投資の時間軸を正しく理解し、行動している投資家は少ない。ぶれない投資スタイルを決めることにも繋がる重要な要素であることを知っておこう。

投資の時間軸とは

投資の時間軸とは、資金を投資に回すにあたって、どのくらいの期間投資し続けるつもりなのか、を表すものである。投資ホライズン(Investment Horizon)という言い方をすることもある。

いかなる投資も時間軸が必要であり、その時間軸に合わせて取り組むべき投資方法が存在する。

時間軸というと、短期、中期、長期のような話ではあるのだが、そもそも短期とは1日なのか、半年なのか、も人によって定義が違っているものである。また、長期は10年くらいだと言っておきながら、いつの間にか1年でも十分長いと感じていたりすることもある。ある時は早く過ぎ去るのに、ある時はゆっくりと時計の針が進んでいるように、時間に対する感覚がいつも同じとも限らない。とても曖昧だ。

投資の時間軸は投資スタイルを決める

投資スタイルとは、日々の値動きを狙うデイトレーダーなのか、コツコツと積立投資を行うのか、はたまた分散投資なのか集中投資なのか、という観点である。投資スタイルを決めるにあたっては、性格だったり知識だったり、あるいは個人の好みを持ち込む人が多いとは思うが、実際のところ、最も重要な要素は、投資の時間軸である。

投資の時間軸が1年だったとして、デイトレーダーをやる、ということは1日×365(休みは省略)を意味する。当然ながら1日デイトレーダーをして、364日休んでいたら、明らかにミスマッチであることは言うまでもない。(それで成功したなら、いいデイトレーダーかもしれないが笑)

投資の時間軸を1年として、集中投資をするとしたら、1年後に価値が上昇していなければ意味はないし、1年後には投資を引き揚げることができなければならない。

投資の時間軸を1年として、積立投資をするとしたら、1年後に期待できることは何だろうか。そもそも積み立てるという作業にかける時間としては随分短い気もする。

投資の時間軸が長いほど、取れるリスクが大きそうだ、というのはありそうだが、果たして正しいか。

投資の時間軸は多くの人がなんとなく知っているものの、それを投資のスタイルに反映していることは多くない。

投資目的を決める

さきほどは投資の時間軸が投資スタイルを決める、という話だったが、少し触れたように投資のスタイルには好みや性格なども関わってくるので、一貫した方法を取りづらい。

一方で、投資目的について考えてみるといいかもしれない。何のために、何を目標として投資をするのか、この答えは比較的はっきり答えられる人が多い。

暇つぶし?運に賭けている?お子さんのため?家族のため?老後のため?

いい投資目的、悪い投資目的があるわけではない。本人の希望なのだから。

ただ、投資目的について考えたとき、きっといつまでにいくらあったらいいのか、見えてきたのではないだろうか。

時間が十分に残されていること、あるいは時間をかけていられないことも見つかったに違いない。

投資の時間軸のミスマッチは失敗を招く

桃栗三年柿八年だとして、3年の投資期間に柿を植えて果たしてどれだけの意味があるのか、1年の投資期間に桃を植えて一体なんの意味があるのか。それだったら春先には咲くチューリップを植えて収穫しないといけないのではないか、ということである。今が春だとしたら、今からスイカを植えるのは得策か、そういう話である。

投資商品にもやはり必要な投資の時間軸がそれぞれ存在する。仮に5年で30%値上がりすることが確定していても、それは決して毎年6%ずつ上昇するわけでもない。単に5年後に30%なのであって、1年後、3年後、4年後はマイナス10%かもしれない。にも関わらず、4年後にもう十分だろうだと思って売却しても利益なんか出るわけがない。これが投資の時間軸のミスマッチである。

日々価格が変動している株式の世界にもこれは存在する。確かな価値の上昇には一定の期間がかかり、それまでの価格変動はノイズにすぎない。

逆に早い段階で投資から何らかの収入を得たいと思うのであれば、相対的に投資の時間軸は短くなる。一部の資金を回収しなければならないからである。あるいは、1年後には全額回収した上で、他の用途に使う予定があるのに、リスクの高い投資に回してしまって、元本を毀損してしまったら元も子もない。

投資商品が投資の時間軸を決めるわけではない

多くの人は投資商品を眺めながら投資の時間軸を決めている。何がいけないのか、と思うかもしれないが、要は順序が逆なのである。投資の時間軸が決まれば投資商品が絞られる、という話である。

もちろん、投資商品にはそれぞれ適した投資の時間軸が存在するが、それに自分の投資の時間軸を合わせに行く必要はない。単に投資の時間軸が合っていなければ選択肢から外せばいいだけである。だが、多くの人はこれができない。

3年寝かせられるお金だとして、5年の商品でいいものを見つけたら5年寝かせてもいいのではと思い始める。このときに、本来の投資の目的からずれていなければいいが、時が経って、本来の投資の目的を再確認したとき、軌道がずれていることに気づくのである。

どうやって投資の時間軸を決めるのか

投資の時間軸がどのくらいか、に関する答えをもっているのはご自身だけである。誰かが何かを言って決められるわけではない。全てはご自身のお金の使い方に由来する。正しく使えばより多くの価値を生み、誤って使えば失ったものが大きく感じる。投資の時間軸について思いを巡らせる時間を確保すべきである。頭で考えていて分からなければ数字を使って視覚化すればよい。

実は、お金が十分なだけあるかないか、も投資の時間軸に影響を与える。資産の中で一部は投資の時間軸が長く、一部はとても短いことに気付くことができるだろうか。本来色のないお金に色分けができたとき、よりスマートな使い方が導き出せる。そのためには、今の経済状態がどのようであるか、将来の経済状態がどのようであるか、をまずは知る必要がある。

投資の時間軸について考え、それに合った投資を行うことを検討してみてはいかがだろうか。

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