相続対策の一つとして生命保険を考える人は多いが保険料を安く済ませる方法として夫婦で共同の保険に加入するニーズは根強い。

生命保険の登場人物

通常、生命保険契約における登場人物は、名義人、被保険者、受益人の3人である。

今回は、被保険者を2人にするニーズがそれなりにある、という話をしてみたいと思う。この場合も、多くは、名義人が夫婦2人、被保険者が夫婦2人、受益人となるので、登場人物の数自体は変わらない。が、こうすることでどのようなメリットがもたらされるのであろうか。

まず、共同で入る保険の中には、2人の被保険者のうち、どちらか1人が先に亡くなったときに保険金が支払われるものと、(1人が亡くなっても契約は継続し、)2人とも亡くなったときに保険金が支払われるものがある。ニーズが多く観測されるのは、後者であるので、ここではそれを取り上げる。

そもそも、夫婦で生命保険に入ろうと考えるとき、通常であれば、一人ずつ生命保険に入ることを考える人が多いとは思うが、これを二人で一緒に一つの生命保険に入る、ということも実はできる。

そうする理由は、

  1. 相続対策のため
  2. 夫婦のどちらかに健康上の問題があるため
  3. 保険料を安く済ませるため

などが挙げられる。

夫婦共同で入る保険とは

名義人が夫婦2人、被保険者が夫婦2人として一つの生命保険を買ったとして、生命保険金は一度だけ支払われる。一人ずつ亡くなった度に払われるわけではない。つまり、2人ともがこの世を去ったとき初めて受益人に指定された人物は保険金を受け取ることになる。

保険料はどうだろう。二人で半分ずつ支払う、というのはまぁないので、どちらか片方が支払っていることになるが、片方が亡くなればもう片方が支払いを継続することになる。

生命保険の期間に関しては、10年などの定期もあれば、100歳までのほぼ終身のもの、実際に亡くなるまでの終身のものなどがある。終身であれば、いつか分からないがいつかは必ず保険金が払い出されることになる。

夫婦共同で保険に入るとしたら、通常は受益者が子どもである。が、子どもである必要は特にない。法人でもいいし、チャリティなどでも構わない。亡くなったときにお金を受け取って欲しいと思うのは誰か、ということを考えればいい。

一括で支払われるのはちょっと、と思うのであれば生命保険信託を組んでおけば、10年間は毎年いくらチャリティに、という使い方だって指定できる。

共同で加入するデメリット

少し考えると分かるが、夫婦のうち片方が亡くなっても保険金は出ないので、つまるところ、配偶者に生活を支えるためのお金を残す、という考え方はできない。むしろ保険料の支払を残すことになるので、配偶者の生活は別の手立てを想定していないといけないことになる。共同の保険は、収入の補填としては全く機能しない。

また、仮に夫婦が離婚してしまった場合、二つの保険に分けるという条項があるケースもあるが、ない場合も多い。支払いをやめればそれまで払い込んだものは無駄にはなるので、それなりの年齢なのであれば、どちらか一方が引き継いで残した方がいいという結論になるかもしれない。少し厄介であるのは確かである。

共同で加入するメリット

一人ずつ生命保険に入ると保険料が高いと感じる場合

二人ともが亡くなるまで、という条件が有利なのか不利なのか、はっきりとした答えがないように思うが、一人よりは生命保険としての寿命が伸びる、というのは感覚的には合っている。したがって、一人が一つずつ保険に入るよりは、保険料を安く済ませられる。

健康上の問題があって単独では保険に入れない場合

健康上の問題があると、保険に入ろうと思っても入れなかったり、入れるが保険料が高かったりということが起こるが、共同保険であれば、どちらかが健康であればそのハードルはぐっと下がる。

遺産を子どもに残したい場合

終身保険は一般的には保険料が高い。なぜなら保険金がどこかで必ず払われることが確定しているからである。もし相続対策としての保険に注目しているのであれば、配偶者への相続よりも子どもへの相続の方が税金が高いわけであるから、それに対してピンポイントに対策できた方がよい。相続にあたってかかる弁護士費用、相続税など諸々を補填してくれるはずである。

生涯をともにするであろう扶養家族がいる場合

生涯を支えねばならない人は配偶者や子どもだけとは限らない。兄弟や親族で例えば身体が不自由で働けず、支え続けている場合だってある。夫婦どちらかが生きていれば支えられるが、万が一のときでも、と考えれば自ずと選択肢にはなる。

遺贈寄付について前向きな場合

もちろん生きているうちに少しずつ寄付をする、という選択肢はあるわけだが、そのちょっとしたお金を保険料に置き換えてみてはどうだろうか。亡くなったときにより大きなお金が遺贈寄付され、より多くの人と活動を支えられるとしたら、これも選択肢ではあろう。

まとめ

色々とバリエーションはあるものの、シンプルには、子どもにより多くの遺産を残したいときに適している。そういう意味であれば定期保険よりも終身保険が適切である、とも言えると思う。同じく、支えたい扶養家族が他にいる場合も同じである。

つらつらと書いてはみたが、多くの人にとって夫婦共同で保険に入る、という選択肢自体を考えてみたことがない、というのは事実であろう。より安く、手軽に相続対策をしたい人にとって考えるに値する選択肢になっていることに気づいてもらえただろうか。

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