今回は新しく香港で投資や資産運用を検討し始めた日本人が、行き着くであろう「はじめの第一歩」について話してみたいと思います。

日本であれば日本語で情報が溢れていたかもしれませんが、香港に来てみればそもそも公用語が英語ですし、そうもいきません。一方で、国際金融センターというだけあって、何か特別な投資手段や資産運用に巡り会えるのではないかと期待する人もいます。グーグル検索で見つけたブログをせっせと読み込んでも、具体的なアクションにどう繋げていいのか、あるいは少しアクションしてみた結果、つまづくことはあります。香港での資産運用、メリット・デメリットをしっかり意識しましょう。

香港での投資や資産運用、はじめの一歩

投資や資産運用においては、一般にはそのための「口座」が必要です。一部の投資には直接ファンドに出資するようなタイプのものがありますが、正直に言って、はじめの一歩としてはハードルが高く、そして資産の保全という面ではリスクが高いものにはなるでしょう。

では、その「口座」はどうやって開設できるのか。その方法はいくつかあります。

  • ① 銀行
  • ② 独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)
  • ③ 保険会社
  • ④ 証券会社
  • ⑤ プライベートバンク

一応、①〜⑤までを遭遇率の高い順に並べているつもりです。順に見ていきましょう。

① 銀行

素直に考えて、香港で生活するために銀行口座は必要です。資産運用をするにしてもしないにしてもです。したがって、銀行という選択肢は一番手軽と言えるでしょう。強いていうならば、例えば給与振込などをしている銀行と分けて、資産運用のためだけに別の銀行口座を開く必要があるかという点ですが、あまりないと思います。香港には銀行がいくつもありますが、基本的に銀行口座でできることに大した差はありません。

ただ、香港外から香港の銀行口座を開設しにくるということが過去にはたくさん見られた、というのは驚くべきことでもあります。香港の銀行なので銀行員の対応は英語か中国語になり、日本人には便利とは言い難く、場合によっては最低維持額を下回って手数料負けしたり、あるいは凍結口座になってトラブルに発展するケースもあったりします。

厳密に言うと、銀行口座では定期預金以外の資産運用はできません。あくまで預金口座だからです。そのため、預金口座のある銀行で、資産運用のための投資口座(証券口座)を別途開設する必要があります。ただ、預金口座があればほぼ自然と入り口が開かれる、という意味で、最も簡単な方法にはなっています。最低投資額も最も低く、そして基本的には全て自分で行う必要があるので、手数料を安く済ませることもできます。ここで注意したいのは最も手頃な選択肢であるからといって、購入できる商品の手数料が安いわけではない点です。自分でしっかり目利きをする必要が出てきます。

② 独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)

多くの人は①銀行という選択肢をもつことはできても、それ以外となるとつまずく傾向があります。それに、銀行口座開設と違って、資産運用は絶対やらなければならないものではないので、少しだけ意識的に取り組む必要があるからです。

その場合に頼りになるのは独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)といういわば「水先案内人」です。

ただ、厳密にいうのであればIFAの会社自体に口座を開設する、ということは起こりません。IFAとは、クライアントから十分なヒアリングをして、ニーズを把握し、この後に話す③、④、⑤へ適切に誘導する存在なのです。一般には、金融ライセンスを保有している場合のみIFAと呼称します。話しているIFAが保険のライセンスしか持っていなければどんなに話しても誘導されるのは③保険であり、証券のライセンスしか持っていなければ④証券である、というのは知っておくべきでしょう。したがって、「IFAにも色々な人がいる」という前提知識でもって、複数のIFAと話してその違いを認識したり、より自分が気に入るIFAを見つけたりするというプロセスが必要になります。

人によっては保険を担当してくれるIFAと証券を担当してくれるIFAを分けたり、あるいは初めから両方への守備範囲の広いIFAと付き合ったり、ということも起こりえます。専門分野の違いもそうですが、IFAの中でもビジネスモデルの違い、という観点にも目を配って、自分にとって最も付き合いやすいIFA、すなわち担当者を見つけられると良いかと思います。

③ 保険会社

香港には世界有数の保険会社が集結しており、魅力的な商品も多くあります。日本であれば、「保険で資産運用」というとなかなかしっくりこないかもしれませんが、香港の場合は、資産運用の手段として広く浸透している保険商品がたくさんあります。

日本の保険業法の観点からも、非居住者として香港に滞在する場合のみ加入できる保険、というのも多く、それを宣伝文句にしている会社もあります。

保険商品を選ぶ場合、その「目的」や「目標」をしっかり決めておくことが大事になってきます。保険会社も賢いので、あらゆる人生フェーズのあらゆるニーズに答えられるよう、多種多様な保険商品を用意して待ち受けています。したがって、ご自身が「目的」や「目標」をはっきりさせないで検討テーブルにつくと、たくさんのラインナップに目移りし、最高の商品を選ぶことに一生懸命になって、結果的に「目的」や「目標」から遠ざかることにも繋がりかねません。

あとは、資産運用目的の保険商品があるからといって、保険を通じて資産運用をすることが、本来ご自身が望んでいることなのか、よくよく考える必要があります。しっかりリスクをとることができる人なのになぜか元本保証にこだわったり、余剰資金であるにも関わらず、すぐに解約する可能性を想定して解約返戻金のブレークイーブンが早いことにこだわったりすると、本来あるべき資産運用の形ではなくなっているかもしれません。

保険には保険のメリットとデメリットがありますから、商品に惚れ込むことなく、ご自身の人生と向き合ってより良い選択を検討できると良いかと思います。

④ 証券会社

本来、資産運用とは証券口座で行うものですから、順番的に最初に来てもおかしくはないのですが、証券会社を見つけるのはやはり多少ハードルは高いように見受けられます。証券会社で働く日本人はたくさんいますが、証券会社にいるからといって、個人の顧客相手に商売をしているとは限りませんし。

もちろん証券会社の担当者を探すことはできますが、より一般的なのはオンライン証券口座を開設することではないかと思います。特段店舗を訪れることも、場合によっては香港に訪れることもなく、運用口座が開設され、思うままに取引ができます。香港は世界でも有数の株式市場がありますから、香港株の新規上場IPOに参加することを目的に香港の証券口座を開く、ということもあるようです。

ただし、銀行同様、何かトラブルがあったときは英語か広東語にはなってきます。一般には銀行での取引に比べると格段に取引コストが下がるため、玄人の投資家ほど海外証券口座に移行してくる、とは考えられます。

⑤ プライベートバンク 

プライベートバンクもまた銀行の一種ではあるのですが、何が違うかというと最低預入額がUSD1mln(約1億円)以上、といった金額面でのハードルがある点です。したがって、はじめの一歩と言いつつ、既に金融資産がそれなりにある人のみがアクセスできます。

特に香港の場合、プライベートバンクを利用することができれば、世界を代表する投資家である機関投資家と同じく、あらゆる資産に投資ができたり、あるいは資産を担保に入れて借入を起こし、それをさらに投資したり、あるいは他の用途で使用したり、ということも可能になります。

また、一般にはプライベートバンカーという専任の担当者がつくことになり、資産運用にまつわる、あるいは資産運用に限らず、広範な知識と経験でもって様々な価値を提供してくれることでしょう。

プライベートバンク利用者は富裕層なので羽振りがいいかと思いきや、積極的に取引をしなかったり、あるいは取引フィーの交渉にシビアに取り組んだり人もいます。もちろんそれ自体はご自身の選択ではありますが、プランベートバンカーもある種の個人事業主ですから、お互いに納得できるようなサービスと費用のバランスを導き出せると長期的な関係の維持に繋がって良いかもしれません。

まとめ

以上を見てくると「資産運用の手段は探せばあるんだ」と思っていただけたのではないでしょうか。人は選択肢がありすぎても選択ができず、選択肢がなさすぎても選択ができません。とはいえ、資産運用はご自身の人生を支える強力な武器ですから、「海外」というファクターをうまくコントロールしながら、長期的に取り組んでいけるといいですね。