2020年3月以降、過剰流動性相場とも言われるなかで、安心しきって資産運用をしている人も多いのではないでしょうか。

何も暴落に対する警鐘を鳴らしたいわけではありませんが、よいタイミングなので、相場が荒れても資産運用を継続するために大切なことを5つほど挙げておきたいと思います。

慣れると姿勢を崩す人が多いですが、上手くいっているときほど投資家として元の正しい姿勢を意識できていれば市場の乱高下は怖くありません。

資産運用を継続するためのヒント

市場乱高下時の成績簿にはあまり意味がない

長期投資家ですら、金融市場が激しく動いて気にならないということはありません。

しかし、金融市場が動くときにご自身の成績簿が良いかどうかを気にしすぎないことは大事です。なぜなら、資産運用の成績は良くも悪くもご自身の努力とはあまり関係がないからです。(もちろん、せっせと売買をしていたら別ですよ。)

また、昨今はインデックス投資も普及して、運用業界には「ベンチマーク対比」という考え方が蔓延しており、世の中の投資家が負けているときは「大負け」なのか「チョイ負け」なのかの比較しかできず、結局負けているということには変わりないからです。

負けることをもちろん投資家は嫌いますが、特にインデックス投資、パッシブ投資を目指したのであれば短期的に負けることはやむないことと言わざるを得ません。それがパッシブであることの意味です。

動きの激しい時期を経たのち、改めてご自身の定めた資産運用のゴールに近づいたのかどうかを検証することが大事です。

チャンスを逃すまいと焦って動きすぎない

個人投資家の世界において、リアルタイムで動く金融市場にアクセスすることは一昔前に比べれば容易になりました。

最も良いタイミングで売買をすること(最良執行)はリターンの向上のために重要な要素の一つではありますが、それ自体はリターンに対する寄与としては1割に満たないと統計的には言えます。一方、資産運用のリターンの説明をする上では、株式や債券といったアセットクラスへの配分比率の方が圧倒的に重要で、これにより7割方が決定されるとも言われます。

もう一つ現実的な話をすると、ご自身の投資の意思決定が今日だったとして、実際の投資の実行が今なされるのか、翌日なされるのか、はたまた少し経ってからなされるのかは知っておく必要があります。

市場が大きく動くときは「今だ!」と思って動いたとしても実行される頃には景色がすっかり変わっているかもしれません。

取引執行のタイミングがご自身のコントロール化にないとしたら、自分でできる方法を選ぶというのも一つの対策ですが、逆に信頼できるマネージャーに任せてしまうことも考える時だと思います。動き回った投資家よりもじっとしていた投資家の方が勝つこともあるのです。

金融市場は脆い面があることを心得る

こんなことをいうと不安に思う人もいるかもしれませんが、金融市場の基本は魚市場の競りと何も変わりません。チャートで見ていると忘れがちですが、買いたい人と売りたい人がリアルタイムでマッチングをしているだけです。

それぞれの市場参加者が思い思いの価格水準を決めていて、今が安いと思う人が増えれば価格が上がり、高いと思う人が増えれば価格は下がるのです。したがって、市場に人が現れなくなれば、注文を持ち帰るか、その場にいる人とマッチングしなければなりません。

市場にどれくらいの人が現れてくれるかを表すのが「流動性」という考え方です。変な話、価格水準がどうあれ、市場に現れられない、のっぴきならない理由があれば、市場の流動性は落ちます。

よく言うのは夏枯れ、冬枯れで、純粋にトレーダーの休暇率が上昇する現象ですね。しかし、どんなときも一定の期間を経れば必ず市場参加者は戻ってきます。

あらゆる資産が取引できるようになった今日の状況を有難く思うと同時に、それは流動性の日々の積み重ねにすぎないという脆さを認識しておくことも大事です。金融市場を信頼しすぎないことです。

収入の柱としての資産運用の位置付けを整理する

資産運用をマネーゲームと思う人もいれば、人生設計を組む上で非常に重要な要素だと考える人もいます。

前者の場合はともかく、後者の場合、やはり気になるのは安定的な利回りであり、元本保証だったりします。「投資に絶対がない」ことは理解している人が多いとは思いますが、人生における失敗は誰しもがしたくありません。

資産運用の結果は良くも悪くもご自身の努力にはよりませんから、「儲かった分を追加的な収入と考えよう」くらいに留めておき、「儲からないと生活できない」という状態になることは極力避けるのが良いかと思います。

守るべきところは守り、攻めるべきところは攻める、それが資産運用において大事なことなので、様々な資産運用の方法がある中でご自身にあったものを追求していくことが肝要です。

資産運用を収入の柱に、と考える人もいるかもしれませんが、もし働けるのであれば、やはり別の収入の柱もあった方が、資産運用における変動率に対する耐性は高くなる、とは言えます。

資産がどれくらい毀損され得るかを知る

金融市場は良くも悪くも数字で物事が語られます。そして有難いことに過去のデータなどを元にシミュレーションをすることができます。

通常、資産運用をする人はリターンに重点をおいて考えますが、どのくらいの損失可能性を内包していて、それが顕在化したらどの程度になるのかを考えながら進む人は稀だという感じがあります。

しかしながら、定期的なチェックアップを通じて、市場環境に照らしてリスクを取りすぎていないか、あるいは取れるリスクがあるのではないかを知ることは非常に大事だと思います。それこそが資産運用が賭け事(ギャンブル)にならない一つの方策だとも言えます。

相場が荒れても資産運用は継続するべきか

資産運用は万人がやらねばならないとまで言うつもりはありませんが、誰でもできることではある、というのは確かです。

ただ、一般にネガティブな印象というのは残りやすいもので、一度資産運用に失敗した人でもう二度と投資に手をつけない、という人はいます。これは人間の心理であって、相場はそんなあなたのことを歯牙にもかけていません。

結局自分には資産運用の才能はないんだ、といつの間にか諦めていまう人もいます。

もちろん、資産運用に関して一定の知識をつけることは大事なことではありますが、ご自身で相場を動かせるわけではない、という割り切った心持ちは必要です。相場が荒れることをご自身が止められるわけではないのです。

でも、台風の最中に傘一本で出かけるという行為をしているのであれば話は別です。台風が来ていることを知り、そして去ったことを確認して日常に戻る、それと何も変わりません。

平静が保てるのであれば市場に向き合い、そうでないのであれば、しばらく金融市場から目を離して改めて振り返ってみる、といったことも有効なのではないかと思います。

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