「気付いたら保険を5つも6つも買っているんだけど、それでいいのかどうかたまに考えることがある」

という人が一定数いることは私の経験上も確かである。もちろん保険愛好家の方もいるが、実は言われるがままに買ったものの、買ったときの動機や目的すら覚えていない人もいる。

日本の保険産業は大きい。香港の保険産業も大きい。

結果として日本にいても香港にいても、日本人は保険に入ることになりやすいことを意味しているが、果たして保険に入ったことで求めていた安心を得られたのであろうか。今回は保険への入り過ぎ=オーバーインシュアランスという論点について考えてみたい。

保険は大きな失敗がない?!

さて、保険に入った結果、後悔することはあるだろうか。保険は長期契約であるため、比較的短期で解約する羽目になったときに後悔しているケースがあるように見受けられる。勢いで契約してしまった、思っていたものと違うことに気づいた、契約の面倒を見てくれる人がいなくなった、などである。

ただ、負の遺産のごとく長く続けていれば(というよりそもそも長期契約なので)そんなに悪い結果はもたらされないような気もする。そもそも保険に対して短い期間で結果を出すことを求めてしまったことによる判断ミスなのでは、ということも多い。

保険は営業の数が多い

先に述べたように、保険の場合は商品があるものの、棚に並んでいるものを買うよりは多くは販売員(営業)がいて営業をしている。

目に見えるモノではないから、保険金が下りたときのエピソードや販売員としての自分語りなどで保険への関心を高めていることが多い。

世の中にいる営業の数だけ保険に触れる数が多くはなるので、保険産業が大きければ自然と保険に意識が向くのは不思議なことではない。

保険がいらないというロジックは立てづらい?!

保険商品自体はあらゆるライフステージにおけるあらゆるニーズに応えられるよう商品開発されているケースが多いので、そもそも生活を営んでいる限りにおいて、保険がいるかいらないかという論争をすれば多くの場合は「いる」という結論にもっていかれる可能性が高い、と個人的には思う。

それは「本当に”その”商品がいるか?」ということとは関係ないこともある。

中には保険がいらないというロジックを立てて論破することを試みる人もいるが、いらないと思うのであればロジカルにではなく、「要らないんです」と言い続けた方がよっぽど人間味があってよい、と個人的には思う。保険契約は長期であるがゆえに、気乗りもしないときに焦って契約することはあまりいい結果をもたらさない気がする。

資金を取り分けている感覚がよい

これまた必ずしもロジカルな観点ではないが、銀行口座とは別の場所に資金があることがよいのだという人も一定数いる。つまり、取り分けた後は本人にとっては「ない」ものとして認識できることにある。別に保険である必要はないが、放っておいて悪さをしないのは保険である、という人もいる。

本当にそんなに保険に入る必要があるのか

保険が好きだ、という人と、保険が嫌いだ、という人には出会ったことがある。保険が好きだ、という人と話すと、とことん商品について検討をするので、はっきり言って業者よりも詳しいのではないかと思うときがある。

逆に保険が嫌いだ、という人には何を言ってもダメなケースは多い。そもそも保険というのは生涯において用いる金融ツールの一つにすぎない。他の金融ツールで足りるのであればそれでいい。

自分から保険に入るタイプか人から言われて保険に入るタイプか

保険自体は世の中にありふれているので、聞いたこともないという人はほぼいないだろう。ただ、自分からいい保険を探し歩くタイプと、言われたら考え始めてアドバイスのままに保険に入るタイプとそれぞれがあり得る。

オーバーインシュアランスとなるのは、買いたい願望が強くて買い漁ってしまったケース、お金があってとにかく保険を勧めてくる人に囲まれ、人がいいので買ってしまったケースなどであろう。

保険は目的によって必要なだけ入ればいい

結論から言えば、何も特別なことではなくて、目的に応じて必要なだけの保険に入ればよい、ということになろう。この“必要なだけ”というパートをよく考える必要があって、オーバーインシュランスかどうかを判定することになる。ただ、現実にはこの判定を自分でやるのは難しいので、ファイナンシャルプランナーなどの力を借りることにはなりそうだ。

資産運用と保険を掛け合わせれば一挙両得なのか?

保険に偏る人のなかには、あまり複雑なことを考えたくないからだという人もいる。資産運用はこれ、保険はこれ、としてしまうと、管理が大変になる、と感じてしまう。だったら保険で資産運用できるなら一挙両得ではないか、という発想はあり得る。

それに掛け合わせている以上、保険料の掛け捨て部分も見えづらくなっていて、損をしなそうに見える。そう、見栄えはよい。もちろん、掛け合わせることで良いとこどりをできる可能性だってある。ただ、おトクなのではなく、どのような結果がもたらされるのかを想定しておくことが大事にはなってくるだろう。

保険と資産運用を別立てで考えることも重要

理想をいうなれば、保険と資産運用については一旦は別立てで考えてみることをお勧めしたいとは思う。なぜなら役割が違うからである。

メリットとデメリットについて理解し、それぞれの意図と目的をもってしてどちらがいいのかが判断できる。あるいは真ん中くらいに落ちるニーズがあることも当然ながら想定される。

また、年齢によってその必要な割合は変わってくるため、自分自身の置かれた環境が変化したこと、あるいは変化しそうなことを踏まえて考えられるとよいかもしれない。

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