子育ては忙しいが、お金は出ていく一方である。子どもの成長に合わせて対策すべきことと、子育て世代が資産運用を行う合理性はどこにあるのか。

子どもの成長に待ったはない

家族を持つと、大きな金銭的決定を下す場面は増える。その典型は、住宅購入や子どもの進学である。

ただ、住宅購入のように、お金が貯まるまで待てるものは決定を先延ばしにもできるが、残念ながら子どもは育つ。一定の年齢になれば、学校に通わせなければならないし、働き始めるまでは金銭的には支出しか生まないのが普通だ。

天才子役などで親よりも稼ぐ子どもも中にはいるが、極めて稀な例であることは間違いない。

子どもを育てるのにはお金がかかるのだ。

お金の問題を後回しにしない

生まれた子どもが育つのであれば、生まれてくるタイミングをコントロールすればいいではないか、という人もいるかもしれない。だから、子どもを持たない家庭もあるし、コントロールしたとして一人で限界だと感じることは少なくない。

コントロール自体は多少は可能だが、多くの場合は待って数年であるから、はっきり言ってお金を貯めるには十分ではない。

ある程度の年齢でも出産はできる時代とはいえ、出産の適齢期もまた待ってくれないのである。子育て費用が準備できたら子どもを産もう、というのは現実には起こらないと言っていいかもしれない。金銭面は多くの場合見切り発車なのだ。

もちろん、子どもが生まれたら子どもを最優先にして生活する親は多い。子どもにかける、もとい、かかる時間と費用のことを考えれば当然と言えば当然かもしれない。子どもの成長を見ることは親にとってかけがえのない時間であるのは確かだ。

一方で、両親にとって、子育てにかけた時間もまた戻ってはこないことを理解しなければならない。二度と来ない人生のそのひとときを、「子どもを優先する」ということで諦めてしまってはいないだろうか。

特に金銭面はこうなりがちである。お金があれば子育てをしながらももっと色々な楽しみがあったのに、そう振り返る人は少なくない。

子育て費用に関しては、早く備えられればこの負担は軽くなる。子育て費用の工面は早いうちに手をうつことが肝心なのだ。

子育てにかかる費用の目安はいくらか

子育てにかかる費用は概ねプランニングが可能であるが、あまり考えたことがない、という人も多い。数字として見てみることは非常に重要で、そこから逆算して何をすべきかに初めて気づくこともある。

子育て世代として必要な資産はどれくらいなのだろうか。子どもが成長していく過程で必要になる教育費が最も大きいが、その教育をどのようにするかで想定は変わってくる。

インターナショナルスクールに通わせたい、習い事をさせたい、あるいは親としての自分が育った環境と同じ、国公立一択のルートでいいのではないか、など考えることは色々とあろう。

学費だけを考えるなら、仮置きとして一人あたり1,000万円と思っておいていいかもしれないが、子どもの選択肢のことを考えるのであれば、2,000万円〜3,000万円くらいかもしれない。実際には学費以外の費用だってかかる。国よってはこの金額がうんと異なる。例えば香港だと1億円くらいだと答える家庭もそれなりにある。

かなりざっくりであるが、果たして体感としてどうだろうか、一生懸命働いて貯められないことはないな、と思った人はもう少し考えて欲しい。

ケガなどでしばらく休職したり、転職したくなったらできるという選択肢が残されているだろうか。脅しているわけではなく、この点に関してリスクを認識することが何より大切なのである。

子育て費用を運用すべきか

そうはいっても、低金利の時代において、学資保険に入っても、お金を取り置いているくらいのことしかできないのではないか、という人はいる。実際そういう金融商品を目にすることはある。

かといって、リスクの高い運用で失敗したせいで親が子どもの人生を台無しにしてもいけない、というのはあるだろうし、せっせと株式チャートを見るのに時間をかけるのも何か違う気がする。はたして、運用をすべきなのか、悩む家族は多い。

一つ言えることは、少なくともインフレに相当する部分の備えをしておかなければ、早くから貯めたお金もその意味が薄れることになる。

10年、20年先の学費は今と同じではない。このことを知っておくべきである。

したがって、こちらが安全策に走ったとしても、実際に備えるべき想定費用の側は動くのである。上で述べた1,000万円も20年後は1,000万円ではないのだ。

もちろんどのくらい世の中が変わるかは分からないが、ただ貯金で賄うというのは現実的ではないかもしれない。

1年に2%のインフレが起きたなら、単利でもっても20年で40%も変わってくる。(複利で約50%である。)つまり、一生懸命工面したお金の価値は40%減である。お金の価値とはこのようなものだ。

逆に2%でも運用できたなら、40%分は相殺できる。増えた、ではなく、これでもトントンである。小さな差と思うか、大きな差と思うかはその人次第である。

それほどお金の価値が変わるなら、今度はお金を貯めるべきではないと考える人もいるが、大きな支出である教育費に備えないわけにはいかない。

リスクヘッジとして運用を考えることになるわけだ。無理なリスクはとるべきではないが、世の中の変化に対応するだけのリターンを稼ぐことは必要になってくる。

もちろん昔は銀行預金でも十分に増えたが、金利がない今、ただ銀行に預けておくことは今の時代は正当化しづらくなっているのは確かだ。

子どもの親として、子育てにまつわるリスクに対処する術を身に付けることもまた、親の責務であるとは言えよう。資産運用に対する重い腰、一度あげてみる価値はあるだろう。

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