窓口に行くたびにアンケートに答えさせられる、放っておいてもセールスの電話が頻繁にかかってくる、話を聞いても情報が少なすぎて判断しづらい、などなど、金融機関が求めていることは顧客側には伝わりづらいものです。

今回は、最近クライアントの方とお話ししながら「金融機関との付き合い方って難しいんだろうな」と私が思ったことについてつらつらとまとめてみようかと思います。あなたも身に覚えありませんか。

金融機関に伝えるべき情報

金融機関にとって顧客情報は多い方がいい、顧客にとって金融機関に渡す情報は少なくしたい、そんな双方の意図は見受けられます。個人情報の保護はどこの国でも法制化されており、受け取った側にはその管理義務があります。

ただ、顧客の側から見て、金融機関が必須だと思っている情報と、あったらいいなで聞いてくる情報は見分けがつきづらい、とは言えるかもしれません。情報を渡すのを断っても先に進むのならその方がいい、と考えてしまう人もいるようです。

別件で渡した情報を元に新しい提案やセールスが来る可能性があるのも事実です。これは嫌がる方がいるのも理解できます。一方で、顧客自身が知っていることでも、金融機関が知らないことがあれば、会話がちぐはぐになってしまうことがあるのも事実です。あるいは、必要な情報の提供がなかった場合、取引を停止せざるを得ない状況に陥ることもあります。

特に顧客契約を結んだ際に、顧客として果たすべき情報提供義務が発生していることがあるからでもあります。一時的に誤魔化して乗り切ったとして、後で辻褄が合わなくなることだけは避けたいものです。

金融機関にとっての収益源

金融機関の顧客になるということは、何らかの手数料が発生し、金融機関として経営していけるだけの収益が上がることを期待されています。これは紛れもない事実です。

どのようなサービスもそうですが、顧客はサービスを受け、そして対価を支払う関係にあります。つまり、サービスとその対価のバランスが問われていると考えていいでしょう。

一方で、このバランスが自動的に取られているわけでもないことにお気づきになった人もいると思います。金融機関からすればちょっとだけサービスを提供して、高い手数料を払ってくれる顧客がいれば嬉しいものです。

顧客からすればたくさんサービスを受けて、手数料をほとんど払わなくて済むなら嬉しいものです。何かキャンペーンを打つことで、このバランスが「顧客寄りに傾いているように見せる」というのもマーケティングでありセールスのなせる技でもあります。

営利企業である以上、一定の収益を上げなければならないので、最低金額を設定したりすることもあります。しかし、無理をしてその金融機関と付き合うというのも変な話です。逆に価格交渉に成功したからといってサービスの劣化が見られても後の祭りです。しっかりとサービスと手数料のバランスが取れているか、に意識を向けることは大切です。

コンプライアンスチェック

お付き合いのある金融機関には、自分の「担当者」だと認識する人がいる、という方は多いはず。全ての話の窓口はその人に、と思えているならとても素敵なことです。

一方で、顧客と直接話す担当者が、果たして全ての顧客に公平に接しているか、あるいは、会社に対して顧客情報の何か重大な事実を隠していないか、などは常にスポットが当たりやすいものです。この場合、事前に担当者と顧客が打ち合わせするのを避けるために、抜き打ちで社内の別の人物(主にはコンプライアンス担当)から顧客に連絡がいくことになります。

連絡が突然である、というのがポイントになってくるので、単に登録住所や登録電話番号の確認ならば、連絡がついた時点で確認終了ですし、あるいは顧客本人に関して質問をして、会社のデータと一致しているかどうかを確認したりもするようです。

この手の連絡の場合は、相手が何に関心があるのかははっきりと伝えられない傾向があります。なりすましを疑っている場合もあれば、担当者の不正などを事前に察知したい狙いもあります。特に意図がなくても、定期的にランダムにチェックを行っているだけ、ということもあります。丁寧に接してあげることがとにかく重要です。

担当者は代わりやすいか

金融機関の中には、担当者が定期的に交代するようにしているところや、あるいは昇進や転職も含めて人材がコロコロ代わりやすいところ、というのが存在します。業界における位置付けなども影響してくるので分かりづらいところです。もちろん景気なども影響してくるでしょう。担当者との相性が悪い、というのはよく聞きますし、頼りにしていた人がいなくなって困ってしまったというのもよくある話です。

金融というのは一つのツールですので、良い出会いがあればやはり様々な面で顧客をサポートしてくれます。金融機関に勤めるには一定のスキルが必要ですので、ビジネスライクに接しすぎず、人と人の付き合いを意識してみると社内の状況がよく分かったり、案外長い付き合いに発展したりするものです。また、言葉にはしなくても、担当者がその仕事をどのようなものと考えているのか、は自然と行動に現れてくるものです。

誰かに相談できることは重要

結局のところ「金融機関の目線」にも色々あることが分かっていただけたでしょうか。そして、それらは絶妙に混ざり合っていて表面的には見分けづらいことも多いと私も思います。

そこで第三者から見てどういうやりとりに見えるか、というのは非常に大事になってきます。聞かれたことに全然答えない顧客に見えているのなら、ひょっとしたら金融機関側に課題が残ってしまっているかもしれませんし、顧客の話を無視してセールスの話ばかりくることで顧客側に不満が残ってしまっているかもしれません。

もし、顧客と金融機関の間にパワーバランスが生まれているのであればそれはそれでより注意する必要があります。もし金融機関とのコミュニケーションが上手くいっていないのではないか、と感じることがあれば是非誰かに相談してみると良いでしょう。

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