余剰資金ができたらまずは定期預金を考える人が多い。果たして定期預金のメリットとデメリットは何か。上手く金融機関と付き合う必要がある。

定期預金とは

定期預金とは、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、10年など、期間をあらかじめ指定した上で、銀行などの金融機関にお金を預けることです。

銀行に口座を開設すると、一般には当座預金口座や普通預金口座ができ、そこから日々のお金のやりとりをしているはずです。そうした普段遣いのお金から、期間を定めて預ける行為を定期預金といいます。

なぜ定期預金をするかというと、普通預金よりも一般には金利が高いからです。

単に普通預金口座に1ヶ月ずっとお金を置いておくのと、1ヶ月物の定期預金を組むことは意味が異なります。定期預金の場合、指定した期間が過ぎて満期が訪れるまではお金を使うことはできません。中途解約ができるものも中にはありますが、その場合は、もともと普通預金として置いておいたのと同じ状態になり、高い金利を得ることはできません。

定期預金のメリット

普通預金より金利が高い

預金における金利のことを利息と呼びますが、定期預金の金利は金融機関や預入期間、預入総額などによって違ってきます。しかし、通常は普通預金より金利が高いこととされています。なぜなら、金融機関としては、一定期間は「いつでも預金者が引き出せる」状態を確保しなくてよいので、その他の事業活動に回せるからです。どのくらい金利が高いのか、まずは現在の条件について利用している金融機関のインターネットやモバイルバンキングなどで確認してみるといいでしょう。その上で、定期的にチェックしていると、提示されている金利が日々変わっていることに気づくはずです。

一定の元本保証がある

銀行にお金を預けていれば安心だ、と盲目的に思っている人がいるかもしれませんが、それは半分正しく、半分間違っています。銀行自体は預かったお金を様々な事業活動に利用しているので、絶対に預金者にお金が返せるとは限りません。でも、なぜ銀行預金は安全だと思っている人が多いかというと、それは制度的な裏付けがあるからです。銀行預金を危険なものだと思えば銀行を利用する人が減り、経済自体が停滞してしまいますので、銀行預金は預金保険制度の対象として、一定金額までは元本が保証されているのです。預金保険制度があるのか、その金額はいくらまでなのかは国によって異なりますので、単に銀行だったらよいということではなく、ご自身の預金が保護されているのかどうかを知っておくことは大切です。普通預金以外にも、定期預金や、あるいは外貨の定期預金も対象になっていることがあります。

貯蓄をする習慣が身に付く

普段遣いの普通預金の残高が多いな、と思ったら使ってしまう人もいるでしょう。貯蓄の習慣はやはりお金を別の場所に取り置くことからスタートできます。どのくらいの期間取り置いても大丈夫なのか、を考えることは実は将来の計画を意識できるのでこの習慣作りに役立ちます。3ヶ月後に新車に買い替える予定なのであればそのときまでには手元にお金が戻って来て欲しいですよね。わざわざ定期預金を組むほどではないかもしれません。逆に5年後のお子さんの入学金に充てようと思ったのであれば、それまで手元にある必然性はありません。定期預金は好きな期間が選べる、という意味で非常に柔軟性が高く、判断を間違えたとしても、元本を失うことなく解約できる可能性が残っていることが多いのは特徴です。

定期預金のデメリット

利回りは決して高くない

定期預金は初心者でも気軽にでき、失敗しにくいものである一方、その分期待利回りはそれほど高くはありません。投資信託や株式のような投資性のある商品に比べると、お金を増やす、という目的に特化しているわけではないのです。投資で元本を失う可能性を避けたいという人には貴重な選択肢でありつつ、世の中の物価上昇(インフレ)率には実は勝てない傾向があります。金額的な意味では元本を守れたとしても、実際にそれを使うときの価値、という意味では何年も定期預金に回した結果、実は下がっていた、ということにもなり得るわけです。定期預金に回すお金とは、一定期間後に使う予定があるお金であり、投資には回せないお金である、と分類してみるとよいかもしれません。

更新が面倒である

近年はインターネットやモバイルバンキングで瞬時に定期預金が組めるようになっていますが、いくつもの銀行支店を訪問したとして得られるリターンとしてはそれほど大きくはありません。それに一度満期を迎えてしまうと、またそれを更新して定期預金にするのも管理をせねばなりません。ひょっとしたら使うかもと思って、短めの定期預金を組んで、更新を繰り返すのも一つの手ではあり、逆に長めの定期預金を組んで、満期直前で解約となったらそれまでの時間が無駄になります。期日管理と更新が必要な点で、定期預金を常に見ていられる人は多くありません。

定期預金金利を得るコツ

少しお金が余っていて、利用している金融機関で定期預金を組もうと思っても実はそれほど魅力的な金利を提示していないことがあります。そもそも放っておけば普通預金金利しか払わなくていいのにわざわざ定期預金の少し高い金利をキャンペーンする意味はあまりないからです。むしろ、他の銀行から残高を移してくれたり、新しく口座開設をしてくれたりした場合に、特別な金利を一時的にオファーする方が金融機関として現実的な対応になってきます。定期預金は手軽であり、いわゆる預金獲得競争の材料にされやすいわけです。

そのため、定期預金金利を得るためには、新しい金融機関とのお付き合いを始めることがコツだったりします。ただ、新規顧客、新規預金向けのキャンペーンなのでそれが終わったときはやはり元に戻るのであり、金融機関からすればそのままお金が残ってくれれば御の字なわけですが、預金者としてはまた新しい金融機関を探さねばなりません。一方、そのときには一度預かったお金を手放すまいと金融機関から保険や投資信託などのよりリスクの高い金融商品を勧められることもあり、結果として定期預金で安全に得た金利を、手数料などで持っていかれてしまうこともあるので、金融機関とも上手く渡り合っていかなければなりません。

定期預金を始める前に

定期預金を組みたいと思うのはより高い金利を得る目的であろうとは思いますが、そもそもどのようなお金が今手元にあるのか、種類分けをしてみることは推奨されます。

  • ①生活のためのお金
  • ②結婚や自宅購入など近い将来のライフイベントのためのお金
  • ③しばらく使う予定のないお金

といった具合です。日々の生活のためにやりくりしているお金から定期預金を組むことは現実的ではありません。いざとなったときに使えないお金になってしまうからです。

逆に何か目的と時期が決まっているようなものであれば、それに向けて貯蓄を積み上げていく必要がありますから、定期預金も一つの選択肢です。

あるいはしばらく=3年以上くらいの単位で使う予定がないのであればそれに見合う金融商品を活用する方がいいかもしれません。

定期預金はお金に意識を向ける重要なきっかけになります。実際にやってみればここで書いたようなメリットデメリット以外にもご自身にとって合っているものかどうか、という経験が得られると思います。

ただお金を置いておくのではなく、資産効率を考えることは中長期的に役に立つ視点なのです。

↓ この記事が気に入ったらシェア ↓