香港証券取引所やロンドン金属取引所を有する香港取引所(HKEX)はアジアの国際金融センター香港を支えている。中国本土との関係も踏まえつつ描く未来とは。
目次
サマリ
香港取引所(Hong Kong Exchanges and Clearing Limited、通称HKEX、香港交易所)は2000年3月に、「香港聯合交易所」(聯合証券取引所)、「香港期貨交易所」(先物取引所)、「香港中央結算有限公司」が合併して成立。英名では、それぞれ、The Stock Exchange of Hong Kong Limited (SEHK), Hong Kong Futures Exchange Limited (HKFE), Hong Kong Securities Clearing Company Limited (HKSCC)となっており、証券取引所を指す場合はSEHK、香港取引所全体を指す場合はHKEXと呼ぶことになる。
2000年6月27日には香港上場、2000年9月11日からはハンセン指数の構成銘柄入りを果たしている。
香港証券取引所(SEHK)には、メインボード(主板)とグロース・エンタープライズ・マーケット(創業板)がある。グロース・エンタープライズ・マーケット(Growth Enterprise Market)は、新興企業向け市場とされており、「GEM」とも略される。
2014年11月、香港と上海証券取引所間の相互接続「滬港通(上海-香港ストックコネクト、Shanghai-Hong Kong Stock Connect)」が開始した。これにより、海外投資家は香港経由で中国市場に上場する株式の取引が可能になる一方、中国本土の投資家は香港市場に上場する株式の取引ができるようになった。また、2016年12月からは深圳証券取引所とも「深港通」(深圳-香港ストックコネクト、Shenzhen-Hong Kong Stock Connect)を開始した。
2012年12月、イギリスのロンドン金属取引所(London Metal Exchange、1877年創業、通称LME)を買収してグループの柱の一つとしている。
2019年9月には、イギリスがEU離脱で混乱する中、ロンドン証券取引所の買収を提案して一時は注目を集めたものの、香港自体の混乱もあり、ロンドン証券取引所側から拒否され、翌月10月には正式撤回されている。
特徴
筆頭株主:Hong Kong Government 約6%
香港政府が最大の株主であり、香港法に基づき、いかなる人物も許可なく、5%以上の投票権の取得を通じ、HKEXの少数支配者となることは認められない。
配当利回り:2.5%程度
外部格付け:S&P A+ / ムーディーズ Aa3(2021年11月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 388 HKEX
最近のトピック
香港取引所の最高経営責任者(CEO)は李小加(チャールズ・リー)で、米系メリルリンチ中国法人社長、同じく米系JPモルガン中国法人会長を経て、2010年1月に就任した人物で、香港をアジアの国際金融センターとして押し上げる数々のプロジェクトをやってのけたが、2020年末に退任。その後任については、中国本土との関係配慮の比重が高まることも想定されるため、慎重な意見も多かった。2021年5月24日より、次期CEOはJPモルガン出身のNicolas Aguzin氏が務めている。
ルクセンブルク証券取引所(LuxSe)が2016年に「ルクセンブルク・グリーン取引所(LGX)」を設立し注目を集めたが、2020年12月、香港取引所はアジアで初のESG市場である、「ステージ(Sustainable & Green Exchange 、STAGE)」を開設した。環境債(グリーンボンド)やESG関連の金融商品を上場させ、持続可能で環境に配慮する企業活動を後押しする。
2021年2月、HKEXは新しく中国本土にできるGuangZhou Futures Exchange (GFE)の少数株主持分7%を取得することを発表しており、先物やコモディティ市場での拡大を目指す。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。