本稿では、資産家と呼ばれる人たちが共通して持つ、「資産の延命」という考え方について紹介をしたいと思います。

資産家は金融資産を大事にする

資産家と呼ばれる立場になった方には、その資産が生まれた背景に色々な歴史があります。

ドナルド・トランプ氏も不動産王と呼ばれたように、不動産で財を成す方もいらっしゃいますし、ご自身が経営する事業会社が上場したという方もいらっしゃいます。

お金持ちのイメージには2種類あって、「年収が高い人」と「資産を持っている人」ですが、前者はフロー、後者はストックに注目した発想です。ここで話す「資産家」とは後者のことだけを指すことにします。

資産には色々あって、例えば現金、証券、不動産、金地金等です。ただ、資産家にとってマネジメントしやすいのは、金融資産です。確かに、金融資産には確かにカタチがなくて不安に思う人もいるのですが、取引は断然楽であることに気付くからです。

寿命の長い資産を意識する

「人生100年時代」と言われるなかで、老後に一体いくら用意しておけば良いのだろうと思う人が多いと思いますが、例えば10億円の資産を持つ資産家になった場合、「これだけあれば十分だ」という気持ちになるかというとそうではないようです。

それに、亡くなるその瞬間に合わせて資産を使い切るような消費シミュレーションは作ることができません。人間はいつか死ぬ、けれどいつ死ぬかは分からないという宿命があります。80歳に死ぬと想定して、70歳から散財を始めようなんていうプランを考えるのはとても難しいです。

もちろんご自身の人生をかけて蓄積した資産はご自身のために使いたいという発想自体は間違っていないのですが、少なくとも資産にはご自身よりも長生きをしてもらう必要があるというのが大前提です。そういう発想に立つと、そもそもご自身の人生と資産を切り離して管理するということを選択される方がいることは頷けます。資産を切り離すとは、財団を作ったりあるいは信託に入れてしまったりですね。

つまり、資産には寿命がなくていいのです。個人の都合で無理矢理寿命を設けるからややこしいのです。もしその使い途に死後も口を出したいのであれば、そういう目的で使うことを意図して残しておけば良いのです。

ライフプランナーであれば通常、ライフステージに沿った運用のあり方がありますよ、という話をして、年齢が上がって来たら保守的な運用に切り替えましょう、という話をします。でも、積極的な運用をしたタイミングに、金融市場全体でいい波が起こるとは限りません。資産の寿命を延ばせるのであればそれにこだわる必要はなくなり、初めからバランスのとれた運用をして、それを続けることができます。それが資産保全の強みなのです。

資産を延命させるには

【ネットの資産増減】を意識することが一つのポイントです。なくなったものを取り戻すことは難しいので、増えた分だけを使えば、資産の命が途絶えることはありません。資産の延命を前提にチャリティに取り組む方もよく見られます。チャリティに継続して貢献する方法も考えてみてください。

もう一つは、【運用効率】を意識することです。資産の50%を株式に投資するが、50%は現金で持っているという方。そうなさりたい気持ちは十分分かりますが、もし投資リターンを考えるだけであれば、実は100%債券を買った方がリスクも少なくて総合的なリターンが上回るというケースもあるかもしれません。あとは、債券が償還になったからしばらく現金で置いておいて、買い場に備えます、という方。買い場を待つのは良いですが、その間も再投資はちゃんとしましょう。お金を寝かせておくほど非効率なことはないのです。

さらに、【税効果】を意識することも有効です。取引コストも然りですが、税効果は考える必要があります。税金というのは気づかないうちに取られている性質のものですから、早い段階で税設計をする必要があります。支払うべき税を把握して、支払うべきときにはしっかり納める、これが基本です。まるで税がかからないかのように思って取引をして、その後に税金を納めるべし、となったら払いたくなくなってしまいます。

投資家であれば誰しもが思うことは、当たり前ですが「リターンは多い方がいい、リスクは取りたくない」です。そう思うことは資産を作る上で非常に重要なことなので、ずっとそう思っていていただきたい。「リスクを取っても良いからリターンが欲しい、リスクは取りたくないからリターンは要らない」は実は思考停止であって、不満が残ります。最終的には「そんなはずじゃなかった」となる可能性があります。結局のところ、「確かにリスクはあるが、それくらいのリターンが見込めるのであればフェアだ」と思う位置にいられるかどうかが資産運用の基本です。

それぞれの分野の専門家に見てもらう

資産家になるということは、いわば自分自身の「経営」を行なっていることと同じです。したがって、弁護士や税理士、会計士等の外の専門家から「お墨付き」をもらいながら進んでいくことも非常に重要になってきます。もちろん、既に、長年のお付き合いで信頼できる専門家に任せているというケースもあると思いますが、どんな人間にも得意分野というのが存在しているので、「経営」の規模が変わったのであれば、それに合った専門家を探すことも重要になってきます。

例えば、日本国内で事業を展開されていた方が、タイに進出するとなったら、タイでの会計や税務に詳しい人がいて欲しいですよね。知り合いの弁護士にタイのことを相談したら、とりあえず頑張って調べてくれたが、タイムチャージで物凄く料金を取られた、という話はあり得ます。その道のプロは常にいるものであって、ステージに合わせた付き合い方を考える必要はあります。