ファイナンシャルプランニングは経済的に成功するために極めて重要なプロセスではあるが、単独で行ったり、あるいは夫婦だけで行ったりする人が多いのも事実である。

しかしながら、このプロセスにより多くのファミリーメンバーを巻き込むことが結果的には多くのメリットをもたらすことに気付いていない。本稿では、経済的な問題を家族全体で考えるメリットをいくつか挙げてみたい。

若い世代にファイナンシャルプランニングの重要性を気付かせることができる

お金の問題を家族全体で考えることは、ファミリーメンバーに多くの気付きを与える。本人が経済面で長期的な安心を得るために必要なことについて考え始めるし、正しい資産マネジメントやあるいは投資について考えるきっかけとなる。これらは若い世代が経済的に成し遂げたいことへ近づくための重要なステップになってくる。もしかしたら、過去には気にもしなかったが、よりよい選択があり得たことに気付くかもしれない。

若い世代は親世代の様子を見ながら、正しい退職プランニングについて認識し、そして必要な投資などを始めることに繋がる。家庭における金融教育などという大それたテーマで考える必要などない。家族の一員として家族の計画に参加してもらうこと、このことが大事なのである。

一つひとつの決定の重要性に気づくとき、ファイナンシャルプランニングの価値を見直し、やる気を起こさせる。これはどのライフステージにいたとしても同じことである。

家族が経済的な目標を達成するのを助ける

ファミリーメンバーがそれぞれどのような目標を持っているかは知っていたとして、その詳細について気に留めたことがあるだろうか。それぞれの目標について語るとき、恐らく経済的に何か支えられることがないかを考え始める。

誰かを経済的に支えるということは、自分自身のプランが変わるということでもある。60歳を過ぎていたとしても、財産を子どもに引き継ぐ計画を持っている世帯は少ない。しかし、子や孫に家を買ってあげたいとか、事業の立ち上げを手伝いたいとか、そういう思いに駆られて実際に動くことはあるだろう。

ファミリーメンバーのことを考えるならば、どのように支えたいと思うのか、そして経済的に支えることが目標の達成にどう影響するのかを知ることが大事である。

相続について議論することが家族のより良い意思決定を助ける

自分に万が一のことがあったとき、財産をどうしたいだろうか。多くの親は他人ではなく、その子どもにより多く引き継いで欲しいと願う。一方で、相続についてその当事者たる子どもと話をしたことがある親は実は多くない。

確かに相続の問題は簡単な話題ではないが、その話題を振ることがファミリーメンバーの経済的未来をより良い方向に向かわせることに繋がるかもしれない。

実際に相続する金額よりも多くを相続できると期待してしまっていては間違った意思決定をすることもあるからである。あるいは相続する資産にばかり目がいって、相続税のことを考えもしないかもしれない。相続に関してどう思っているかについて、素直で正直に話すことは、結果的にそれぞれがどのような影響を受けるのかを明確に知るいい機会になるだろうし、仮に相続をしたとしたらその資産をどのようにしたいかを考える時間を与えることにも繋がる。

自分自身のこの先の計画がよりはっきりと見えてくる

退職やその後の計画について家族と話すことは重要である。そのことについて子どもと話したことのない親は半数近くいるとされる。年齢を経るにつれて、やりたいことがどのように変わってくるかを考えるのは難しいが、それについて考えることが正しいステップへと導く。

若い世代が親世代の経済面に関して懸念を抱えている事は多い。単に親がいくら持っているのか知らないので放っておいて大丈夫なのかどうか分からないからである。素直に議論をすれば、老後にどのような生活をしていたいのかはっきりと分かるし、子どもたちもそのニーズを汲み取って計画を立てることができる。

親からすればどの部分を子どもに助けてもらいたく、そしてどの部分を自分で面倒見ればいいか、そしてそれにいくらかかるのかが見えて気さえすれば、より力を抜いて老後を生きることに繋がる。

網羅的な資産計画をつくることで相続税がマネジメントしやすい

驚くべきことに多くの家族では資産計画に関する戦略を持っていない。にも関わらずその計画を子どもはよく理解してくれていると答える親が半数近くいる。ない計画を、しかも全容を知らない人間がどのように理解するというのだろう。

断片的に「あそこの金融機関とは取引がある」「何かあったら〇〇さんに話すといい」と伝えておくこと、これ自体は何もないよりは断然良い。ただそれは手掛かりを与えているにすぎず、そこから宝探しのごとくルートを解明する必要が出てきてしまっている。残ったものは好きにしていい、というスタンスもあり得るが、使いやすい形で受け取りたい人間の方が多い。

よい資産計画を持っていれば、あなたが亡くなったときに様々な手段を講じることができる。相続税のマネジメントや孫世代への配分などである。

あなた自身が家族の一員であることを認識し、懸念を共有することが結果的にあなた自身のニーズを満たす解決策へと導いてくれることを知っておいてもらいたい。

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