騰訊控股(テンセント・ホールディングス)は、WeChat(ウィーチャット、微信)やゲーム事業を通じて、中国最大のテック企業の一つに成長し、次の成長戦略を狙う。
目次
サマリ
騰訊控股(テンセント・ホールディングス)は現在もCEOを務める馬化騰が1998年に創業し、中国本土広東省深圳に本拠地を置く、持株会社である。
インターネット関連子会社を通じてソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供している。対話アプリ「WeChat(ウィーチャット、微信)」は中国最大のインターネットサービスの一つであり、他に、オンラインメッセージサービスでは「QQ」、SNSでは「QZone」などがある。
2004年に自社で初のカジュアルゲーム「QQ堂」をリリースしたが、近年はゲーム事業でも利用者を増やし、2016年にはゲーム事業売上高でソニーやマイクロソフトを上回って世界一を記録した。
2004年に香港証券取引所に上場、その後2008年にハンセン指数の構成銘柄入りしている。
新型コロナウィルス流行下においては、WeChat Workのほか、オンライン会議ツール「テンセントミーティング」などのビジネスコミュニケーションツールも広まりを見せた。
同じく中国IT大手といえばアリババであるが、アリババがリアルな実店舗をデジタル化することで成功したのに対し、テンセントはデジタルの世界に焦点を当て続けている、という点に違いがある。
日本では2021年にパブリッククラウドサービスであるテンセントクラウドを施設増強、人員拡大することを決定している。
特徴
筆頭株主:ナスパーズ 約31%
筆頭株主であるナスパーズは南アフリカで支配的な有料テレビ会社であると同時に、メディア持株会社で、テンセントの他はロシア最大のSNSを運営するメイルルー社やインド最大のオンライン旅行サイトを運営するメイク・マイ・トリップ社にも投資している。テンセントには2001年に投資を行った。
配当利回り:3 – 7%程度
外部格付け:S&P A+ / ムーディーズ A1 / フィッチ A+(2021年12月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 700 TENCENT
最近のトピック
香港では、香港金融管理局が2019年5月、実店舗を持たずに個人や企業に金融サービスを提供する「仮想銀行(バーチャル銀行)」の事業免許をテンセントにも追加発給した。テンセントはブロックチェーンベースの仮想銀行のオープンを計画している。
騰訊(テンセント)、中国工商銀行(アジア)、香港取引所(HKEX)、新世界発展の鄭志剛・副会長による合弁による、バーチャル銀行の富融銀行(フュージョンバンク)は2020年9月30日に試験営業を開始。試験営業期間は預金、定期預金、域内振り込みと決済を提供するほか、FX取引サービスも提供。バーチャル銀行としてこのサービスを扱うのは初めて。2020年12月21日には正式開業しており、テンセント傘下の電子決済サービス「ウィーチャットペイHK」との口座紐付けを実現し、電子決済を可能としている。
フィンテック事業に関してはアリババ傘下のアント・グループのIPO延期に見られたように、中国の金融監督当局が消費者向け小口金融への監督・規制強化の方針を打ち出していることから、やや慎重な動きとなっている。
一方で、ネットデリバリー大手の美団点評や電子商取引(EC)大手の拼多多などの出資先の好調は支えになっている。
お膝元である深圳では、東京ドーム40個分の敷地に「ネットシティ」と呼ばれる人工都市の建設計画を進めており、主要なテック企業が拠点を構える予定である。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。