海外への現金の持ち出し、持ち込みに関するルールは意外と知られていない。申告義務を怠らず、お金の履歴を残すことが大切。

税関の存在

国を跨いで移動するときはイミグレーション(出入国管理局)がありますが、合わせて税関が存在します。税関で申告が必要なものは色々ありますが、ここでは現金に絞って話をします。ハンドキャリー する場合の注意点を押さえておきましょう。

現金というと紙幣をイメージしがちですが、厳密には“現金等”という言い方をする場合が多く、現金、小切手、約束手形、トラベラーズチェックなどが該当し得ます。有価証券(株券、債券等)を含む国もあります。要は、支払いの代わりになり得るものですね。現金はその国の通貨と外国の通貨両方を含みます。

現金の持ち出し、持ち込み〜日本

日本へ出入国する際、円や外貨、トラベラーズチェックなどを含めた金額が100万円相当以上の金額の場合は、税関申告の義務があります。高価な物品であれば、関税がかかる場合がありますが、現金の場合は関税がかからないこととされています。仮に申告義務を怠った場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されることがあります。

現金の持ち出し、持ち込み〜香港

2018年7月16日から香港では現金の持ち込みに関するルールが定められています。それは、香港に入境する際、12万香港ドル(約180万円)を上回る現金や、それに相当する約束手形、トラベラーズチェックなどを持ち込む場合、香港の税関にて申告が義務付けられる、というものである。申告違反は最大で50万香港ドル(約750万円)の罰金と最高2年の懲役が科されることがあります。

香港から出境する場合、持ち出し額に対する制限はありません。ただし、税関職員から質問があった場合は対応することが義務付けられています。

現金の持ち出し、持ち込みに税金がかかるという誤解

税関に申告義務があります、というと、申告したら税金を徴収されるかのような誤解をする人がよくいますが、それは事実ではありません。「税金を徴収されるくらいなら、申告をせずにバレない可能性に賭けたい」などというのはそもそも的外れなわけです。

何の心配もせず、申告さえすればそれでいい、ということです。

なぜ、持ち出し、持ち込みに申告義務があるか、というと、犯罪収益に絡めたマネーロンダリングやテロリスト活動の支援などを防ぐことが狙いです。今では主要国ではそれぞれ対応が必要なものとなっています。

米国であれば1万米ドル、EU圏では1万ユーロ以上、出入国時に税関での申告義務がありますね。マカオも同じく2017年11月1日より12万パタカ(約180万円)以上の現金を持ち込む際には税関申告義務があります。カジノに行くことが予定にあったら、ひょっとしたらこれに該当することはあり得ますよね。

実際に税関に引っかかるのか

申告してもしなくても何も変わらないのではないか、そんな意見も聞かれます。まして悪いことをしていないのに税関で質問攻めにあうなんて御免だ、という気持ちも分からなくもありません。

しかし、現金の持ち出し、持ち込みの申告義務の有無には金額的な基準値が存在します。つまり、普通に渡航するだけなら、それくらいの金額までは誰しもが持っていて不自然ではない、という水準があるわけで、それを超えてくるようであれば、何がしか特別な事情がある可能性が高い、と考えているわけです。

申告をしたからといって税関で質問を受けるとは限りません。逆に申告しなかったとしても、現金のにおいを嗅ぎ分ける探知犬やあるいは現金を見分けるコンピュータシステムなどで発見され、質問を受ける可能性もあります。

申告をせずに税関に引っかかった場合、国によっては現金の全額を現場で没収される可能性があります。その後、税関に対する申請を通じて返金を受ける、という対応をとることも十分考えられます。

大量の現金を持ち出し、持ち込みをしたい人へのアドバイス

税関の申告義務の有無は分かったと思いますが、大量の現金を持ち出したり持ち込んだりしてはいけない(=制限がある)わけではないことも分かったと思います。(*国によって制限もある場合があります。)

大量の現金がマネーロンダリングの懸念を招くのだとすれば、つまるところそれが正当な資金であることを証明できることが非常に大事になってきます。

何も証明できなければ、誰か見ず知らずの人から頼まれて運んでいるだけだとか、あるいは存在を知られたくないお金だとか、色々な背景が考えられるからです。この時点で、残念ながらマネーロンダリングの疑いをかけられても文句は言えません。

自分名義の銀行から引き出したのであれば、そのときの明細があった方が説明力はあるかもしれません。本当にカジノで大勝ちしたのであればカジノに行ったということが分かるものがあった方がいいかもしれません。

ちなみに、仮に渡航先にある銀行に現金を持ち込んで預けるのであれば、同じく資金の出所をどのみち聞かれる可能性があります。金額もできればピタッと一致する方がいいですね。そういうことを気にしているのは税関だけではないのです。

何年もタンス預金にしていたものをふと思い立って渡航のときに持ち出す、などというのはあなたの頭の中では正当な資金であっても、第三者の目からそうとは見えない可能性があることは知っておくべきでしょう。

大量の現金を持ち運ぶこと自体が、盗難や紛失などの非常に大きなリスクとも隣合わせです。旅行保険でカバーできる金額では恐らくありません。正当な資金であればあるほど、なぜ銀行から海外送金で送らなかったのか、という話にも繋がるわけです。かつてほど海外送金手数料は高くなく、Wiseなどの送金サービスを利用する人も増えています。

大量の現金の持ち出し、持ち込みをする場合には、落ち着いて税関で対応できるようにしておくこと、忘れずに申告することを意識することが大切です。

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