投資・資産運用に関する情報は世の中に溢れているが、果たしてどのように付き合っていくべきか。選別し、生かしていく能力とはどのようなものか。

情報自体は巷に溢れている

投資・資産運用に関する情報は嫌というほど巷に溢れている。書店に行っても似たような書籍がたくさんあるし、ブログやYoutubeなど、文字でも映像でも、そして誰でも手軽に情報が手に入る。

特にインターネットがなかった時代は情報を得ること自体が大きな差別化に繋がり、知人からの耳寄り情報などが投資のきっかけになった人はいたし、自ら情報を獲得していった人が投資の成功者になる傾向はあったかもしれない。

情報が溢れる今日も、他人の目になかなか触れないお宝情報というのはあるかもしれないが、まずは多くの人にとって大切になる、溢れる情報をどのように選別し、向き合っていくべきかを身につけてもらいたい。

誰を/何を信じて良いのか分からない?

自分自身を投資・資産運用における初心者であると自覚している人はそれなりにおり、素直に世の中や友人からの情報に耳を傾けた方が、自ら考えるよりも良い結果に繋がる、という感覚を持っている。

個人的にはとても尊敬できる姿勢だと思う。「どうしたらいいですか?」なんて大人になってなかなか聞けるものではない。

確かに何から手をつけていいか分からないのに、誰にも聞かずに何かが始められるわけがないのだが、問題は果たしてそういった状態の人に社会がどれだけ適切な助け舟を出しているのだろう、という話である。

残念ながら、まずは投資・資産運用に関して適切なアドバイスをできる人というのが自分の身の回りにはいない可能性があるし、全く新しい関係を求めると、鴨がネギ背負って歩いている状態に陥り、結果巧妙に騙されている、ということがある。

初手でこうした経験をしてしまうことはその後の足を鈍らせることは言うまでもない。勉強代なんて自分を言い聞かせるための言葉であって、そんなものない方がいいに決まっているからである。

客観性をどう担保するか

情報が欲しいというあなたに、情報を渡したいという人がいる、この関係性は実はとても不安定である。そもそも情報を渡したい状態とは何だろう?親切心?ボランティア?そんなわけがない。だとしたら何らかのバイアスがかかっていておかしくはないし、その人が何をしている人なのかは必ず物言いに反映されていることになる。つまり、基本的には客観的ではない。

客観性を担保するには、利害関係がない立場の人にも意見を聞くことである。紹介している商品が売れたら紹介料がキックバックされるのであれば利害関係があるのでまずは一つの情報源として受け止め、次にその商品のことを全く知らない、利害関係のない人に聞いてみる、といった具合だ。

賛否はともかく、最初に言われたことと違う見解が得られたのであれば、客観性が担保されるが、残念ながらバイアスがかかりすぎているので危うい。逆に第三者からも同じ見解が得られたのであれば、最初の説明は非常に客観的であった、とも言えるわけである。

難しいのは利害関係があるからといってアドバイスが適切ではない、とまでは言えないことである。自分がやって成功したものだから自信を持って誰かに勧めていることだってあるし、人に勧められると思うから利害関係を築いて仕事にしているということだってある。

投資・資産運用に関する情報との付き合い方

投資・資産運用に関する情報とはつまりお金に関する情報であるため、人の欲を掻き立てる。雑誌でも投資と男女関係、芸能などは常にあっていい話題として重宝されている。人様のことなら面白半分で流せるが、投資・資産運用は自分の身に返ってくる。そもそも、エンターテイメントとして流している情報には要注意である。それを活用してどうこうというよりは、それを読んだり聞いたりした人を楽しませ、より多くの人の目に触れることだけを意図している。

立派な学術論文も一般の人の目には触れないのと似ているかもしれない。だからといって学術論文を読み込めと言えないのが難しいところで、やはり流れてくる情報から自分にとって必要なエッセンスを抽出しなければならない。

一つには投資・資産運用の成功も失敗も話せる友人や知人を増やすことは有効だと思う。そこから成功への近道を得ようとするのではなく、単にそれぞれが独自のアンテナを張っていて、それぞれがそれぞれのやり方をしていることが大事である。特に失敗の経験を話し合えるならいつか巡り巡って役に立つことはある。

賛成してもらえるのが大事なのではなく、他人の意見を交える習慣を持つことが大事なのである。アドバイザーに相談することも同じ理屈である。中には自分の意見を強烈に主張してくる人もいるかもしれないが、こういった他人の意見を消化することができるようになっていれば自分のところに擦り寄ってくる情報とも上手く付き合うことができるようになっているのではないだろうか。

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