日本人も比較的多く住む台湾ではあるが、現地でどの程度金融サービスを利用すべきなのか。台湾在住者・駐在員が行うべき資産運用とは。

台湾在住の意味

台湾自体は必要不可欠な金融サービスは利用できます。台湾在住者向けのものは充実しているといっていいでしょう。

一方で肝心なのは、台湾にずっと住み続けないとしたら、果たしてそれらのサービスを受けていていいのか、という観点です。

台湾に住み始めてすぐは慣れるのに時間がかかるかもしれませんが、色々と落ち着いた頃に、5年後、10年後、あるいはリタイヤメントのことなど思いを巡らせてみてください。

どのような選択肢が自分の頭の中に現れるかはあなた次第です。書き出してみてもいいかもしれませんね。

もし次の行き先が決まっているのであれば、それに向けた対策を組むことだってできます。

海外駐在の意味

海外駐在員の場合、海外にいる間にどれだけ資産を伸ばせるかがその後の選択肢に大きな影響を与えます。

海外にいる時点で、お勤め先の中では、「この人を海外に行かせても大丈夫」というお墨付きは出ているわけですが、その分、ジョブローテーションなどは機動的ではなくなり、海外で過ごしていた間に出世競争からは外れてしまった、ということもあり得ます。

もちろん海外生活を謳歌してなお、順風満帆のキャリアを描く人もいますが、その後どうなるにせよ、選択肢を確保する上で資産(=貯蓄)は非常に大事になってきます。

資産運用の選択肢

銀行

銀行口座でできることのメインは定期預金です。現地通貨でも外貨でも構いませんが、余剰資金ができたのであれば金利をチェックして定期預金にしておけば少なくとも金利分は増えます。

ただ、現状はベースとなる金利自体が低いので、増えたという実感があるほどには状況は変わりません。何もしないよりは断然いいです。

台湾にお住まいであっても、香港に銀行口座を開設しにくる人はいます。香港の銀行口座の場合、非居住者でも口座の維持ができるからです。

仕事関係でも香港を訪れるのであれば、選択肢としては意外と現実的です。ただ、もちろん何かトラブルがあったらわざわざ香港にまた来なければならない、という可能性はゼロではありません。

保険

保険を資産運用の手段とみるべきかは賛否がありますが、保険でしかできないことはリスクの移転です。

過度な市場リスクをとった運用ではなく、平均的な分散投資を保険会社は取る傾向がありますので、学資保険など、失敗できない資産運用においては重宝するとは言えるでしょう。

保険ビジネスの拠点としては香港がアジアでは非常に大きな存在感をもっており、台湾在住者でも受け入れている保険会社があります。

旅行がてら香港に来て保険に加入する方もいるほどです。ブローカーを経由して加入した場合、窓口はその人(私であれば私)になりますので、信頼できる担当者を見つけるのは肝心です。

特に香港ドルではなく米ドルでの保険プランが充実しているため、比較的換金性の高い外貨資産を持つ、という意味でも香港保険は好まれています。

証券

証券の中には株式や債券、ファンドなど様々な選択肢が含まれます。台湾現地の企業の株式を購入することを考える人もいますが、株式市場として台湾は世界的に見てそれほど大きくはありません。

資産は伸びてこそ意味があるので、より大きな米国市場にもアクセスがあるかは確認したいところです。

香港の証券会社でも台湾在住者を受け入れている会社はいくつかあります。香港の場合は世界中の金融商品にアクセスはできるので、証券投資のハブとしては利用できます。

運用を完全に任せてしまいたい場合も、どのような運用方針がよいかは担当者とよく話し合って決めるとよいでしょう。

帰国を考慮した対応

台湾の現地銀行を開設した場合、居留証との紐付きの問題がありますので、本帰国となって居留証を返す場合、銀行口座も閉鎖するのが原則になります。

もちろん、登録住所や登録電話番号を変更しなければ、一定の期間は口座を維持できますが、何らかのタイミングで本人確認や住所確認が必要になった場合に、確認がとれずに口座が凍結されるリスクはあります。

銀行口座を維持する必要があるのか、下記のような実態も考慮に入れながら検討すると良いかと思います。

  • 今後も台湾への渡航予定がある
  • 不動産など、台湾での収入が引き続きある
  • 台湾現地の証券会社や保険会社を利用しており、資金の移動が発生し得る

などです。

もし銀行口座を閉鎖する場合は、帰国のスケジュールを踏まえながら前もって済ませてしまいましょう。やはり銀行窓口に直接行ったほうが話が早いからです。

あるいは徐々に残高を減らし、最終的に自然消滅させることを考える人もいるでしょう。銀行付き合いとしてはお勧めはできませんが、今後利用する可能性を残しつつ、でもそうでなければ大きな損失なく済ませることができます。

現地に根付いたサービスを利用すればするほど、引き払うのは大変にはなってくる、ということは分かるでしょう。

さらなる海外転勤を考慮した対応

台湾でビジネスを行っている場合、多くのケースは中国や東南アジアなど他の国でもビジネスを行っており、希望すればそういった地域へ異動となるケースが少なくありません。

ライフプランとして軸足を日本から離して考える必要も出てきます。ひょっとしたら日本に戻ることも考慮して証券口座や生命保険契約を残してきたかたかもしれませんが、一度どこかでレビューをすることをお勧めします。

その国でずっと暮らし続ける人と、様々な国を移動しながら過ごす人が受けるべき金融サービスは異なっているのです。

海外に長く住むとどうしてもそのあたりがツギハギだらけになってしまいがちですが、きちんと整理するだけで随分と将来像がクリアになってきます。

お子さんが海外の大学を出る場合や、家族が別々の場所で暮らす場合など、ライフプランに沿って考える必要があります。

一人で考え切れない、という場合はコンサルテーションを受けてみてはいかがでしょうか。

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