プライベートクレジットに関するニュースが増え、どういうものなのか関心を持った人も多いと思います。一方で、身の回りにはそうした投資機会は聞いたことがない、という人もいると思います。本稿では、プライベートクレジット市場を取り巻く環境をざっくりとまとめてみます。
目次
プライベートクレジットとは
通常、融資(貸付)でイメージするのは銀行だと思いますが、プライベートクレジットは、銀行を介さずに投資ファンドや保険会社といった、ノンバンクが企業へ融資するものを指します。
投資対象は企業、といっても様々です。ファンドであれば得意な業界があるかもしれませんが、設計上情報開示は非常に限定的です。投資しようとしているもの、投資しているもの、今この瞬間にどうなっているのか、投資家側には分からないか、あるいは報告までのタイムラグがあります。情報開示や保有資産に関する詳細な情報提供に関しては、業界として徐々に改善されている、と考えられます。
リスク認識が肝心
一般的には、リスクをとってより高いリターンを求める、あるいは株式や債券といった伝統的資産と相関の低い、絶対的リターンを求める目的でプライベートクレジット市場を見ている投資家が多いでしょう。
この際、追加的なリスク、特有のリスク、がある、ということを投資家が認識することは肝心です。投資対象が中堅・新興企業であれば、大企業に比べて貸付が焦げ付くリスク(デフォルトリスク)が高まりますし、市場で取引されているわけではないので、第三者に譲渡しづらく、短期間での現金化は困難(流動性リスク)です。
クレジット投資ではその投資対象ゆえにデフォルト自体はつきものであると知り、しっかりとした分散投資を通じて損失が吸収できるようにすることを意識するといいのかもしれません。
近年の大衆化の弊害?
非上場企業の取引ですから、もともとは相対取引で成り立っていますが、テクノロジーの発展により、近年、大衆リテール投資家への販路が拡大してきました。カネあまり、高金利環境はこれを加速させたと言えるでしょう。
一方で、大衆化するということは気軽にアクセスできることを意味するため、全ての投資家が十分な理解を経ているとは限りません。株式でも、個々の企業分析をせず短期で頻繁な取引をする人と、しっかり企業分析をして長期でめったに取引をする人が混在していますよね。そのため、元来流動性の乏しい資産に対して、投資家のマネーは足早に動く可能性を秘めていることが弊害である、と言えそうです。
これはプライベートクレジットそのもののリスクではありませんが、金融市場の発展に伴って従来と異なるものがアクセスできるメリットが生まれたと同時に、それにまつわるデメリットが発生しているものと想像できます。
即時解約できない背景
プライベートクレジットでは運営側が様々な制限をかけることができます。そうでなければ運営が立ち行かなくなるからです。ただ、解約ができない、というのを大衆は嫌うと思いますし、このような制限がかけられるのが一般的だと知らなければいざ制限をかけられて慌てふためく人もいるでしょう。
金融危機のときは、上場株式や債券でも、十分な取引は行われず、投げ売り(ファイアーセール)に陥ることがあります。プライベートクレジット市場では、この解約制限により、最悪期を回避することは可能かもしれません。もちろん回避した結果、投資家にとって必ずより良い結果になる、とまでは言えませんが、金融危機を経ても時間をかけて社会は立ち直っているわけで、時間、というのが果たす役割はそれなりにあります。
金融危機を招く可能性
サブプライムローンが金融危機のトリガーとなったように、リスクの高い融資が増えたことが、次の金融危機に繋がるのではないか、という声は確かにあります。一方で、プライベートクレジットは元来銀行セクターとは異なるプレイヤーであり、(投資家にとっては嬉しくないとは思いますが)何かあったときに損失が吸収され、他に波及する、ということは起こりづらいとも考えられます。
あるいは解約制限があることで、本格的な取り付け騒ぎのような事態には発生しづらい、と言えるかもしれません。もともと投資は余剰資金で取り組むべきものではありますが、とりわけプライベートクレジットについては、依然として富裕層などリスク許容度の高い人向けだとされています。
市場拡大は続く予想
2026年4月現在、投資家の不安を反映する形で、解約急増の報道をよく見るようになりました。2026年の一つのトピックとして残っていきそうです。ただ、市場予測としては、プライベートクレジットは2030年にかけてもこれまでの拡大を続けていく、という見方が複数聞かれます。競争激化の中で淘汰されている業者がある、あるいは、ニーズ拡大を受け止める過程で、業界がより洗練される必要がある、ということなのかもしれませんね。
投資家として投資を検討する場合は、あくまで投資ポートフォリオの一部として、継続的に情報収集を行なっていくことは必要だろうと思われます。