日本でも近年、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とその顧客が増えてきているとされます。

一方で、ネット証券では安いか、またはほぼ無料に近い手数料で金融取引を行えるようになっているのも事実です。そのような時代において、なぜわざわざコストをかけてIFAを利用する人がいるのでしょうか。本稿ではその理由を紐解いてみたいと思います。

そもそもIFAとは

独立系と名のつくとおり、IFAは自社の商品のみを提供する存在ではありません。

本来、それぞれの金融商品の提供元は自前の営業員を抱えていたわけですが、この部分を独立系で担うことを許可しているわけです。IFAから見れば、顧客に合わせて証券会社、保険会社、プライベートバンクの機能をオーダーメイドに提供することができます。

非常に自由度が高いと言えるでしょうが、一方で能力も必要になります。

しかも、決して顧客紹介をしているだけの存在ではなく、本来自前の営業員が行っていた業務を実質的に行なっているので、実は裏側に営業員がいる、ということもありません。金融商品の提供元はこうしたIFAに対する対応窓口を設けており、彼らは直接顧客を探す営業員とは異なった存在として働いているのです。

IFAの利用コスト

例えば香港でもIFAが利用している証券口座はごくごく普通のネット証券会社のものだったりします。つまり、自分で口座開設をして自分で株式を買ってということはできることが多いです。

IFAを利用して行った投資が、実は自分でもできるものである、というのにやや疑問を感じる人がいるのも肯けます。しかも、プラスアルファのコストをIFAに払っていますからね。

もしIFAによるアドバイスが行われておらず、あるいは必要とせず、顧客自身が自分で判断をして売買をしており、かつそれでいいという場合には、そもそもIFAを利用するメリットは薄くなります。

やはりアドバイスを通じて自分だけで判断するのとは違った視点に立ち、一緒に考えてよりよい方向に向かえることがコストを払うことの意味でもあると思います。

実際、一般投資家の行動にはバイアスがかかりやすいとされており、中立的なアドバイスを求めるだけで、リターンが向上することはしばしば指摘されます。

IFA独特の商品チャネル

IFAが一般の人と全く同じ商品を扱っているかというと実はそうでもありません。実はIFAという独特のチャネルにしか流れてこない商品というのもあるのです。それゆえに独特の商品に対して上乗せのコストを要求するIFAも中にはいます。

ただ、IFA本来の価値はそこなのか、というのはIFAとしてのスタンスの違いです。魅力的な商品を店頭に並べて、顧客がショッピングしていってくれることを待つIFAもいれば、顧客のニーズを汲み取って市場からオーダーメイドに調達をしてくるIFAもいます。

IFAの料金体系

IFAに払う費用にはいくつかのパターンがあります。売買の金額に応じて支払う手数料(トランザクションフィー)、運用資産残高に応じてかかる手数料(アドバイザリーフィー)、運用資産の増加分に対してかかる手数料(成功報酬)などが一般的でしょうか。組み合わせによりハイブリッド型を採用することもあります。

どれがいいかというのは非常に難しい質問ですが、それぞれの料金体系がIFAという仕事に対するインセンティブとしてどのような意味を持つかは理解しておくといいと思います。

例えば、トランザクションフィーであれば取引が頻繁に行われないと収益にならないので、頻繁に電話をかけて寝た子を覚ますでしょうし、買ってそのままになるというよりは値動きが激しいものを薦めた方がいいかもしれません。アドバイザリーフィーであれば、資産価値の変動が少なく、かつ緩やかに資産が伸びていく方が安心して見ていられます。成功報酬であれば、資産が短期間で一気に増える可能性のあるものを必死で探してきます。

IFAが提供するサービス例

顧客とその家族に対する理解

当然ながらネット証券では顧客のことはデータとしてしか認識しませんし、向こうから能動的になにかしてくれるということはありません。利用料が安いというのはすなわちそこに付加価値はない、ということです。一方、本来の資産運用とは顧客とその家族の生活にとって非常に大きな意味をもってきます。ランキングで一番人気の商品が本当にその顧客に合っているか、ということですら本来立ち止まって考えるべきポイントなのです。そのためには、顧客とその家族に対してリレーションを持ち、理解度の高い第三者が必要になってきます。

信頼できる人物が見守ってくれる安心感

資産運用をやっていて一度も一喜一憂したことのない人はいないのではないでしょうか。資産運用を通じて大きく資産を伸ばすことはできても、同時に大きなリスクに不安を感じる人は少なくありません。

例えば、スキューバダイビングやパラグライダーなどもリスクを伴ったアクティビティではありますが、プロのインストラクターと一緒だからできる、という経験をした人もいるのではないでしょうか。

資産運用も実は同じで、人間は常にリスク回避的なのですが、一方でリスクをとらなすぎると到達したい場所には行けません。信頼できる人物が見守っていてくれる、あるいは放っておいても心配がない、ということも大事になってきます。

資産全体の最適化のためのアドバイス

証券運用はここ、保険はこちらの会社、といった利用の仕方に最初はなりがちですが、そもそも全ての中心にいるべきは顧客とその生活です。

しかし、証券会社の人に保険のアドバイスを求めてもおそらく知見はありませんし、保険会社の人に資産運用を聞いても、では資産運用向けの保険商品を、となるだけです。

資産全体を俯瞰し、どの部分でどの金融サービスを利用すべきなのか、あるいは組み合わせることでより良くできないか、といった最適化のアドバイスをする存在はいて然るべきです。

各分野の専門家との連携

相続や贈与など、税金や法律に関わる部分ではいずれかのタイミングで各分野の専門家に話を聞く必要が出てきます。

しかし、多くの人は相談するための頭の整理ができておらず、したがって誰に聞いたらいいのかも分からない、という声も聞きます。

日常的にコミュニケーションをとるIFAであれば、ちょっとしたことを聞いてみることでその後の足掛かりを得られたり、独自のネットワークで専門家と連携してくれたりということはあります。

IFAの利用の仕方は人それぞれ

結局のところ、IFAの利用の仕方は人によります。珍しい商品が買えれば満足だという人もいますし、家族のことまで長い目で見てくれる存在を探している人もいます。人によってファイナンシャルニーズのあり方が違うのです。

一方で、IFAの側も提供したいと思っている価値が違うこともありますから、どこかのIFAに出会ってIFAとはこんなものか、と自分を納得させる必要もありません。単純にニーズがマッチするかどうかを確認しましょう。

IFAの経歴や人となりにも興味を持ってみると実は多くのことが分かりますし、結果としてインターネットやロボットとは異なる価値に気付くこともできるでしょう。

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