宮脇:おっしゃる通りです。何かあってからでは遅いので先にリスクヘッジをしておく、というものですね。

江藤:今住んでいる香港はともかく、住んだこともないシンガポールやスイスに資産を置く、というのは直感的には理解し難いですね。あ、でも日本に今いないのに日本に資産がある状態とそんなに違わない、のでしょうか。

宮脇:もちろん、資産をできるだけ自分の手元に、という発想の人はいますが、自宅の金庫に入れるのでない限りは、実用面ではそんなに大きな違いを感じる人はいません。特にオンラインで口座の残高を確認したり、取引できたりする時代なので、より身近になっている、というのはありますね。

江藤:資産の置き場分散。まぁ事業を台湾やベトナムでというのと似てるといえば似てますが、少し発想が違うわけですね。考えてみたいと思います。

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