多くの人にとって、株式投資は投資家としての人生の最初の入り口になることが多く、その後に債券投資を知ることになるでしょう。しかし、投資に期待するものが高いリターンのみであるならば、債券投資の存在意義について疑問に思うことに繋がりかねません。

今回は、私自身が様々なお客様と話す中で、金融商品の選択に関してお客様がどのような傾向を持つのかについて感じたことをまとめてみます。株式投資家と債券投資家の違いはどこにあるのでしょうか。

長期/分散/積立は資産形成には最適。だが、同時に思考停止?!

一般的には資産を積み上げていく過程においては積立投資を行います。このときによく言われるのは「長期・分散・積立」です。つまり、長期的には、様々な資産に分散をして投資し、そしてコツコツと積み上げていくことこそが“最も失敗しづらい資産形成方法”と考えられています。

一方で、この過程において、どのような資産に投資するか、時間をかけて検討する人は多くないのが実態です。もちろん考えないわけではないですが、日本株か、米国株か、くらいであり、細かな方針を立てても、やっていくなかで疲れてしまいます。なぜなら、資産価格が上がったら買い、下がっても結局のところ買うからです。

当然ながら、資産の組み替えを細かく行いながら、同時に増やすことを目指すことはできますが、やはり短期間で成績について成否が判断ができるはずもありません。思ったとおりに成果が収まるわけでもありません。

投資のことだけを考えてはいられない以上、どこかで思考停止し、自動運転に切り替えなければならない面があります。もちろんあまりに考えなさすぎると、積み上げていたはずの資産がいつの間にかなくなっていたり、ということにも繋がるので最低限のアクションは必要なわけですが、可能な限り楽な方がいいのは事実でしょう。

株式投資家と債券投資家はキャラクター(性格)が異なる?

金融職を探すときには株式運用するのか債券運用をするのかで、性格的な適性を確認されることが多いのですが、投資家にもやはりキャラクター(性格)の違いは現れやすいと思っています。仕事と同じで、自身の性格を知ることはパフォーマンス向上にも繋がります。

批判を承知で傾向をまとめるならば、

 株式投資家は「大ざっぱ」で、債券投資家は「細かい」

性格の持ち主が向いていると言えそうです。

株式投資家が大ざっぱな理由

  • 投資資金がなくなってしまってもよいと割り切っている
  • 投資リターンはいつ、どれくらい得られるかは不透明でよい
  • 資産価値が数倍に増えていてもあまり気にならない
  • 気に入った企業かどうかという感情的な投資基準が存在する

債券投資家が細かい理由

  • 投資元本が戻ってこないことは避けたいと思っている
  • 投資リターンは計算して出てくる方がよいし自分で計算もする
  • 資産価値が今いくらなのか逐一確認したがる
  • 分析して数字的に納得できる投資を行う

性格だけが重要というわけではもちろんない

他にも、資金が少ない人は株式投資家になりやすく、資金が多い人は債券投資家になりやすいという傾向もありそうです。個人投資家の場合、多いまたは少ないは主観が大きいです。しかも、同じ資金であっても例えば年齢を経るにつれ、少ないから多いに変わってくることもあります。全てに柔軟に対応、というわけにはいかない部分がありますが、これはアドバイザーとしては感じ取らないといけない投資家自身の状況の変化の一つです。お客様自身でもはっきり認知されているケースもあります。

よく、金融機関で運用を始めるときにはリスク許容度診断がありますが、実はこのあたりを実際にスコアリングすることを目的にしています。たまに、「何で自分が“保守的”だと分類されるのか納得がいかない」という方に出会いますが、大事なのはその原因についてしっかりと理解することであり、それは自分自身を見つめ直すことでもあるのです。何も性格を変えよというのではなく、人間はある意味矛盾した考え方を同時に持つこともあるので、より客観的に整理をすることが大切です。

アドバイザーは金融市場の変化とレイヤー(層)を補完する

投資家自身が性格と向き合うのに対し、アドバイザーが補完できることは金融市場の状況の変化だと私は思っています。例えば、株式を買うのには難しい局面、債券を買うことはできても何のメリットもない局面というのはそれぞれ存在します。あるいは、お客様は長期の海外旅行をエンジョイ中ですが、突如として投資チャンスが生まれたとき、などです。バブル期に働きざかりだった場合は大金を手にしたかもしれませんが、同時期に小学生だったらそんなことはつゆ知らず、ということが起こるように、人生のライフサイクルに対して、金融市場のサイクルはピタッと寄り添ってくれるわけではありません。お客様が株式→債券、債券→株式と変えていくことを決心されたとしても、それに見合う金融市場がそこにあるとは限らないのです。

また、金融市場にもレイヤー(層)があります。世界の金融市場の多くは全ての投資家に平等に開かれている、というのは事実ですが、開かれていることがすなわちアクセスすれば良いというものでもありません。金融知識が不十分なとき、人は誰かの真似をしようと考えますが、一般のランナーが、普段から高山トレーニングをしているプロのマラソンランナーの真似をしても上手くいきませんよね。投資のレイヤー(資産種類、投資手法、運用規模等)を変更するときは、変更することが適切なのか、あるいは変更するとしてもっと良い方法がないのかをしっかり吟味する姿勢が必要です。可能であればここにアドバイザーをつけることが望ましいでしょう。

時間を見つけて様々な金融市場と向き合った結果、やっぱり株式投資家は株式投資家だ、債券投資家は債券投資家だ、と思い返すこともあるかもしれません。