日本でいたときには考えもしなかったのに、香港でやっておかないと損な気がするのが定期預金ですが、基礎知識として持っておくべきことを挙げてみましょう。

香港ドル金利より米ドル金利が高い

香港ドルは米ドルにペッグされています。ペッグするのに金利も同じように動かす必要があるわけですが、実際のところ預金者の立場から見ると、香港ドル金利は米ドル金利より低いなと思ったことはありませんか。なぜでしょうか。

一つには香港ドルは生活通貨(香港で生活するのに使う)なので、保有せざるを得ない部分があり、銀行としては優遇するメリットが低いからです。放って置いても存在するお金にわざわざ高い金利を提供する理由はありません。このロジックからすると、大手の銀行ほど預金獲得意欲は低いので定期預金金利も低くなりやすい、というのは要チェックです。

もう一つは米ドルだと為替手数料が銀行に落ち、かつ、その後相対的に使い途が少ないことから銀行内に滞留しやすいことが挙げられます。預金というのは囲い込みが難しいのですが、香港ドル以外に替えてもらえば、残りやすい、というわけです。

逆に預金者の立場からすると、米ドルの方が金利が高いからと言って飛びつくと、案外その後困るということなので、よく考えると良いでしょう。

店頭よりアプリがお得

街を歩いていると高い金利で口座開設を勧めてくる人にあったり、店頭に高金利の張り紙があったりしますよね。でも近年はインターネットバンキングやモバイルアプリが普及していますし、そもそも定期預金を勧誘したところで大して儲からないことを香港の銀行は知っています。

したがって、店頭で定期預金を申し込むより、オンラインで申し込みを行なった方が金利が高いケースがほとんどです。店頭だったら担当者と金利交渉ができるかも、なんていうのは本当の大口の顧客だけです。それに店頭で定期預金を組みたいと言おうものなら、運用したい人だと思われて投資信託や保険商品へと誘われるのが関の山です。

新規優遇金利(Preferential Rate)を逃さない

定期預金で得するために絶対に逃してはいけないのは、銀行がどのような預金に対して優遇金利、すなわちお得なレートを提示してくれるのか、ということです。

銀行は預金を手放したくありません。でも預金である以上いつでも出て行くことができるわけです。そのため、新規で入ってきたお金(New Fund)により長くいて欲しいと考えます。新規かどうかの見極めはこれまでの預金残高によります。入ってくる前日の残高を見るときもあれば、入ってくる前数週間の平均残高を見るときもあります。したがって、新規のお金であっても、入ってきた後数日経てば新規扱いされることもなくなることには注意が必要です。

毎月給与が振り込まれるのであれば、そのタイミングが一番良いでしょう。給与が入ると使ってしまいたい人が多いのでそれを食い止める役割もあるわけですね。

じゃあ貯蓄が増えない人に機会はないのか、というとそうでもありません。単純に別の銀行で口座を持てばいいだけの話です。ある銀行から別の銀行へ残高を移せばそれは新規です。こまめに口座管理できるなら手っ取り早いとは言えそうです。これをやっている香港人は結構います。

更新(Renewal)に注意

優遇金利で定期預金を組めてしめしめと思った後に気を付けたいのは、自動更新(Auto-Renewal)になっていないかどうかです。自動更新というのは、例えば当初3ヶ月の定期預金を組んだとして、その満期が来た際、同じ期間で自動で3ヶ月の定期預金を組む設定にすることです。

落とし穴は、この自動更新時に適用される金利は通常金利なので、優遇金利に比べると低い場合がほとんどだということです。同じ金利で延長されるのだと思ってはいけません。定期預金の満期の管理を徹底している人は少ないですから、銀行としては優遇金利で顧客の資金をロックし、その後忘れた頃に低金利で定期預金を継続してもらう、という道に誘われるわけです。そうならないために、自動更新にはせず、満期で終了するようにしておきましょう。そうすると、満期が近づいた頃にはまた高金利をオファーするので継続しませんか、と電話がかかってくることすらあります。

定期預金すべきお金とは

香港の銀行で定期預金するときの金利で得するコツについて話してきましたが、性格的に実践できる人とそうでない人がいると思います。それに金利が高ければこうした細かい動きも正当化できますが、金利が下がってくるとかけた時間に対して得るものが少なくなってきます。日本にいたら定期預金のことを考えることもない、というのは自然なわけです。コスパが悪すぎます。

まず、定期預金すべきお金とは、長くはないが一定期間口座内に置いておくことが想定されるお金だということを理解しておくべきでしょう。

定期預金を解約せねばならぬほどお金に困っているのならば考えるべきではないし、逆に例えば一年を超えて貯蓄として残っていくことが想定されるならば、定期預金ではなくもっと長期で運用に回した方がいい、という話です。老後に向けたお金だったり、十数年先の子どもの養育費に充てるお金は定期預金ではないわけです。

定期預金の長所は中途解約しない限りは元本割れすることはない、という点です。だから近い将来のため必ず取っておくべきお金に対しては適しており、中長期でのインフレに対応したりするのには向いていないと言えます。

定期預金を組むときに安全性だけを考えるのではなく、将来の使い途に合わせて預金を色分けして、それぞれ適切に判断することが大事になってきます。それでも、これまでただ銀行に預金を積み上げ続けているだけの人なのであれば、定期預金は立派なスタート地点です。

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