投資を始めようと考えたとき、その種類の多さに圧倒される人もいます。その中で、資産運用の代表格とも言われるのは不動産投資及び株式投資ですが、その選択あるいは両立にはっきりとした方針を持っている人は多くありません。そもそも投資としてどのような違いがあるのかを考えてみたいと思います。

不動産投資とは

不動産は土地や建物など、現物資産の代表格として幅広い投資家に選ばれています。というのも不動産は住む、働くといった日常の活動を支えているものであり、時代を経ても価値を提供し続けているものだからです。

一人暮らしで賃貸契約を結んだ人、オフィスや店舗のテナントとして入ったことのある人などいると思いますし、デジタル化される時代においても、何らかの形で不動産は確かに存在しますから、投資対象としても一般的なのです。

株式投資とは

株式は企業への投資を行う、金融資産の代表格として多くの投資家に選択されます。様々なサービスを提供する企業が世界には存在し、その活動の原資を投資家が提供しています。投資家はその見返りとして、配当を受け取ったり、あるいは企業が蓄えた利益に対する権利を主張することができます。

長年にわたり経営を続ける企業、新しくつくられ世の中を革新する企業など実に様々ですので、株式市場という誰でも参加できるマーケットが形成されています。

不動産投資が株式投資に勝る部分

目に見える家賃収入

株式投資の場合でも定期的な配当は存在しますが、それは会社の総意として決定しているものに過ぎず、一人の投資家がそのまま配当への意思決定を行う訳ではありません。

一方、不動産投資の場合には物件の所有者=オーナーとしてどのような方を住まわせ、どのくらいの家賃を払ってもらうかは意思決定を下すことができます。

賃貸契約自体は個々の合意に基づくとはいえ、家賃に関しても物件の性質から一般的な相場というものが想定できるため、初めてだからという理由で大きく外す、ということはあまり多くないかもしれません。

投資はしばしば複利か単利かと言われますが、不動産現物への投資は単利にならざるを得ません。賃料として得られたインカムは直接その不動産を買い増すということには使えないからです。

世界で一つの資産

不動産の場合、同じ物件は基本的にはありません。

日本の、ある街の、その土地の上に立っている、その部屋というもので世界で一つになります。もちろんマンションであれば間取りが同じで、上下階、あるいは隣ということはあり得ますが、それでも別の物件であることに変わりはありません。

株式の場合、同じ会社の1株を持っている投資家は、AさんであってもBさんであっても同じように扱われますし、Aさんが持っている1株とBさんが持っている1株は同じものです。

借入をしやすい

不動産投資の場合、レバレッジが効かせられることをメリットに感じる人はいます。レバレッジとは借入=ローンを意味し、物件に対して抵当設定をして、家賃から得られる収入をもとに、借入の返済をしていきます。

物件価値に対してどの程度借入ができるかは、物件の性質や債務者の経済状況にもよりますが、投資をした後も手元に残る現金はあまり減らないので、資産を大きく伸ばすのには役に立ちます。もちろん借入をすることによるリスクはあります。

価値の変動が緩慢

不動産の場合、短期間に大きく価値が変動することはあまりありません。資産価格の変動は比較的緩やかであることが予想されます。株式の場合、銘柄によっては株価が日々大きく変動することになりますから、短期間で損益を認識することに繋がります。

株式投資が不動産投資に勝る部分

とにかく始めやすい

株式投資の場合、少額からでも始めるのには適している言えるでしょう。もちろん購入する企業の株式によっては、最低投資額が比較的大きいものもありますが、不動産に比べれば一件あたりの金額を抑えることは可能です。とにかく投資を始めたいという人は株式投資の方が手につけやすいとは思います。

手数料が安い

不動産投資においては、仲介手数料が比較的大きく、また登記費用や修繕費など、様々な場面で費用がかかります。一方、株式投資は売買時に多少費用はかかることはあるものの、固定費と言えるものはそれほど大きくありません。手数料を安く投資を始めたいのであれば株式投資の方が手頃であるとは言えると思います。

流動性が高い

不動産は同じものがないという性質上、いつでも売買ができるとは限りません。ある物件を買いたいと思っても売ってくれるとは限りませんし、逆に手放したいと思っても買い手がすぐに現れるとは限りません。株式の場合には、株式市場に持っていけば誰かが売り値と書い値を提示してくれているので、換金性=流動性は高いと言えるでしょう。

自分でやりたいのか、他人に任せたいのか

投資をする上で、不動産あるいは株式を選ぶように、何の資産に投資をするのかは一つの大きな軸ですが、一方で、どのように投資をするのかも意識しておく必要があります。

自分でやりたいのか、他人に任せたいのかという話ですね。

不動産に投資をするのであれば、物件のメンテナンスや賃貸付けを自分でやりたいのか、業者に任せるのか。あるいは不動産そのものの価値を高めるためにリノベーションをしたいのかどうか、そこにオーナーとしての強いこだわりがあり、時間をかけたいのか。

株式に投資をするのであれば、それは自分が経営に参画する企業なのか、利用者として気に入っているだけなのか、また全然関係がないのか。

企業選びをするにあたって、自分で分析をして意思決定し、株主総会に出るのか、専門家に委ねて運用は自動運転にするのか、などです。

不動産と株式のハイブリッド

色々話してきましたが、不動産も物件によってリスクの程度は異なりますし、証券も投資する資産によってリスクの程度は異なります。

上記で挙げたメリットデメリットも投資する不動産、投資する株式によって変わってくるのが実態です。

とはいえ、不動産と株式には一長一短な要素があり、上手くハイブリッド=組み合わせできることは重要になってきますし、逆にいえば必ずハイブリッドにしなければならないわけでもありません。

実際、現物資産しか好まない方、金融資産しか好まない方だって、それぞれいるのです。

これらが偏った考え方というわけでは決してありませんが、投資家としてのご自身が目指したいものを確認していくこと、それぞれの投資におけるメリットデメリットを理解しておくことは投資家としてより良い選択をする上では大切です。

↓ この記事が気に入ったらシェア ↓