近年、希望退職・早期退職制度を積極的に打ち出す企業が増えてきているように思います。かつての日本的な終身雇用制度は維持することが難しくなってきており、定年を迎えてめでたく退職というケースはこれからもっと少なくなることでしょう。

定年という一つのゴールがゴールとして待ってくれていないとしたら、希望退職・早期退職という選択をするために一体どのようなことを考えながら過ごす必要があるのでしょうか。

募集は増加中

まず背景として、なぜ希望退職や早期退職者の募集が増えるのでしょうか。企業の立場に立って考えてみましょう。

一つには不況期の“体裁のいいリストラ”だとも言われますが、だからと言って会社が傾いているとも限りません。実際、業績好調な企業であっても募集がかかっているように見受けられます。

定年が延長される流れ、年金の受給開始年齢引き上げの流れの中で、なぜ企業はより長期の雇用維持に向けて努力をしないのでしょうか。企業にとって最も必要なことは人材の新陳代謝であろうと考えられます。

特に近年はイノベーションやテクノロジーの導入により働き方そのものが変わってきています。そういった新しい風を取り込む上でやはり人件費は安く、一方で柔軟な発想を持つ若手の活躍が期待される面はあります。

制度を利用する人も増加中

逆に従業員/社員の立場としてはどうでしょうか。これも選択肢として積極的に受け入れる例は増えているように見受けられます。確かに、一定の年齢になると、経験や知識もあって、あるいは人脈をベースに仕事ができるようになり、ある程度楽をして仕事ができることもあります。守るべき家族も増えている人もいるでしょう。

「働くことが当たり前」になっている人にとって、それを続けることはただの日常であり、苦にならないかもしれませんから、当然ながら「仕事を辞める」という選択肢を持っていません。

一方で、「自分は今何のために働き続けているのか」あるいは「いつか肩を叩かれる日が来るのでないか」といった漠然とした思いに駆られることもあるのではないでしょうか。何なら思い切って辞めるもありかもしれないが、どうにもきっかけがない、ただの思いつきになりたくはない、と思う人も多いはずです。一体何をすれば希望退職・早期退職を選ぶことができるのでしょうか。

積極的に選ぶためにできること

利用条件を確認する

退職とは一つの大きな決断ですから、まずは意思決定の前提となる、制度そのもののことをよく知りましょ。そもそも利用できる立場にあるのか、そして利用したらどのようなメリットがあるのか、確認する時間をしっかり取りましょう。

たとえ仕事に一生懸命打ち込んでいたとしてもこれはできることです。会社にとっても、普段はない制度を用意しているのですから、何がしか目的があるはずです。自分にとって不利な条件提示になっている可能性も捨て置くべきではありません。

もう一つ、退職とは会社との縁の切れ目ですが、その後に残るものはお金だけだと割り切りましょう。もちろんあなたと一緒に働いた仲間からは「ありがとう」という言葉をもらえるかもしれませんし、あなた自身も長く勤めた会社に感謝の気持ちがあるかもしれませんが、会社からの餞別は退職“金”になります。そしてそれがあなたの次の人生を金銭面で支えてくれることでしょう。

選ばないことによって実現できることを見つける

今の会社、今の仕事に満足していたとしても希望退職・早期退職の制度のことを知ることは有益です。ただし、それを選ばないという自由もあります。退職をしない、という選択をするとして、一体どのようなことを今後実現できるのか、改めて考えるきっかけにしてはどうでしょうか。

仕事が退屈なのであれば楽しくする方法はあるか、職場の人間関係が冷え込んでいるのであれば盛り上げる方法はあるか、後何年勤め上げる中でどうしてもやり遂げたいことが見つかったのであればそれはとても素敵なことです。

その後にやりたいことを見つける

もちろんネガティブな理由から退職をする人もいますが、次にやりたいことは決まっている方がいいでしょう。もちろんしばらく休暇をとる、というのもやりたいことの一つかもしれません。働く業界を変えてみる、起業してみる、誰かに誇るというよりは自分で意思決定し自身が持てる何かであるとよいように思います。

これまで働き続けることを選んだあなたはそれなりの貯蓄ができているかもしれませんし、退職金がそれなりに出たのであれば、次にすることは「お金を使う」ことである可能性が高いですね。

このときに大事なのは、自分へのご褒美と思って散財することではなく、グッと堪えて「やりたいこと」に効果的に資金を回すことを考えるべきです。何かに使ってしまった後では叶う夢も叶わなくなります。

退職のために必要なファイナンシャル・プランニングとは

やりたいことが見つかったとして、必要な資金が足りないとしたらどうでしょうか。あるいはその足りないということにどのように気付いたらよいのでしょうか。こればっかりはしっかりとファイナンシャル・プランニングをすることによってしか判明しません。

少しだけ時間とお金をかければ、大きな大きな人生の節目に、数字的に根拠のある決断をするための後押しができることは分かっています。

結果として、退職までにもう少し時間があるのであれば、お金を大事に大事にしすぎず、しっかりリスクをとって資産運用をすることが必要になるかもしれません。

逆にお金に余裕があるとして、そこで立ち止まってしまう人もいますが、あるいはもっと別の目的を見つけることによって、余裕がある→足りないに変わる人だっているのですから。

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