今回は、保守的な運用を考えたときにテーマとなる、元本保証を謳う(うたう)投資について考えたいと思います。一見すると守りの投資に見えますが、実は元本保証のある投資には様々なワナが潜んでいる、と考えてみるとよいと思います。過度なリスク回避は別のリスクを呼び込む、という話です。

大きく分けて、

  • ①元本保証を絶対条件にしている人
  • ②元本保証に近い運用ができればいいという人
  • ③元本保証を意識しつつも、利回りを確保したいという人

の3パターンで考えてみましょう。

① 元本保証を絶対条件にしている人

元本保証を絶対条件にする人というのは、投資の知識がなくてとにかく不安だという場合や、家族を守る資金だから投資の失敗は許されない、等万が一のケースをイメージしている人です。

いきなりがっかりする話かもしれませんが、このパターンの人はまずは利回りをあきらめることがスタート地点になります。

投資はリスクとリターンのバランスです。リスクを極限まで減らせば当然ながらリターンも減ります。資金の安全性を優先する以上、リターンが犠牲になるのは当たり前だということです。逆に、元本保証であるのにリターンがあるというのであれば、真っ先に疑ってかかるべきでしょう。

その中でもリスクとリターンのバランスがとれていて、取り得る選択肢を3つほど紹介します。

定期預金

定期預金を組めば、例えば5年など、比較的長期で資金を利用できなくなるため、少しだけ高い利息を付与してくれます。預金を集めたい銀行ほど高い利息が付くので、よりよい利息の銀行を探し求めることはできそうです。

ただし、高いといっても一時的なキャンペーンだったりすることがあるのには要注意です。特に外貨預金の高金利キャンペーンなどは、一見良さそうに見えますが、為替手数料を取られて逆に損するケースもありますし、預金をしている間に為替レートが大きく動いて解約時に損失が出る可能性もあります。あとは、3ヶ月など、短期の定期預金に対して年率換算の利息表記をしているケースもあり、その場合、時間をかけて取り組んだ割には金額は増えません。

マネーマーケットファンド

マネーマーケットファンド(MMF)はファンドではありますが、現金に準ずる流動性を持つファンドと位置づけられるものです。残念ながら超低金利環境下の日本では運営が立ち行かなくなったので、お目にかかることはありませんが、海外ではまだまだ健在です。元本割れを起さないようファンドのリスク管理、投資対象管理を徹底しなければならないので、ほぼほぼ安心してお金を預けることができますが、結局のところファンドはファンドなので、売買手数料がかからないかだけ要注意です。投資対象はデフォルトリスクの低い、短期の銀行債や国債がメインです。

固定利付国債

国債は一般的にはリスクフリー、つまりデフォルトのない債券ですから、元本保証といってしまっていいのではないでしょうか。国債がデフォルトするような局面ではその他のリスク資産のパフォーマンスが良いことは想定しづらいです。ただし、限りなく安全資産と言えても、市場で取引されている以上、時価は動きますから、タイミングによっては損して見えるときもあるかもしれません。満期を迎えれば利息+元本が回収できます。国債には金利がインフレに連動したり、市場金利に連動したりするものもありますので、”国債”と一括りに言っても同じではないのが要注意です。

② 元本保証に近い運用ができればいいという人

元本保証とは言い切れないものの、限りなくそれに近い運用をしているものは世の中にいくつかあります。1円足りとも負けられない、という人以外はちゃんと利回りも少なからずついてくる、これらの選択肢の方が現実的かもしれません。

貯蓄型外貨保険

保険商品の中には最低利回り2%保証といったタイプのものもあります。この場合は、死亡保障とは別に、解約返戻金ベースで資金が増えたかどうかを見ることができます。ただし、保険は比較的長期の契約であることがその元本保証の根拠になっていますから、その縛りを受け入れる必要があります。つまり、短期的には解約すれば損失が出るが、少なくとも持ち続ければ元本部分は返ってくることは約束されているケースです。

公社債投資信託、短期債券ファンド

先述したマネーマーケットファンドに比べ、少しだけ満期までの期間が長く、リスクが高い債券、つまり、州債や社債にも投資をします。満期まで保有することを想定していることが多いので、基本的に元本割れはしませんが、国債のようにリスクフリーではなく、一定の信用リスクを負うので、完全な元本保証とは言えません。相対的にリスクの低い資産に投資をしているというだけです。債券ファンドでも、さらに満期までの期間がさらに長い債券に投資をするファンドは、債券を満期まで持たない可能性があるので、結果的に元本は保証されないこともあり、要注意です。

③ 元本保証を意識しつつも、利回りを確保したいという人

運用は保守的に、ただ利回りも欲しいという欲張りな人に対しては、債券でリスクを取りましょう、ということになる可能性があります。ただ、債券といってもデリバティブ(金融派生商品)付きの仕組債や転換社債などは元本割れしやすく、そもそも元本保証という文脈からかなり外れてしまいます。元本保証を意識したあまり、大きなリスクを引き受けてしまう可能性があるのです。ここではその話はしません。

高利回り債券ポートフォリオ

より長期の債券、そして信用リスクを取りにいく戦略です。たとえ債券であっても、発行体がデフォルトし、かつその債券がデフォルトすれば当然ながら元本割れを起こします。これを元本保証の期待に応えるものだというのはかなり無理がありますが、ただ、格付けなどを参考にしながら、よりデフォルトの確率の低いものを選択することはできます。

足元は金利がそもそも低いので、利回りが欲しいとなると、例えば10年超の債券を選ばなければなりません。しかも、元本を気にされるのであれば満期保有となるかもしれません。利息を受け取って、年金風に暮らしていたい人か、当面資金は使う予定がなくただ預金しているだけよりは運用していたいという人向けにはなってきます。

最後に

以上で紹介したものは、米ドルやあるいは香港ドルを保有することのできる、主に海外在住の方々を想定しています。なぜなら、昨今は円資金において似たような(高めの)金利は提供されないですし、また、円資金の運用を検討される場合は、海外投資となり、為替リスクという別のリスクを避けて通れないからです。

繰り返しますが、元本保証を得ることは逆に言えばそれ以上の利回りを得る可能性をギブアップすることにもつながりますから、そもそもそれが適切なのかどうか、しっかり考えて取り組みましょう。

「保守的に運用したい」と言い続けることは投資家のスタンスとして非常に重要なことですが、運用商品のなかには元本保証といってしまうと、正確ではないし、さらには違法になるものもあるにはあります。

投資においてはその利回りを生むプロセスがもっともらしいかどうかを確かめることが重要であることが何よりも大切です。つまり、リスクに見合ったリターンが得られることが金融市場ですから、元本保証という魔法の言葉に固執しすぎないことも大事かもしれませんね。