日本円では投資するものがなくて、、という言葉が投資家から出てくることは少なくない。日本人としては頭の中で円建てに換算して考える人も多いわけだが、日本円建てで投資できるものは本当にないのであろうか。

海外投資へ振り向ける

そもそも資産を増やしたい、という目的であったのならば、増やせる場所へ資産を振り向ける、というのが投資活動である。つまり、身の回りにそういう場所がなければせっせと新しい機会を求めるしかない。ないものねだりをしているのは投資家として最も停滞している状態である。

世界を俯瞰して見たときに、日本への投資はそもそも一般的なのか、日本の投資市場、金融商品は十分なほどに情報が溢れているのか、このあたりに気づくと海外への投資、海外での投資が視野に入ってくる人は多い。

一般に投資家にはカントリーバイアスがあり、住んでいる地域の情報が最も手に入りやすく、距離的に離れるほど情報が少なくなる。多くの人がその順序に沿って投資機会にアクセスする。当然と言えば当然である。

でも情報がたくさんあっても不必要なものかもしれないし、何より資産を増やすということに本当に役に立っているとは限らない。

海外投資は諸刃の剣である。

日本だと株式か不動産か

今でこそ海外投資は一般的だが、それに伴う為替リスクが十分に認識されている、とまでは言えないと思う。つまり、海外投資をして、(投資としては損をしたが)円安になってなんだかんだ元本は返ってきた、という話はままある。逆に円高になっていたら二重苦であることは言うまでもない。

為替は予想するのが極めて難しい。にも関わらず変動が大きく、(実際の投資活動を直接関係なくても)投資の結果を左右している印象を与える。

もしこのことに予め気付いたならば、日本円建てのまま何かできる方がリスクが小さい、と考える人もいると思う。確かに為替リスクを負うことはない。

日本円のまま投資をしようと思うと、株式か不動産かというくらいの選択肢になろう。若干極論かもしれないが、(債券は金利がなくて増えない以上)逆にそれ以外を見ようとすると、あまり一般的でないものに手を出すことになりかねない。

株式はこれまで30年の記憶からして増えない、不動産をどんと買えるほどの現金はないし、あっても使わずに借入をしたい、といった具合である。

そう、日本円は日本で流通する通貨であるから、日本円のまま投資をしようとすると日本の資産に投資をすることになる。当たり前といえば当たり前な理解に落ち着く。

為替リスクを誰かに転嫁する

シンプルな話で、ご自身が為替リスクを負いたくない、という場合、金融市場においては誰かにそのリスクを転嫁することが一つの方法として考えられる。とはいえ、リスクを代わりに背負う見返りとして、何らかの対価が必要になる。これをヘッジコストという。

ただ、一般的には個人投資家レベルの(相対的に)小さな為替リスクについてまとめて引き受けるという体制があるところは少ない。大きな投資家になればそれなりの為替リスクを負っていることから、ボリュームがあり、為替ヘッジを行うことはそれほど難しくない。

さっきの話で、日本円では日本に対してしか投資をできない、という制約は為替リスクが転嫁できれば解決する。たとえば、日系企業の発行する社債でも米ドル建てのものはあり、一部に日本のリスクを負いつつも、米ドルからの投資で為替リスクはない。同じく外国企業の発行する社債でも円建てのものであれば、海外のリスクを負いつつも、日本円からの投資で為替リスクはない、ということはあり得るわけである。

為替リスクを本当に負っていないか

日本円を使って投資をしたことが日本円建ての投資であることを必ずしも意味していない。あるいは米ドル建ての投資であるからといって日本に日本円建てで行う投資が含まれていないとは限らない。このあたり、きちんと理解できるだろうか。

海外旅行の飛行機のチケット代などを思い出して欲しい。もともとは一体何の通貨で料金表示されていたのであろうか。もちろんチケットは日本円で払うことになるとして、円安が進めばチケット代が高くなるなら、それは日本円での料金表示ではなかったということなのか、それとも日本円での料金表示ではあったが、チケット代が高くなったのか。

少し頭がこんがらがる人もいると思う。ここでは、それくらい為替リスクがどこに存在しているのかは分かりにくい、ということと、為替リスクから逃れようとする行為が必ずしも為替リスクから逃れたことになっていないこともある、ということを知っておきたい。

リスクから完全に逃れることだけを考えるのではなく、晒されているリスクを理解することを学び、リスクを低減することを学び、適切な量のリスクを引き受けることを学ぶべきである。

為替は厄介である。だからこそ考え方をしっかりと整理できればその後は非常に楽になると言えよう。

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