今回は、個人投資家も機関投資家も投資の検討範囲になりつつある、ビットコインについて、ポートフォリオにおいてどのような役割を担うのか、考えてみたいと思います。

“ビットコイン”とは何者なのか

ビットコインというのは、コンピューターネットワーク上で運営され、取引は仲介者なくユーザー同士で行われ、ブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳に記録されます。

といっても紙幣の発行方法にそれほど興味がない人が多いのと同様、ビットコインの仕組みにもさほど熱視点を浴びせる人もかつてほどいなくなっています。

使われ方としては特別な権力を持つ発行者がおらず、決済のコストが極めて安く、かつそのスピードも早いのが特徴となっていて、徐々にサービスや商品との交換手段としても定着化しつつあります。今では暗号資産(仮想通貨)の代名詞ともなりました。

ビットコインはポートフォリオにどれくらい入れるのが適切か

こんな言い方をすると、「え?持っておかなければいけないものなの?」と言われそうですが、だからこそこの問いかけはとても重要なのです。

これが金だったらあり得ますよね。例えば、金を含めた安全な資産運用として、アメリカのハリーブラウンが提唱したパーマネントポートフォリオという洋書があります。そのなかでは、「株式」「債券」「現金」「金」をそれぞれ均等に25%を保有することとしています。

この割合に対する感想はさておき、ビットコインに金の代わりを求められるか、というと現時点ではやはりNoではないでしょうか。特に先進国にいる私たちにこれは必要ではありません。一方で、新興国にいる人にとって、あるいはビットコインに現金の代わりを求める、ということはひょっとしたら起こるかもしれません。自国の政治や経済に左右されず、したがって通貨価値の暴落に直面することもないとしたらあり得なくはありません。

ただし、毎日のように10%近く値動きをするようなビットコイン需給において、新興国通貨よりマシだ、というのは今の時点では少なくとも難しいでしょう。しかし、数万%のインフレーションよりはマシでしょうかね。

あとは、ビットコインに株式の代わりを求めている人は現時点ではそれなりに多いように思います。相場の波ができたときに、そこに相乗りすることで利益を獲得したいという需要です。ただし、これに関してはどちらかといえば投機的な行動なので、一気に引き揚げ得る資金であることは理解しておくべきでしょう。

現実的なところとしては、通貨分散という概念を延用して、通貨流通価値に基づく加重平均で通貨を保有する方法が考えられます。その場合、ビットコインの流通価値は日本円を既に越えているともされており、10〜20%程度の割合で保有することになります。

今なぜビットコイン価格は上昇しているのか?

ビットコイン価格が上昇しているのは、シンプルにビットコインを利用する人が増えている(=需要が増えている)からだと考えられています。

その要因は、あげればキリがないのですが、3つほどにまとめてみます。

①世界的な金利の低下

新型コロナウィルスの流行によって、世界的な不況が訪れ、それらの経済を支えるために、世界的に金利が引き下げられ、限りなくゼロに近い状態となっています。金利がない世界においてはより高いリスクを求めて株式などへのリスクマネーが生じやすい他、新たな資金の分散形態としてのビットコインへの需要も高まっていると考えられます。

②インフレヘッジ

インフレというと物価上昇ですが、それは通貨価値の下落と表裏一体です。①の金利低下に加え、通貨の供給量も大幅に増加しています。このような状況下においても、ビットコインは供給量が一定であるため、相対的に価格上昇しやすく、したがってインフレ耐性がある、とみなされやすいのでしょう。その他の要因を通じて需要の後押しがあることは他のモノでなくビットコインを選好する理由にも繋がっているように思います。

③取引基盤の拡充

ビットコインは果たして暗号資産なのか仮想通貨なのか、など様々な論議がありましたし、取引所もトラブルがあったりと発展の中でも波がありました。とはいえ雨降って地固まる、ではありませんが、ビットコインは先物市場や、あるいは投資信託での取扱の開始など、取引基盤が拡充され、より広範囲の人に利用可能なものとなりました。

個人投資家も機関投資家もビットコインを選択肢に入れつつあります。これまでアクセスしてこなかった人がアクセスするということ自体が需要の底上げとなっている面はあるでしょう。2021年を仮想通貨元年としたい、といった声も聞かれます。

今からビットコインを購入することは高値掴みなのか?

ビットコインにはインカムリターンがありません。したがって、将来得られるリターンの逆算値として価値推定ができるわけではないので、上昇幅はいわば無限大で、需給のみによって動くことになります。

2020年12月時点でビットコイン価格は1ビットコイン=28,000米ドルまで到達したわけですが、ではどのくらい上昇余地があるか、というとビットコインの歴史は短く、金価格のように過去の目安の水準があるわけでもありません。

同時に、この水準が高いのか、低いのかを判断する尺度(将来的に収斂する公正価値)も存在しない、と言えるのかもしれません。そのことを知った上で、高いと思うのであれば売り、安いと思うのであれば買う、ということになるのでしょうね。

TradingView提供チャート BTCUSD

まとめ

こうしてみてみると、ビットコインは世の中の一定の人々の心を掴み、取引需要を掘り起こしたと言えると思います。しかし、単に金の代替として見られているわけではありません。なぜなら万国共通で価値が認められる金に対して、デジタル金を作れば良かったかというものでもないからです。

資産の保全という観点だけで言えば、かつてよりもずっと様々な通貨分散、投資先分散が可能になっていますから、ビットコイン保有を盲信する必要もありません。上手く、ポートフォリオの一部として利用できる日がくるかどうか、といったところ。2021年はそんなことを考えてみてもいいかもしれません。